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昭和の情景がここに 「父の詫び状」

気づけば第3回となりました。学びや読む経験を得るための「エッセイを学ぶ」企画を今日は書きたいと思います。

今回は以前予告したとおり向田邦子の「父の詫び状」です。

この作品はテレビ脚本家としても有名な向田邦子が初めてのエッセイ集として出したものです。中には30を超える作品が少し長いエッセイとして数多く収録されています。

まずこの作品の特徴ですが、戦時~昭和初期という、いわば少し昔が舞台となっています。そしてそこにあるのは当時の生活がすぐそばにあるような印象的な情景描写。これはまるでビデオのような感覚です。

そして情景描写としての中にあるのは理不尽な父親、それを見守る母親といった家族です。今では考えられない描写が続きますが、あの時代にとってはこれが当たり前の光景。そこにあった普遍的な家族の存在はより生活を引き立てるものとなっていました。

また情景描写以外ですごいと持ったのが、構成です。本文では一つの思い出からスタートし、そこからさらに「そういえば・・・」といってまた別のエピソードにつながってきます。

これらエピソードは読んでいるとさまざまな時代をめぐっていきます。一見するとふらついた思い出巡りのようにしか思えませんが、最後になってくるとそれぞれのエピソードに意味が出てきます。そしてどんでん返しほど派手なものではないですが、細かいエッセンスがやがては一つのことに紡がれていく。このやわらかい回収というのがとても読んでいて面白かったです。

あといいなと思ったのが各エッセイのタイトルです。タイトルには表題となった「父の詫び状」の他に、「隣の神様」や「細長い海」といったものがありますが、この言葉のチョイスが本当にうまいと思いました。

情景描写、構成、タイトルと、どこを切り取っても本当に良いなと思ったこの作品。なお解説には「深夜特急」の沢木耕太郎が書いていますが、この点も(個人的に)興味深いところでした。

また解説にはある驚きの事実があります。解説にネタバレがあるのかは分かりませんがぜひ解説まで読んでほしいです。

ちなみに帯には今をときめく、星野源さんが推薦とありました。

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こういう点もおすすめかもしれません。

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