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彼女の欠片を集めたら①
今回はお友達のことを。
この梅雨の時期が近づくと、毎年のように思い出す『彼女』がいます。
もう届くことはないけれど、言葉にせずにいられなかった。
悲しいお話ですが、よければ読んでいただけると救われる思いです。
彼女は言語聴覚士養成校時代の同級生で、席はいつも私の一つ前だった。
1.大学での彼女
彼女との出会いは言語聴覚士の養成校だった。
第一印象は、日本人形みたいだなと思ったことを覚えている。色白で長い黒髪、そして切れ長の瞳。
一見おとなしそうだったが、話してみると歯に衣着せぬ物言いをするし、大きな声で笑う。
クラス内でできた仲良しグループは、彼女と私は別だった。
ただ講義や実習の中で、彼女とチームを組んで課題に取り組む機会は結構あった。
彼女ははっきりと意見を言う。内容も整然としていて、芯の強さを感じた。それがとても頼もしかったし、尊敬していた。
ノートに書く彼女の字は角ばっていて、その特徴的な字は今でもよく覚えている。
2.彼女の意外な一面
はじめてのヤキモチ
講義や実習で関わる機会が多かったものの、それ以外の時間はお互い別々の友達と過ごしていた。
時は流れ、大学3年の秋の頃。
私は彼女のグループのUちゃんと良く話すようになった。
きっかけは当時私がはまっていたドラゴンボールをUちゃんも好きだったことだ。
たしかドラゴンボールZだったかな、フリーザとかセルの頃。
悟飯がかっこいいよね、とか、フリーザ戦ほんとリピートして観てる~みたいな話で盛り上がっていた。
彼女とUちゃんはただの「クラスメイト」という感じではなく、休みの日も一緒に遊ぶし、悩みも相談し合えるような「親友」のような関係性だった。
そんな大事なUちゃんと私が急に仲良くなったのを見た彼女は、当然面白くなかったようだった。
「Uちゃん、Mちゃん(私)と最近仲いいよね~」
「いいな~、私はもう捨てられたのかなあ」
というようなヤキモチを妬くようになった。
仲間意識が強い子だとは思っていたけど、嫉妬するのね。
そしてそれを表に出すのね。
賢くて大人びて見えた彼女が、なんだか小学生の女の子のように見えた。
恨まれているのに、つい心の中でクスっと笑ってしまった。
もうひとつ、印象に残っている彼女の姿がある。
「推し」への姿勢
彼女はある声優のファンだった。
教室では毎日のようにその声優の話で盛り上がっていた。
なかなか愛が強いようで、ただでさえ地声が大きい彼女はテンションが上がると、さらに教室中に黄色い声を響かせることもあった。
当然クラスメイトからは白い目で見られることになるが、しかし彼女は堂々としていた。
その声優の話をしている時の彼女は「恋する乙女」だった。
今でいう「推し」という存在になるのだろう。
周りが見えなくなるくらい、全力で「推し」を応援していた。
私も当時は好きなものが色々あった。
アングラなロックバンド、アーティスト、小説、同じバイトの先輩。
それでも彼女ほど堂々と「好き」と言えなかった。
羨ましかったのかもしれない。
まっすぐに好きなものを語る彼女は眩しく、表情も少女のようだった。
3.卒業するまでの彼女
大学4年の冬、卒業研究の発表が終わるとすぐに言語聴覚士の国家試験の勉強が始まった。
言語聴覚士の国家試験は2月中旬。それまで脇目もふらず試験勉強となる。
国家試験の勉強は担任の教員が組んだグループで行ったが、その中に彼女もいた。
毎日遅くまで図書室や自習室に残り、5~6人で過去問を解いては弱音を吐き、難解な問題には独特の覚え方をみんなで考えて笑ったりした。
たぶん一人で勉強していたら合格していなかったかもしれない。
それくらい本当に思い出深い勉強会だった。
そして国家試験当日、どうにか無事に試験を終えた解放感たっぷりのまま、同じクラスの子たちで打ち上げをした。
お酒も入り浮足立ったテンションで、国家試験対策グループごとにプリクラを撮ろう、という事になった。
しかし彼女の姿が見えない。こういう集まりは早く帰りがちな彼女であったので、いつの間にか姿をくらましていたようだ。
仕方がないので彼女がいないままプリクラを撮る。
空いているところに彼女の名前も書き、それぞれの携帯電話にプリクラ画像を送ってもらった。
国家試験がひと段落してからは、ひたすら遊んだ。
寝る間も惜しんで遊んだ。
そして卒業式。
終わったら謝恩会。
最後になった打ち上げでも。
夜明けに別れを惜しんで帰るまで、彼女が映っている写真はたくさん撮った。
だけど、やっぱり彼女とのプリクラを撮りたかった。
支え合って、励まし合って、笑って泣いた、彼女との青春は国家試験の勉強会だったから。
今になってそう思う。
全部で3回くらいに分けて書きたいと思います。
そういえば、大学卒業してからプリクラって撮ったかな?
プリクラ帳とかあったなあ・・(遠い目)
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