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生き方を変えるタイミング

「生き方を変えるタイミング」があるとしたら、きっと唯一、苦しいときなのだろうと思う。このままの生き方を続けていても、この先ずっとツライ感情や堂々巡りを繰り返すのだろう、となかば「絶望」に似た「底」を見ることによってしか、私たちは自分で自分の「生き方」を変えることは困難なのかもしれない。

私たちにとって最もキツいのは、空中に浮いているときだという。不安と恐怖の中で空中に漂っているとき、私たちは、苦しい。でも一旦、落ち切ってしまうと、つまり深い深い海底に足がついてしまえば、ホッとするらしい。なぜならそこは「底」だから。もう落ちることがないから、文字通り「地に足がつく。」そうするとやっと、さてここからどうしようか、と冷静に考えられるようになる。

ときに「落ち切る」ことは、不安と恐怖の最中でバタ足を続け、その状況に抗い続けるより、有効なのだ。

そしてそんな海底2万マイルレベルの「底」というものは、そうそう見れるものではない。だから、あなたが今苦しいとしたら、底に向かって落ち続けているとしたら、はたまた深い海底に足が着いたならば、それは「チャンス」としか言いようがない。新しい生き方のスタート、おめでとう。なのだ。

少し前、私は深い海の底に向かっていた。恋人との間に新しい生命を授かり、産む。と決めた時、結婚の約束も、将来の保証も、一緒に住む確約も、していなかった。というか、不思議といらなかったのだが、周囲の反対はものすごかった。

近しい人から順に去っていき、心配と怒りの感情を数ヶ月、浴び続けた。容赦ないキツいことばの数々は、幸せを感じていた私の心をズタズタに切り裂くには、訳なかった。「起こっていること」に後悔を感じざるを得なかった。今でも、あの時の感情がお腹の子に影響していないか、ちょっと心配になるくらいだった。

今、底だなぁ。そんな風に思っていたある日。だとしたら、ちょっくら生き方を変えてみようかと思った。

これまでの人生、振り返れば「正解」を追って生きてきたように思う。できるだけ、損をしないように。できるだけ、リスクやショックを最小限に。できるだけ、最短ルートで。AかBかで選ぶ時には「こちらが正解。」と見通せる方を選んできた。それなりに幸せではあったが、「自分を全開にして生きている!これが私だ!」と大手を振って言えるかといえば、どこか出し惜しみをしていたように思う。

頭で考え抜いた「正解」は、魂が「YES!」という選択とはどうやら違うようだと、うすうすは感じていたものの、頭で選んだ選択を私はなかなか手放せないでいた。でもその時はもう、今は底で、今起こっているこれは、それを手放すチャンスなのかもしれない。そう思った。というか、そう思うことが唯一の自己救済だった。

私は、生き方を選ぶ「順番」を変えた。頭で考えた「正解」を選び、そこに自分の感情をなんとか合わせていくのではなく、魂が選んだ「これが私だ」ということを直感で選び、「それを正解にしていく生き方」へシフトすることを決めた。これは私にとっては大きな変化だった。正直、結構前から頭でこねくり回すのには疲れていた。パッと直感で選び、次々と魂がYES!という人生を創造することに、実はずっと、憧れていた。

今ならそれができる。と思った。彼との子を望んだことは、まさに私の直感的な魂の望みであった。出会ってまだ1ヶ月もしない頃「この人の子どもが欲しい。」と思った。その晩に彼に「あなたの子が産みたいです。というか、たぶん産む。」と宣言していた。結婚、責任、保証、そんなものは一切頭になくて、ただ38歳の秋、私はこの人の子供を産むのだ。とだけ、決めていた。彼にそう宣言した2ヶ月後、私の望みは現実のものとなった。

「正解」を求めていたら、ずっと私は、いつか子どもが欲しい。と思いながら悶々と、どこか満たされない日々を過ごしていたのだろう。やれやれ、これまで全く順番が逆だった。魂がそう望み、そうなったら、その事実を正解にしていく。そしてそんな新しい生き方はもう、実は数ヶ月前からはじまっていたのだ。

事実。今、私はとてもしあわせである。去っていった人、形が変わった人間関係、いろいろある。でも、日に日に大きくなるお腹をさすっては、なんて幸せなのだろうかと、実感する。未来の保証など、実はどこにも、誰にもない。頭で考えた「正解」を選んだとしても、いつどこで、何が起こるかわからない。ただでさえ、世は「VUCAワールド」である。だとしたら、正解を求めて生きるのではなく、魂が望んだ、かつての祈りが叶っていく「今」という瞬間に、後付けでもいいから正解を見出していく生き方こそが「あなた本来の幸せ」を感じる生き方になるのではないだろうか。

正直、ちょっと勇気がいる。だって、結構大きなシフトチェンジだ。これまでずっと信頼してきた「頭で考えて、動く」のを「魂で感じて、動く」に変えるのだから。リスクヘッジすら、できていない状態かもしれない。でも、大丈夫なのだ。あなたが本当に魂から望み「あぁ、幸せだ!」と全細胞で感じるなら、世界は、神は、全てのサポートをあなたに授ける。世界は実は、とってもやさしいのだということに、あなたは気づき、あなたはあなた自身と世界を心底信頼して生きるという、「今この瞬間から安心感を感じる、やさしい世界」に住うのだろう。




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