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離婚は何度も「終わり」がくる。_後編_

5度目の終わりは、1年くらい前。その日はオフで、ビジネスパートナーである妹とお台場で海を見ている時だった。突然彼から届いたLINE。「報告があります。彼女がいたのだけど、もうすぐ同棲することにしました。」一瞬、血の気がひいた。なんとなく今のまま、離れて暮らす娘の父と母というポジションがずっと続くと思っていた。彼女、いたんだ。そっか、同棲、するんだ。納得したようで、全然細胞の中に染み込まなくて「そうなんだ、おめでとう。いつ?」そう返信するのがやっとだった。夜になるとちょっと冷静になって、心地よささえ感じていたこの関係も、終わりなのかと思ったら、涙が出た。一体私は「離婚」にまつわるあれこれで、何度泣くんだ・・・そう思いながらも、複雑な気持ちは涙にしかならなくて、涙が自然に止まるまで、とりあえず泣き続けた。翌朝には、スッキリしていた。でもまだ、「完了。」という感じでは、なかった。

6度目の終わりは、不思議な感じで訪れた。彼も次のパートナーシップに進んでいるなら、私もちょっと前進してみようかな、と思えたのが、別居から5年。離婚してから2年半が経った時だった。「ちょっと今夜、飲みに行こうよ、3人で。」相変わらず土日は彼に娘を預けていたので、日曜日の夕方前に、そうLINEしてみた。知りたかったのだ。単純に。彼がどうやって、新しいパートナーと出会ったのか。

正直それまで私は「パートナー欲しいです」と言いながら、全然本気じゃなかった。やっぱり引き続き、娘と一緒に自立していくことに精一杯だったし、おかげさまで仕事も楽しく順調に進んでいたので、仕事と生活とで、とても充実していた。このままいなくても、仲間もいるし、いいかな、それくらいに思っていたのだが、「いやいやまだ37歳だし?子どもだってもう一人くらい本当だったら産みたい。」と思い立ち、彼にそのノウハウを聞いてみたいと思ったのだ。

夕方5時。西新宿から一本路地に入った、もつ焼きやさん。娘と先について、先にビールを飲んでいた彼の前に座り「生ビールくださーい」といってからは、めちゃくちゃ楽しかった。結婚当初も、休日は必ずビールやワインを買い出しして、おつまみを作って食べていた。お酒好き。この共通点は不動で、とても楽しい時間を過ごした。「ねぇねぇ、ぶっちゃけどうやって彼女作ったのよ?教えてよ。」から始まり「離婚したあとどうだった?」いろんな話をした。お酒ってすごい。5年の月日って、すごい。彼がいった「実はさ、離婚届だした後、ずっとイライラして、初めて電車の中で喧嘩してさ。慣れてないのに人を殴って、指、骨折したんだよね。」「うそー!温和なあなたが喧嘩!しかも殴る!って相当だね。ごめんね、ストレスあったよねぇ。でもほんと、指折るとか、ウケるね」そんな会話をしながら、お互いの辛かった「あの時」を話しているうちに、本当にこれまでいろいろあったけど、感謝してるよ。と言い合う会話にシフトしていった。「ありがとうね」「いや、俺こそ、ありがとうね、娘も、こんな可愛く素直に育ててくれて。本当、ありがとう。」涙こそ出なかったけれど、ものすごく、救われた。たぶん彼も、一緒だった。

その直後、彼がいった。「俺さ、みほちゃんの婚活、応援するよ。飲みに行きたい時とか、預かるし、できること、なんでも言ってよ。君は今も、可愛いくてとても魅力的だから、すぐできるよ。応援する。」素直に、うれしかった。

そこからは定期的に、3人でそのもつ焼きやさんに食べに行くようになった。毎回ご馳走してくれる彼に、毎回何かお土産を持って行って「ありがとう」を何度も言い合った。私に彼氏ができた時も「どんな人?おーそういう人か!美穂ちゃんにあってると思うよ。応援する。」と応援してくれた。

あーーーーー終わった。「完了。」やっと、終わった。そう思った。感謝からの、応援体制。ここが終着点だったのだ。別居から6年が経っていた。

離婚のきっかけも、お互いの性格も、千差万別。でもひとつ言えるのは、あなたの気持ちは、揺れていいのだ。離婚しよう!あぁまだダメかもしれない。絶対離れよう!でもやっぱり無理かもしれない・・・揺れていいのだ。揺れて、揺れて、時には泣いて、怒って、恨んで。

でも、最終的には「それぞれが幸せになるために」すべては起こっている。これはだれがなんと言おうと、地球がひっくり返ろうとも、これまでも、今も、そしてこれからも、私たちの人生には「必要なこと」しか起こらない。当然、渦中にいるとものすごく、辛いし、切ない。子供がいたら、罪悪感だって、ある。ひとりになるんだから、寂しさだって、ある。でも、それでもいいのだ。その感情をどれひとつでも避けていたら、「完了。」はない。

人間は、結構しぶとい。あなたもあなたが思っているより、結構つよい。だから揺れてもいいし、どんな感情になってもいい。ひとつ大切なことは、感情と「真っ向勝負」すること。避けないこと。

そして、今のこの状態、なに?というグレーな期間を許すこと。辛さゆえ、すぐに決着をつけたくなる。すぐにサインしたり、すぐにありがとう!感謝してるよ!と言い放って立ち去ってしまいたいかもしれない。でも、意味のわからない、なんだかどんな関係なのだかわからないグレーな期間が、実はあなたの人生における課題を明確にし、乗り越えさせてくれるチャンスタイムであり、これからのあなたの人生を、本当の意味で幸せへと導いてくれるゴールデン期間なのかもしれないのだ。

神さまは、問題に見せかけてチャンスをくれるという。あなたがもし今、離婚やパートナーシップで悩んでいるとしたら、それはどんなチャンスなのだろう?かつての私が「経済的自立、精神的自立」を促されたように、あなたにもきっとこうでもしないと乗り越えられない大きなチャンスが、潜んでいるのかもしれない。そしてそれは、必ず、解決する。必ず、あぁあの時があってよかった!といえる時が、くるのだ。私は6年かかったけれど、あなたはもっと短いかもしれない。

大丈夫。あなたが今、どんな状態でも、必ず大丈夫。だからどうか、相手への恨みや、怒りがあるうちは「完了。」させないでほしい。そしてあなたはそれを乗り越える力があるから、神さまは経験させてくれているのだ。あなたは強い。そしてそこから逃げずに立ち向かうあなたは、美しいのだ。


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