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服探しに人探し

✳︎
視覚障害のある彼(トモ)との買い物は、すごくシンプル。


店舗ガイド(があれば)をザッと読み上げて、「ココ」と言ったお店に案内する。


着いたらフラフラ〜と一人店内を散策して、早々と店員さんと思しき人(ここの嗅覚がよい)を見つけ、「すみません、シャツってどの辺ありますか」的な会話で行き着く。


探さないし、待たない。


トモとは、ウィンドウショッピングはほとんどしたことがありません。


目と紙の幅3センチで文字を読むトモが、本気でウィンドウショッピングするとなると、首か腰かがどうかなってしまいそうです。


以前、「塙保己一(はなわほきいち)」という偉人の記念館に足を運び、彼の遺品や関係資料を見て回りました。


塙保己一さんは盲目の国学者。「世のため後のため」という彼の言葉、あまり信じてもらえないけれど、本気でトモの支えになっています。


という訳で、この時ばかりは、見えにくいなりに眼を凝らしていたと察するのです、、、



そして、、、顔面 「 ゴーンッ!! 」


ショーウィンドウは強敵ですね。Appleの入口とか笑っちゃいますもん(笑)保己一さんにはなかなか眼が届きません。


そういう訳なので(?)変に無理をせず、変に時間をかけず、楽しくショッピングするための形が、今の形です。


さて、目の前にシャツが並んでいるのに「すみません、これは何色ですか」と聞かれた店員さんには色んな反応があります。


トモは白杖を使っていないこともあって、「何だ?」という空気感も、もちろんみられます。


私はというと、見えにくさについて切り出すタイミングはいつか、(言い方悪いですが)観察してたりします。。。



実際、トモはそこまでポンポンと眼のことはお話しません(これもまた意外に思われますが)。


「この人にまたお世話になるな」と思ったタイミングで、「僕実は、眼が見えづらくて」を付け加えるようです。

お店を出るギリギリのところで言うこともあります。



楽しい、気持ちがいい買い物ができたときは、店員さんの名刺を握りしめて帰ってきます。


名刺の名前を読み上げると「よし、覚えた」となって、次からは一人で買い物です。


買い物は、服探しに人探しですね。

#ロービジョン #視覚障害 #弱視 #人探し #塙保己一 #カミングアウト #私のパートナー

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