ベイビーからアダルトにステップアップしました

第19回 夢の続き その1

「カンパーイ!!」
「みんな、お疲れ様でしたー!!」
ここは、僕が泊まっているホテルのレストラン。
無事にATPツアーデビュー戦が終わり、「チーム丸尾」のメンバーになっちゃんも加わり、打ち上げパーティーの真っ最中。
さすがにATPツアーである。このレベルになると、一筋縄で行かないレベルの選手ばかり。スピード、パワー、テクニック、戦略眼、戦術。何もかも、下部ツアーとは段違いだ。
少しでも気をぬけば、ポイント獲得どころか、再び下位ツアーに転落する。そうなれば、必要な手続きは全部自分でやらなくてはならない。
もうそんな生活はごめんだ。ATPツアーに参加できるようになったプロ選手が、必死になる理由がわかった。
みんなと食事をともにしながら、これからのトレーニング方法や戦術について議論する。
なっちゃんと諭吉の意見も参考になった。そして選手とコーチ、実際に観戦していた2人の意見の相違も、僕には非常に興味深く聞こえた。
お開きの時間になり、エディーと室賀さんには、次の試合についての打ち合わせ日程について、あした詳細を詰めようとを話し、2人の了解を得た。
諭吉は別れ際にニヤッと笑い、
「じゃあ兄貴、アツ~イ夜を過ごしてくださいね」
といい残し、レストランを後にした。
僕はなっちゃんと一緒に、ホテルのコンドミニアムに向かう。
レストランから出ると、彼女はさりげなく僕の腕に手を回し、身体を密着させてきた。
「今日はお疲れ様。これから、2人だけの時間がはじまるね」
彼女は、僕の耳元で囁いた。
…………今夜も、熱く、そして長くなりそうだ。

歯を磨いてシャワーを浴びると、僕は下半身をバスタオルで覆っただけという格好で部屋に入る。
なっちゃんは、僕より先にシャワーを浴びると、バスタオル一枚を素肌に纏い、ダイニングに設置している椅子に座り、飲み物を飲みながら夜景を見ている。手にしたのは3日前と同様ノンアルコール飲料、今日はウーロン茶だ。
なっちゃんは僕に視線を向けると、黙ってウーロン茶の入ったコップを差し出した。風呂上がりで喉が渇いていた僕は、それを一気に飲み干した。
なっちゃんは、からになった僕のコップに、ウーロン茶を注いでくれた。
そもそもなっちゃんは、お酒に対していい印象を持っていない。
お姉さんが成人式の後のパーティーで、酔っ払って帰宅したことがあった。
その姿を見たなっちゃんは
「あんなみっともない大人にはなりたくない」
と、僕にこぼしていたことを思い出す。
それにアメリカの未成年者に対する飲酒規制は厳格であり、ここアトランタでは21歳にならないとアルコールを口にすることはできない。
大学のスポーツ選手も同様で、シーズン前の段階から、指導陣は各選手にアルコールを口にしないよう伝える。もちろん、シーズン中はほぼ一滴も飲めない。守れない選手に対しては、最悪の場合退部もあり得るのだ。
僕はなっちゃんから、大学生活やアメリカの大学スポーツについていろいろと聞いた。
なっちゃんの通うジョージア大学(「ジョージア州立大学」とは全く別の大学だそうだ)は、アメリカでも有数の歴史の古い大学であること。
故に入学するためには、日本で言えば東大や京大クラスの入試を目指せるだけの成績なこと。
高校時代スポーツで実績を残した学生は、返還不要の奨学金で勉学に励める制度があり、なっちゃんもそれを利用していること。
なっちゃんが所属する女子テニス部は、全米でも有数の強豪であるが故、彼女はレギュラー獲得に至っていない。かといって、勉強そっちのけで一日中テニスの練習に専念できるわけではないそうだ。
というのもアメリカの大学は、たとえ運動部所属の学生でも、勉強優先の生活態度を求められる。練習時間は1日最大3時間、個人練習の時間を確保したければ、睡眠時間などを削るしかない。
テニスに限らず、レギュラーやスタメン選手に選ばれるには、同程度の技量を持つ選手同士の争いになったら、学校の成績のいい選手が選ばれる。
それは大学スポーツの選手は、学校を代表する存在だからだ。もちろん授業や単位認定も厳しい。なっちゃんのようなスポーツ奨学金をもらって学ぶ学生は、成績が規定以下だと奨学金を打ち切られるため、学生も授業を優先しなくてはならないのだ。
優秀な大学に通う学生ほど、その傾向は顕著なのだという。多くのスポーツ学生は勉強とスポーツをきちんと両立させているが、もちろん落ちこぼれもいる。夢破れて、大学を去る留学生も多いという話も多いそうだ。
大学生活について、なっちゃんは「楽しい」と話し、一緒に遊ぶ友人も、沢山いると語ってくれた。しかし彼らの中には、成績不良で大学に来なくなったり、恋愛関係のもつれで、取り返しのつかない事態になった友人もいると言っていた
。スポーツに関しても、なっちゃんの所属する部ではこれといったトラブルはないが、他大の運動部ではセクハラ問題が起きたというウワサもあるらしい。
そのような話をしていたら、あっという間に時間が経ってしまった。
僕のことが欲しくなったのだろう。なっちゃんはイスから立ち上がり、部屋の窓から見える夜景を見ながら
「きれい…………」
と静かにつぶやいた。
僕は部屋の照明を落とし、彼女の傍らに立った。僕たちはしばしの間無言のまま夜景を眺めると、相手に向き合い、情熱的なキスを交わす。その瞬間、2人を覆っていたバスタオルが足下に落ち、僕たちは生まれたまま姿で抱き合った。
四本の腕が、お互いの身体に触れる。髪の毛、顔、首筋、お腹、足。最後に僕たちは、お互いの胸を、たっぷり時間をかけて愛撫した。緩急、強弱を変化させて。
僕が彼女の秘部に触れると、そこはたっぷりと濡れていた。
そして僕のものは、雄々しく屹立していた。
僕はなっちゃんにキスをすると、彼女は顔を窓に向けた。そして小声で
「……………来て」
とつぶやくと頭をこくんと動かし、僕に中に入るよう促した。
僕は立ったままの姿勢で、雄々しく膨れ上がった先端で、彼女の秘部を突いた。
一度後ろに退いてそれを抜くと、勢いをつけて再び彼女を貫く。
彼女は顔をしかめ
「ウッ!」
とうめいた。しかし3日前と違い、ケダモノのような声は出さなかった。僕はこういう場面でも「一皮むける」という言葉を使うのだろうか、と内心で独りごちる。
ゆっくりと腰を動かし、乳房を愛撫する。身体は汗ばみ、顔は快楽で歪み、口からは静かにあえぎ声を出し続けた。窓についたなっちゃんの掌の動きに、思わず僕は欲情する。
丹念に中を突き、丁寧に身体の深いところをかき回してから、僕は彼女の姿勢を正面に向けた。
右足をイスにかけさせた姿勢で、再び彼女の中を力一杯突く。
「ハァー!ハァー!ハァー!ハァー!」
彼女の口から出るあえぎ声が、何とも色っぽい。
リズムを変える。
位置をずらす。
回転を加える。
斜めへの動きを足す。
穏やかに、そして激しく。
いつしか僕たちは、ちょっとした腰の動きの変化だけで、意思の疎通を図るようになっていた。
視線を向けると、口元から、笑みがこぼれてるのが確認できる。よかった。感じてくれている。歓んでくれている。
そして、仕上げに強烈な一撃。
「ア、ア、アアァ──────────────────────────!!!!!」
強烈な雄叫びを発して、彼女はがっくりと頭を垂れた。

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