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オルターエゴ読書感想文9

『ALTER EGO』というスマホゲームがある。このアプリに出てくる読書記録まとめ9回目。


今回読破した本

『変身』

フランツ・カフカ著 高橋義孝訳 (1952), 新潮社.

目が覚めたら虫になっている話というのは有名だと思われる。読み始めたら止まらなくて、数時間で読み終えてしまった。

まず、虫になって身体をどう動かそうかと四苦八苦するのだが、その描写が非常に細かくて巨大なムカデ?ダンゴムシ?みたいな虫がベッドの上で仰向けになりジタバタもがく様子がコミカルな感じで面白い。しかも、虫になってしまったことを自覚しつつも、なんとかして起き上がれたらいつも通りに仕事に行こうと考えている。外界との関わりがない間、目が覚めて虫になったと気づいて部屋から出ようとするまで、この扉一枚で世界と隔離された空間にいる間は、なんというか転生したら〇〇だった的な今どきの物語の軽妙さを感じて引き込ませるものがあった。

けれど、そんなポップな感じも部屋の扉が開かれてしまったら一変する。まず、会社の上司は一目散に逃げてしまう。家族も姿を見ることを恐れるため、部屋に引きこもることになる。妹が部屋の掃除やご飯を出してくれるのだけれど、姿が見えると恐れられるので、部屋に妹が来るときは細心の注意を払う。虫であることを差し引けば、引きこもりの兄とその家族みたいな感じだなぁと思っていたら、解説でもその点に言及されていた。

オチには全く救いがない感じ(虫になった主人公にとっては)になるのだけれど、無数の解釈ができそうな物語だった。

未読リスト

残り13冊

■入手済み

飛浩隆 (2006), 『グラン・ヴァカンス』, 早川書房.

長谷敏司 (2011), 『あなたのための物語』, 早川書房.

夏目漱石 (2004), 『坑夫』, 新潮社.

グレッグ・イーガン著 山岸真訳 (1999), 『順列都市』, 早川書房.

宮澤伊織 (2018), 『そいねドリーマー』, 早川書房.

■未入手

アンドレ・ジッド著 山内義雄訳 (1954), 『狭き門』, 新潮社.

イワン・ツルゲーネフ著 神西清訳 (1952), 『はつ恋』, 新潮社.

種田山頭火 (2000), 『草木塔』, 日本図書センター .

フョードル・ドストエフスキー著 江川卓訳 (1970), 『地下室の手記』, 新潮社.

アルベール・カミュ著 清水徹訳 (1969), 『シーシュポスの神話』, 新潮社.

メアリー・シェリー著 森下弓子訳 (1984), 『フランケンシュタイン』, 東京創元社.

ルイス・キャロル著 矢川澄子訳 (1994), 『不思議の国のアリス』, 新潮社.

シオドア・スタージョン著 永井淳訳 (2006), 『夢みる宝石』, 早川書房.

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