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女子とシューゲイザーのとある一瞬。 〜羊文学「ロマンス」レビュー〜

 羊文学のDRIP TOKYOのライブを見て「塩塚モエカの顔と髪型めちゃかっけー」とか「ドラムの性別わかんねー」とか思ってたら昔レビューを書いたのを思いだした。岡村詩野さんの講座で添削していただいたものである。
 以下、昨年9月の文章です。

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ギター1本のシンプルなリフが、一気にイントロを振り切っていく潔さに耳を持っていかれて、次の曲へと飛ばせなかった。羊文学の新譜「きらめき」の一曲であるこの「ロマンス」は、スリーピースの肉体感を活かした小細工なしのストレートさが気持ちよい。少し悩ましげな「女の子の恋」を歌うためにこのポップなシンプルさを選んだなら納得できるし、SHISHAMOのようなガールズバンドも頭をよぎる。
 しかし、なぜだろう。若者の恋の歌として素直に聞くには、サウンドの妙な無骨さがひっかかる。佐藤千亜紀(きのこ帝国)を連想する、地に足のついた塩塚モエカの歌声も相まって、頭に浮かぶ情景は明るい曇り空のようだった。その違和感はギターソロで解決されることとなり、圧巻のシューゲイザー的轟音が期待を確信へと変える。
 若者/女子の悩みは大人たちが羨むほど良いものではないと言わんばかりの、溢れ出す音の洪水がバンド本来の武器だと理解できたところで、轟音などなかったように何事もなくサビに戻っていく。ポップネスとシューゲイザーの高低差を巧みに用いた、引いては返す波のような女子の激情に怖さすら感じるのは、そんな一瞬の乙女心を、この曲を通して覗いてしまったからだろうか。

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あまり掘り下げないで書いたのでバイブス強めの文章になってますが、プロに添削して貰っただけあってまとまりがある気がしませんか…?

自分の文章がウェットになったのはこの頃からだと思います(ceroの荒内祐のエッセイを読んでからはスノッブになりました)。

音楽の知識ではもう他の人に勝てないので、おもろい文章を書くしかない。




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