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SS『映画三昧』

ゴダールが亡くなったと、疲労困憊して
スイスでこの世から消える方を選んだと
生きている時からもう自分は過去の人さと
言っていた。インタビュアーが褒めると、
「あんなものは駄作だよ。」と言い捨てた
彼の映画『はなればなれに』が私は好きだった。

彼の人柄はひねくれていて天邪鬼そうで
難しく好きにはなれなかったけれど、
作品を観る側にとっては関係ないことだ。

フランスには良い映画監督が多い。
フランソワ・オゾンの『スイミング・プール』や『まぼろし』も好きだ。
パトリス・ルコントもお馴染み、
ルイ・マルやトリュフォー、アラン・レネ、
巨匠も多い。なんたって一番好きなのは、
パトリック・ボカノウスキーの『天使』。
単館のナイトシアターが流行っていた幸せな頃、今はなき六本木WAVEの地下シネ・ヴィヴァンで観た。イギリスの監督デレク・ジャーマンの『ブルー』もそこで初上映され、衝撃だった。新しい名画がよくかかり、哲学がブームだった。

イタリアも同じく巨匠の宝庫。ヴィスコンティの『家族の肖像』、ベルトルッチの『暗殺の森』『1900年』、アントニオーニの『欲望』、フェリーニの『8 1/2』、リリアーナ・カヴァーニの『善悪の彼岸』、思いつくまま挙げたら切りがない。

スペインならアルモドバル、ギレルモ・デル・トロ

ドイツやアメリカならより古い方がいい。
エイゼンシュテインの一連の実験映画にはじまり、エルンスト・ルビッチの『ウィンダミア夫人の扇』『生きるべきか死ぬべきか』、D.W.グリフィスの『イントレランス』を昔オーケストラバックで鑑賞した。
やや近いものならゴドフリー・レッジョの3部作『コヤニスカッツィ、ポワカッツィ、ナコイカッツィ』、ウディ・アレン、コーエン兄弟、ウェス・アンダーソン

ロシアの『チェブラーシカ』の生みの親レオニード・シュワルツマン監督も他界した。

今はもっぱら娯楽ばやりだけれど、現実社会が生きづらいからなのか、景気が冷え込んでいるせいなのか、文化まで涸渇しないで欲しい。


文明は本当に進んでいるのだろうか。


暗闇に瞳を大きく開けて立ち止まる、


「大丈夫?ほんとに、こっちであってる?」



(※新作より)

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