人材紹介会社の価値を考える②
お疲れ様です。
みほ(https://twitter.com/miho_career)です。
ご無沙汰しております。
以前公開した記事「人材紹介会社の価値を考える」を多くの方に読んでいただき、メッセージをいただいた方もいて大変嬉しく思っています。
その後、まだまだ書けることはあるなと思い、書きたい書きたいと思いながらもそのままになっておりました。
あれこれしているうちに時は経ち、noteを執筆するのは約1年ぶりで、人材紹介会社からコンサルティング会社の人事に転職してはや1年が経ちました。
1年間、キャリア採用に軸足を置きながら人事として活動する中で、目標採用人数の達成に欠かせなかったのがエージェントの存在です。
ダイレクトリクルーティングやリファラル採用のほうがコストがかからないからそっちのほうがいいのよ!というのが人事や経営者の本音かもしれませんが、人材紹介会社にしかできないことだってあるよねということを、人事側としても感じた1年でもありましたので、改めて書いてみようと思います。
本日は、求職者への価値提供について少し詳しくお話していきたいと思います。
人材紹介会社に在籍している方や、人材紹介会社への転職を検討している方には参考になるかと思います。
読んでいただいた方の何かの気付きになれば幸いです。
「求職者に寄り添う」の意味
人材紹介会社で働いている人なら、必ず社内で使ったことがあるであろう「求職者に寄り添う」という言葉。人材紹介会社の価値を考える上で、この言葉の解釈はわりと重要なところです。
最初に言っておきますが、人材紹介会社で働くならば「企業の採用課題の解決に貢献しよう」という気持ちがないと厳しいと思っています。
人材紹介会社が成果報酬型であり、対価をいただくのが求職者からではなく企業側であるというビジネスモデルだからです。
かといって、企業の要望に応えるために、求職者の意向を無視していいというわけではない。求職者との関係構築がうまくいかないと、成約には至らず、成果にもなりませんので、会社の売上に貢献できません。
人材紹介業の難しいところはここで、企業側に価値貢献しなければいけない一方で、求職者に寄り添わないと成約には至らないということ。
人材紹介会社の両面型、もしくはCAの方は、この部分での気持ちのバランスが取りづらく、葛藤したことがある方も多いのではないかと思います。
成果が伸び悩んでいた頃の昔の私もそうで、「求職者が希望する求人を紹介できなくて申し訳ない」と苦しんでいたこともありました。でもこの感情、少しズレているんです。
そもそもこの感情を持つこと自体「求職者に寄り添う」の意味を履き違えています。
当時の私は、
求職者の希望の求人を紹介すること=求職者に寄り添うこと
だと思っていました。
この考えを持っている人は、まずはこの認識を改めましょう。
求職者の希望の求人を紹介するだけなら、人を介す必要がありません。というか、希望の求人に応募したいのであれば、企業の採用サイトや求人媒体などを利用して、求職者が自分で「希望の求人」に応募すれば済むことです。自己応募でいい。人材紹介会社を利用する必要はないんです。
前回からの繰り返しになりますが、法人の採用課題の解決と個人のキャリアに関する課題の解決をするのが人材紹介会社の仕事というのが前提としてあります。
なので、
人材紹介会社のCA側の仕事は、求職者のキャリアの課題を解決に導くことであって、「求職者の希望の求人を紹介すること」ではない
のです。
では、「求職者に寄り添う」というのはどういうことなのか。
私の考える「求職者に寄り添う」というのは、前回の記事で述べた下記の②の部分に答えがあると考えています。
CAの役割と価値
では、意思決定のサポートとは具体的にどういうことなのか、についてお話していきます。
またここで前提の話をしますが
(前提前提うるさいな!と思わないでください)
転職というのは、非常に疲れます。
そして、とても面倒くさい。
仕事の合間に求人を見て、仕事の合間に面接をして、頭も使うし体力も使います。
転職活動が好きで、できればやりたい♪という人はおらず、できればやりたくないという人のほうが多いでしょう。
そして「決断」はエネルギーを使います。転職というのは人生において重要な決断の1つになりうるため、日々の色々な決断の中でも、特にエネルギーを使います。
つまり、「転職する」と決断することは、意思決定の中でもハードルが高いんです。
ここをサポートするのが求職者にとっての価値になるということです。
勘違いしないでいただきたいのは、売上を上げるために「ちょっと温度感の低い求職者にとりあえず転職を推奨して、重い腰をあげさせ、ゴリっとクロージングしてください」ということではないということ。
ここで言いたいことは、
転職するとなると、
履歴書・職務経歴書作成
求人を見る×複数社
応募先を決める×複数社
面接準備×複数社
面接(2~3回)×複数社
オファー面談
というような感じで、とにかくやることが多く、決断することも多い。
そのため心身ともに負担がかかります。
途中で、大変だ!面倒くさい!もういい!となって、転職したいのに、疲れたから一旦いいや、と転職活動を中断してしまう人もいるでしょう。
もちろん、上記のようなことを口に出して言う求職者は少ないですが、人材紹介会社の社内でよく聞こえてくる「(理由はよく分からないが)この方、転職取りやめで現職ステイになったので案件なくなりました。」という報告をされている案件は、これが原因になっていることも多い気がします。
(私も過去に転職活動で疲れて、とりあえず現職にステイし〜とこ!で途中で活動を中止したことがあります。)
まぁでも、転職を取りやめるには至らなくても、転職活動が大変であることは間違いない。
なので、「転職する過程において、求職者の意志決定を滞らせるであろう、大変で面倒な要素を取り除き、スムーズに意思決定をさせてあげること」に価値があり、
人材紹介会社のCAの役割は、選考プロセスにおいて、求職者が意思決定をしやすくするためのアクションをし続けることで、内定承諾・入社まで導くということだと、私は捉えています。
(補足①)
たまに聞こえてくる『何十件も求人が送られてきて見るのが大変』『どれが良いかよく分からない』という候補者の声。これは、逆に意思決定をしずらくさせてしまっており、改善が必要な事例です。
量が問題かというと必ずしもそうではなく、量を送るとしても、候補者がスムーズに意思決定するためにどんな工夫をすべきか?という視点で行動することが必要です。
(補足②)
内定承諾・入社まで至らなくても、途中で「転職しない」という「決断」ができ、求職者のキャリアにおける課題が解決できたのであれば、それはそれで求職者側への価値提供はできたと捉えて良いと、私は思います。
その時の成績・実績にはなりませんが、そういう場合、ご友人を紹介されて別で1件決まったりすることもありますし、結果として未来の売上に跳ね返ったりしますので。)
面談の目的とゴール
では、求職者にスムーズな意思決定をさせてあげるためには何をしたら良いのか?という話ですが、これを話し始めるとキリがなく、かなり量が膨大になります。(一冊本が出せそうですw)
なので、今回は、選考プロセスにおける求職者との接点において一番大事な「面談」でやるべきことについて、簡単にまとめておきたいと思います。
まずはじめに、面談は何の時間なのか?(面談の目的は何か?)についてお話したいと思います。
冒頭で述べた、CAの役割を『求職者の希望する求人を紹介すること』と捉えている人は、面談の目的・ゴールもズレる印象があるので最初にお伝えしたいと思った次第です。
CAの役割は、求職者のキャリアにおける課題を解決に導くこと、ですから、
面談は、
求職者の希望条件を聞く時間ではなく
求職者をよく理解するための時間
であり、
面談のゴールは、
求職者の経験・スキル・志向性を理解できていて、求職者のキャリアの課題が特定できている状態
となります。
これを前提にお話していきます。
(前提前提、もうえがなw)
これまで、人材紹介会社、そして人事の立場として、たくさんの方と面談や面接をしてきて感じること。
それは、意思決定が滞っていると感じる求職者は、下記の状態であることが多いということです。
なぜ、自分が転職したいのかをうまく説明できない
別に今転職しなくてもいいかもと思っている
どのようなところに転職したらいいのかがしっくりきていない
言い換えると、
なんとなく転職したい、もしくは転職したほうが良いのではと思ってはいるが、自分のキャリアにおいて何が課題なのかが明確になっていない
そして、
自分がこれまで何をしてきて、今後は何をしたいのか?が明確になっていない
ということです。
転職は手段であり、目的ではありません。
何かキャリアの課題があって、それが現在の職場で解決できないから、転職するんです。
そのため、課題が何か分からない状態では、意思決定はしにくい。
なので、まず、求職者との面談でやるべきことは、
求職者のキャリアにおける課題の特定
であり、課題を特定するために必要になってくるのが
キャリアの棚卸し
です。
キャリアの棚卸しというと難しく聞こえますが、ざっくり言うと、
学校を卒業してからこれまで、どのような気持ちでどのような意思決定をし、その職場を選んできたのか、そこで誰に何を提供し、どんなスキルが身についたのか、どんな成功体験や失敗体験があり、そこでどんな感情を持ったのか、今後どうなりたいのか?etc...
というようなことを聞き、求職者の経験・スキル・志向性を一緒に明確にしていくことです。
これを行うことで、求職者の頭の中はクリアになり、自分の特性や強み、どういう環境なら価値発揮できそうか?などが見えてくることで、迷ったり悩んだりする時間が少しは減るでしょう。
この2つについては、ダイレクトリクルーティングやリファラル採用の場合、正直ここまでやるのは自社の工数的に難しく、求職者が1人でやるには難易度が高い。
なのでこれは、人材紹介会社だからこそ出せる価値だと思っています。
おわりに
ここまでお付き合いいただきありがとうございました。
なかなかまとまりづらいところがあり恐縮ですが、1つでも気づきを得ていただけたのであれば嬉しいです。
ところで、『求職者に寄り添う』って結局何だったの?と思っている方もいるかもしれません。
私もまだうまく言語化できていないのですが、求職者が納得のいく意思決定するために最善を尽くそうとする姿勢とそのための行動が伴っていれば、寄り添っていると言える気はしています。
私は冒頭で、人材紹介会社で働くならば「企業の採用課題の解決に貢献しよう」という気持ちがないと厳しいという話をしており、基本的にはこの考え方ではあります。
しかし、企業の採用課題の解決よりも、求職者のキャリアの課題を解決する方により興味関心がある、という両面型・CAの方も少なくありません。
そのような方であっても、人材紹介会社のCA側の仕事を、
多くの求職者の転職支援を行うということは、自分の望むキャリアを叶えイキイキと働く人の総量を増やすことであり、それが最終的に企業側への価値貢献に繋がる仕事
だと捉えられるならば、十分に成果は出ますし、やりがいも感じられる仕事であると思っています。
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