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消えたバナナとおじいさん

おはようございます!
チャイルドマインダーのみぎたです(*'ω'*)

まだまだ暑い日が続いていますね。
ということで今日は、私がこどものころに体験した不思議な出来事をお話したいと思います。

私は九州の東側に位置する大分県のたいそうな田舎で育ちました。
山に囲まれて、夜7時になればすべてのお店が閉まり、コンビニもなければ遊ぶところもない。
そんな田舎でも地名が同じということで、「ととろの森」として人気となった観光名所があります。自然に恵まれている場所なので本当にそれっぽくて、ジブリファンにはたまらない場所だと思っています。

ととろ1

ととろ2

ととろのバス停。
かつては路線バスが止まるバス停として機能していましたが、路線廃止に伴い、現在では地域のコミュニティバスのために使用されているようです。

トトロ3

ととろ4

近くにはキャンプ場もあります。


どこへ行っても写真のように木々が生い茂る、自然豊かな環境で15歳まで過ごしました。



私が体験した不思議な出来事というのは、4歳くらいの頃のことです。

私の面倒は祖母が見てくれていたので保育園には通っておらず、いつも家にいました。外に出れば隣近所のおじいちゃんやおばあちゃんたちが一緒に遊んでくれたり、よく声をかけてくれたりしたので、その日も「誰かいるかなぁ」と、一人でふらふらと外に出ていました。

いつもは外に出て遊んでいると誰かしらが声をかけてくれるのですが、その日に限って隣の家も前の家も留守、隣のさらに隣の家の人もいない、そんな事めったにない、珍しい日でした。しかたがないので、自分の家の道路に面した庭のようなところで花を摘んだり小石を拾ったりしていると、こちらに近づいてくる足音が聞こえてきて、なんだか久しぶりに人に会うようなそんな気持ちになり嬉しくなって駆け出てみましたが、そこにいたのは会ったこともない知らないおじいさんでした。

私は初めて会う人だったので会釈だけしてまた小石拾いをしようとすると、おじいさんのほうは何とも親しげに話しかけてきました。
「私が覚えていないだけでこのおじいさんは私のことを知っているんだ。知らん顔しちゃいけない」
そうこどもながらに感じ取り、わずかな時間でしたがおじいさんのお話に付き合うことにしました。珍しい経験をした時の会話などは今でも覚えていたりするのですが、なぜかこの時の会話の内容は靄がかかっているようで何も思い出せません。覚えているのは、「…をあげるからついておいで」から後のことだけ。

愛想がよくて、人のことを信じて疑わない素直なこどもだったので、あまりよく知らないのに、私はおじいさんについていきました。「何をくれるって言ったんだろう」と思いながら横に並んで歩いていましたが、おじいさんは急に無口になり、そのせいで私は不安になって「行かないって言えばよかった」と思い返し、胸がどきどきしていたのを覚えています。


色んな思いを巡らせているとおじいさんの家に着いたらしく急に立ち止まったので、私も慌てて足を止めました。私の家からは5軒ほどしか離れていないのにもかかわらず、随分と長い距離を歩いたような気がしました。そしてその道はおばあちゃんとよく通る道でしたが、その日初めてそこに家が建っていることに気が付きました。

大きな石がふんだんに使われて庭もあって、ちょろちょろと水の音が聞こえてきて、昔ながらの立派なお屋敷でした。

生まれて初めて見る立派な家の佇まいに驚き立ち尽くしていると、おじいさんは「ちょっと待ってなさい」と言って、家の中に消えていきました。
その間も辺りは静かで、誰一人としてそこを通る人はいませんでした。

しばらくしておじいさんは何かを手に持って出てくるとにこやかに、「さっ、これ、持っていきなさい」と6本くらいついている立派なバナナを一房、私の腕にのせてくれました。
よく知らないと思ったことを申し訳なく思い、おじいさんに何度もお礼を言い、重たいバナナを抱え私は家に帰りました。

人に何かもらったらすぐに言いなさいとおばあちゃんに言われていたので、家に着いてすぐ事の次第を話し、バナナを渡しました。

家に着いた時にはもう夕飯の時間が近くなっていたので、その日はバナナにありつくことがないまま一日を終え、次の日になり、「そうだ!」と思い出しておばあちゃんにもらったバナナが食べたいとせがみました。
しかし何の冗談でしょうか?
おばあちゃんは、「バナナはない、そんな事は知らない」というのです。何度私が前日のことを話しても知らないと言い、結局その日もバナナにありつくことができず、何か良くないことだったのだろうと思うようにし、もう忘れることにしました。


それから何日かたったある日、おばあちゃんとお買い物に出かけ、おじいさんの家の前を通ることになりました。バナナがなかったことになってしまったので、おじいさんの話もしない方がいいのだろうと胸に仕舞いながらも、「おじいさんいるかな」と気になって、少しだけ速足で歩きました。そしておじいさんの家の前に差し掛かった時、私は絶句したのです。

「家がない!」

私が目にした立派なお屋敷なんて、そこにはありませんでした。崩れたのか壊されたのか、ここ数日の話などではなく、積み上げられた瓦礫にはうっすらと緑色の苔が生え、その周辺は雑草が覆い尽くし、長い年月人が立ち入った気配すら感じられない、そんな場所でした。

おじいさんとは話をしたし、この目で家を見て、水の音を聞いて、バナナの重さをたしかに感じたのに。そこは瓦礫の山だったのです。
おばあちゃんに聞いても、前からそこは瓦礫の山だったと。他の人に聞いても返事は同じでした。





以上がこどものころに体験した不思議な出来事です。

こんな話をすると怖がる人がいますが、私は「怖い」や「気持ち悪い」などといった感情は全くなくて、ただただ不思議な出来事として懐かしくなることがあって、時々思い出してしまいます。

私がその日見た「それ」は、いったい何だったのでしょうか?


答えが知りたい…

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