ベイビーからアダルトにステップアップしました

第22回 ずっとずっと一緒だからね−1

エーちゃんと一つになった2日後、ワタシはATPツアー・アトランタ大会の観客席にいた。
彼がセット間に、椅子に座ってノートをつけている姿を見た観客は、一斉にどよめく。
その姿を見たワタシは、心の中で
「どこにいてもエーちゃんはエーちゃんだね」
とつぶやく。
試合を見て、やっぱりATPツアーのレベルは違うなと実感する。
スピード、技術、パワー、そして戦術。とてもじゃないが、今のワタシのレベルとは何もかも違いすぎる。
もちろん私が所属するテニス部のレギュラー選手でも、このレベルに達するには時間がかかるだろう。
エーちゃんの試合を見ながら、ワタシは思わず嘆息する。
「アメリカ留学」という選択は、今のワタシにとってベストだったのだろうか………。

デビュー戦終了後、ワタシはエーちゃんがスタッフと話しあっているのを見かけた。
ジャマしては悪いと思い、会釈してそばを通りかかろうとしたが、彼に引き留められ、ワタシも話の輪に参加した。
そしてそのままの流れで、彼が宿泊するコンドミニアムのレストランで、夕食をともにする。
コーチたちとの会話は、ワタシの今後の活動について、いろいろと参考になった。
食事会がお開きになった後、ワタシはエーちゃんに呼び止められた。
「なっちゃん、今夜は僕の部屋に来ない?」
もちろん、ワタシに断る理由はない。
3日前に初めて味わった、あの陶酔に満ちた二人きりの世界をもう一度味わえる。
そう思っただけで、ワタシの秘部はぐしょぐしょに濡れるのを感じた。
いけないな、ワタシ。
でもこんなはしたないオンナにしたのは彼なのだ。
その責任は、しっかりとってもらおう。
気がつくと、エーちゃんは深沢くんと顔を合わせてひそひそ話の真っ最中。おそらく今晩もヤるんですかとか、しょーもないことをいっているのだろう。
みんなに挨拶をした後、ワタシはエーちゃんが泊まっている部屋に向かった。
関係者がいないのを確認し、ワタシはさりげなく彼の腕に手を回し、胸を背中に押しつける。
「今日はお疲れ様。これから、2人だけの時間がはじまるね」
ワタシがエーちゃんの耳元で囁くと、彼もそれが何を意味しているのかわかったのだろう。心なしか、にやけているのが確認できた。
…………今夜も、簡単に寝かせないんだから。
覚悟してね、エーちゃん。

エーちゃんが泊まっている部屋に来たワタシは、部屋の広さに驚いた。
キッチンも広く、それ以外の設備も充実している。このくらいの広さならば、ちょっとしたホームパーティーもできそうだ。
しかも、宿泊費は全額大会主催者が払ってくれるという。そりゃ、みんな必死になってプレーするわけだ。
「なっちゃん、先にシャワーを浴びなよ」
ワタシは彼の好意を、素直に受けることにした。もちろん、ホームステイ先に今夜はエーちゃんの部屋に泊まることは、事前に連絡してある。エーちゃんの滞在予定に合わせてピルを飲んでいるから、今日も中出しされても大丈夫………のハズだ。
シャワーを浴び終えると、素肌にバスタオルを纏ってダイニングに向かう。入れ替わりに、エーちゃんがシャワールームに入る。
ワタシは冷蔵庫の中からウーロン茶を取り出すと、2人分のグラスをダイニングにあるテーブルの上に置いた。窓の外に広がる夜景を見ながら、グラスに口をつける。
ワタシは、お酒というものにあまりいい印象を持っていない。
姉が成人式のパーティーでぐでんぐでんに酔っ払って帰宅した姿を見たワタシは、あんな大人になりたくないとエーちゃんに愚痴ったことがある。
それでも舞台が日本だったら、ワタシは躊躇なくビールかワインを、テーブルの上に置いていただろう。そうしなかったのは、ここがアメリカだからだ。
アメリカは、未成年者に対する飲酒規制は厳しい。今回エーちゃんが泊まっているホテルがあるアトランタでは、21歳未満の飲酒は法律違反で、処罰の対象になる。私たちはまだ19歳だから、アルコールは飲めないのだ。
アメリカの大学運動部も、アルコールには厳格である。
シーズン前には、指導陣は選手たちに飲酒禁止を通達する。もちろん、シーズン中は飲酒不可だ。
違反した選手には、活動停止、退部等の厳しい処分が待っている。スポーツ奨学金で部活に打ち込んでいる学生にとって、これらの処分は死刑宣告に等しいので、これらの規則を破る選手はまずいない。
しかし結果を出せない選手の中には、酒やドーピング行為に走る人間もいる。幸いワタシの部活には、そういう不心得者はいないが、他の運動部や他大のテニス部及び部活では、それに近いうわさ話がでることもある。
そういう話を聞くたびにワタシは心を痛めるが、ひょっとして次はワタシかも………怯えているのも事実だ。
椅子に座って夜景を見ていたら、シャワールームからエーちゃんが、下半身をバスタオルで纏って出てきた。
ワタシはウーロン茶を彼のグラスに注ぎ、彼に差し出す。風呂上がりで喉が渇いていたのだろう、彼は一気に飲み干すと、空になったグラスをワタシに差し出す。ワタシは黙って、彼のグラスにウーロン茶を注いだ。
夜景を見ながら、ワタシはエーちゃんに、こちらの大学生活と運動部の実情を話した。
そういえば3日前は、彼がほとんど一方的に話すだけで、ワタシはただただうんうんと、適当に相づちを打つだけだった。その時とは反対に、今回はワタシが、近況を一方的に話す格好になった。
しかもその内容は、時間の経過とともに愚痴っぽく、ネガティブな色彩を帯びたものになっていた。
3日前エーちゃんがワタシの家に来たとき、今までの楽しい思い出を語って聞かせてくれたのと正反対の内容になったことに、ワタシは愕然とする。励ますつもりで彼の部屋に来たのに、こんなはずじゃなかった。あの時も今も、心の中でさっさと私を抱いて欲しいと思っているからだろうか。
知らず知らずのうちに、彼をがっかりさせてしまったようで、ワタシの心の中に、彼に対するすまない気持ちがどんどん広がっていく。
ごめんね、エーちゃん…………やっぱり、ワタシはずるくてジコチューなオンナだよ。
自分の口からでる言葉が、自己嫌悪的な言葉ばかりになっていることに気がついたワタシは、いたたまれない気分になってイスから立ち上がり、窓から見える夜景をぼんやりと眺めていた。あの夜景の下には、無数の夢がきらめいている。
そしてそれと同じ数だけ、夢に破れた者の慟哭が満ちあふれているのだ。ため息をつきながらも、ワタシはエーちゃんに心配をかけたくなかったのだろう。わざと
「きれい…………」
とつぶやいていた。
いつの間にか、エーちゃんはワタシの傍らに立っていた。部屋の照明は、すでに消えていて、中は真っ暗だ。窓から注がれるライトの光がまぶしい。
2人は、しばらくの間黙って夜景を眺めていた。
部屋に入るときに時計を確認していなかったから、改めて時間を確認するのはヤボというものだ。私たちは自然と向き合い、情熱的なキスを交わす。お互いのバスタオルが下に落ちたのを合図に、2人の欲望に火がついた。
立ったまま生まれたままの姿で抱き合うと、お互いの腕が相手の身体をまさぐる。
緩急強弱を次々に変化させ、ワタシとエーちゃんは満足するまで、お互いの身体を愛撫した。
髪の毛からはじまり、顔、首筋、お腹、足へと、私たちは情熱をこめて抱き、触れ、軽く爪を立て、キスをする。
最後にエーちゃんはワタシの乳房、ワタシは彼の胸板を、ゆっくりと時間をかけて愛撫する。エーちゃんがワタシの乳首を、自分の舌でじっくり時間をかけて味わうと、ワタシの乳首は硬く大きくなった。
彼の口から
「愛している」
という甘いささやきがでるたびに、ワタシのささくれだった心は癒やされていった。
彼の欲望は、胸だけでは満足できなかったのか、今度はワタシの秘部に唇を近づけた。
そして熱い吐息とともに、舌で秘部をなめ回しはじめる。
緩急を交えた彼の攻撃に、ワタシの秘部は悲惨な状態に陥った。許容量を大きく超えた愛液は、ワタシの足首にまで流れてくる。
頃合いを見計らい、ワタシも彼のイチモツを舌でなめ回す。
オーラルセックスが、ガンの原因になるのは、エーちゃんもワタシも十分承知だ。だから、お互いが口で相手の秘部を愛撫する時は、コンドームを使っている。快楽に耽るあまり、ガンで若い命を散らしたというのはワタシだってイヤだ。
ワタシはコンドームを彼の秘部にかぶせると、太く固くなった彼のモノをくわえ、舌で丹念に愛撫する。予期せぬ快楽に彼の顔は歪む。息づかいも荒くなる。

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