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初めての男はリ・ジョンヒョク。でも、その彼を超えるとも劣らない人に出逢ってしまった。ミスターサンシャイン

韓ドラデビューから、まだ一年ほど。寝ても覚めてもその人の顔が思い浮かび、その世界に涙し、社会のままならなさに臍を噛み、ああでもないこうでもないと考えずにはいられなくなってしまったドラマは、愛の不時着だけだった。先週までは。

愛の不時着呟き鑑賞会に歓喜しながら、毎週同じ時間にTwitter上で集い、各々の愛と解釈をダダ漏らし、共有、共感しあった。そのアカウントでは、時間の経過とともに、愛の不時着以外のヒョンビンの過去作を競うように見て幸せを分かち合う方々がいる一方で、不時着で感じた問題意識から、韓国や朝鮮に目を向けて作品を紹介している方もいた。

『ミスターサンシャイン』は、不時着を見て、私と同じところにひっかかりを持っていた方が、大絶賛していた作品だった。いつか、仕事も心も余裕ができたら見ようと決めていた。

日本が朝鮮半島を統治していたころのおはなし、ということだけしか知らなかったので、きっと辛い描写がたくさん出てくるだろうから、精神的にも体力的にもタフな時にしか見られないと思っていたので、ついつい先送りになってしまっていた。


のだが!


見始めて、びっくり。え、、、

聞いてなかったけど、これ、




ラブストーリーじゃん!?


しかも、複層的にだし、三者三様の生きざまと生い立ちと決断があって、それぞれがかっこいいし、それぞれの思いの形があって、たまらない。

そして、貴いような愛なのに、官能的に見えるところも多々ある。

チマチョゴリのスカートが、ク・ドンメの指先を、すす、すすす、って擦れていくところ、うぁぁぁぁぁって身悶えた。翌日職場に、なんとなくチマチョゴリっぽい朱色に近いハリのあるスカート履いていくくらいには、印象に残った。

ユジン・チョイの歩んできた道があまりに険しすぎて、そのひとつひとつを思うだけでも、何日もまだまだかかりそう。

だけど、カール大佐に、「my boss、my friend 、my honor」って言うシーンを思い出すだけでも、泣く。泣ける。

顔つきや出身ではなく、個として認めること。終始彼はそうだった。

日本がペリーに開国を迫られて戦わずして開いたのと対照的に、朝鮮が徹底抗戦したことは知らなかった。

大人になってから、児童文学として描かれている戦争ものはたくさん読んできた。岡崎ひでたかさんの『トンヤンクイがやってきた』や数年前の中学の課題図書『生きる 劉連仁の物語』は特に衝撃をくらった。時代や場所が違うけれど、日本の軍隊のしてきたことを字面で追ってイメージがあったし、想像もした。たくさんの平和資料館での資料や写真も見てきた。

けれど、ドラマという形で、音と色が入ると、たとえば、軍靴の音が近づいてくる、ということへの恐怖が比にならないほど、迫ってきた。

6,と書かれている数字をこちら側から見れば6と主張して、向こう側からみている人が9と主張し、そのどちらもが正しいのと同じように、事実はひとつでも、その人の立場によって見えるものは異なる。

伊藤博文を暗殺した人が、向こうでは英雄だ、と聞いて、初めて歴史を学ぶ小学生の何人が、理解を示すだろうか。

教科書のゴシックの太文字のひとこと、1行で終わることの背景には

このようなミスターサンシャインのような、国を憂える義兵や、各々の立場で立ち上がった名もなきひとや、ジャーナリストや、自分のすべきことをしていたひとたちがいたのだ。


それにしても、画が美しく、役者も美しく、台詞も詩的で、素晴らしい作品だった。

泰造と遠ケンさんにしか見えなかったイ・ビョンホンが、こんなにかっこよく見えるなんて、、、軍服萌えだったのか、わたし。

一方的に守ってもらうだけじゃなく、自分の進む道を凛として歩み、それを男が助けるのも、いい。

「ブロマンス」という表現も、この作品で初めて知った。3人の居酒屋のシーンは、ヒリヒリする本筋の中での貴いオアシスだった。

愛の不時着の次に何を見るか問題、『ミスターサンシャイン』も、ぜひリストに加えていただきたい。

(画像はtvNの公式さんからお借りしました。)

これからミスターサンシャイン備忘録を一話ずつ書いていきます。

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