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天変地異なショックはアーティストに必要なのか。自分で実験中。

このところSNSに何も投稿していませんが、私は静けさの中で音楽活動をしているだけで、元気です。前回の記事に書いたように、ここ2週間ほどワイオミング州の山と山の間に居て。あと10日ほどこの生活が続きます。

施設への入り口から見える夕陽。世界が全てオレンジになる。


毎日、あさ6時くらいの日の出と共に何となく目がさめて、外に出ると空気が朝の色で朝の香りで、それが味わえるのは朝だけです。

鳥たちは朝に特によく鳴いていて、色んな種類の別の鳥が自由に歌っていますが、全部がとても良いハーモニーを奏でています。都会の鳥たちのように餌を求めて近づいてくることはなく、ここの鳥たちは敏感でスグ飛んでいってしまうので、鳥の写真はなかなか撮れません。

こんなにすごい朝焼けが部屋の目の前から見える。


朝の最低気温は摂氏で15-19度くらいで、いつも少し寒くて、私はサンダルを履いて、クリークの前の岩の横に陣取ってコーヒーを飲みます。太陽の方角を向いている東側だけが温まるので、身体を回転させて全体を温めるようにして、太陽のすごさを毎日感じています。東側に向け日が高くなってくるとだんだん暑くなってきて、そのタイミングでログハウスに戻ります。

私が毎日出勤する岩は、これ。あっ、よく見たら隣に置いた椅子に私の緑のジーンズが干してある笑。
坂を降りた、クリークに一番近いところに私のログハウスがある。ここを自転車でびゅーっと降りるのが楽しい。
ログハウス。だんだんここを、自分の家のように思い始めた。


鹿のファミリーとは日の出前の夕暮れに一番良く出会います。空の色がピンクになりオレンジになりブルーになって黒になっていくこの時間帯が一番好きなので私は外で写真を撮る事が多く、鹿ファミリーを驚かせては「逃げなくていいよ〜何もしないよ〜私よりあなたの方がフィジカル強いから戦ったらどうせ私が負けるよ〜」と叫びますが、通じたことはありません。一度歌にしてそれを言ってみましたし、英語と日本語の両方の歌詞を試しましたが、だめでした笑。

いろんなところで出会う鹿さん。これは窓越しに撮影。
夕陽をとても大きく感じる。この橋の向こうが鹿さんのディナー会場で、最大で15頭くらいのファミリーでごはんしてらした。
どこからどう撮ってもきれい
私ははっぱの隙間から見える太陽が好き
こうやって夜になっていく


日が落ちて真っ暗(本当の真っ暗 - 9pmくらい)になるとだんだん眠くなります。暗くなってからの蛾や小さい羽虫との戦いは、湿度によって難易度が変わります。雨の前は驚くべき数の虫が出てきて、それは私のアレルギーに影響があるので、私はスタッフに用意してもらった小型掃除機で"彼ら"を吸い取って、ログハウスの外で蓋をあけて生きたまま逃します。生きたままだとまた部屋に入ってくるのでは?と思うかもしれないですが、まあ、その時はその時です。

今このタイプの蛾が大発生する時期らしく、私のログハウスにもたくさんおいでになります汗…色んなところでお会いしましたが、ここだけはさけてほしかったな…。この人は留まる場所によって色が変わるので間違えてstep onしてしまったりして。そこがまたキツイ。
きぇ〜〜こんな蛾は初めて見た!というタイプの蛾さん降臨。目が小さくて、蛾は複眼であるという私の常識が壊れた。横から見たらエビじゃん!!!くちばし尖ってるし。どうなってるん?真っ白だし。でもグレーの所に留まったらこの人も色が変化してグレーになっていた。おぬしやるな。


ショッキングで刺激的なネットフリックス映画のような人生はここにはなく、代わりにあるのは、多様な植物、鳥、虫、生き物の形と色のバリエーションに驚かされる毎日です。乾燥地帯であるここには、背の低い植物がたくさんあり、身をかがめて彼らをクローズアップで見ると、色や形の創意工夫の深みに言葉を失います。太古から様々な民族が自然=神、と解釈してきた理由が分かります。そう考えるのがどう考えても妥当でしょう。人間だけではこんなにたくさんの創造は出来ないです。


到着してから最初の3日くらいは、私の五感が全部「ちょっと待て、これはかつて経験したことがないやつだから、アジャストさせてくれ」と言っている感じで、ものを見ても距離感が測れなかったり、目に入る色が人生で初めての色で、言葉が出てこなくなってその代わりに和音が聞こえたり、不思議なことがたくさんありました。

その次の数日は真逆で「私はここから来たのだ」という感覚になりました。そう言えば、私が4歳までは近くに海があり、5歳から引っ越した家は新興住宅地でまだ周りに自然がたくさんあり、水田から聞こえるカエルと虫の声を聴きながら毎日寝ていたのです。それ以来、ログハウスを出て外の景色の一部になるたびに、あなたはここから来たのだよ、おかえり。忘れていただけだよ、という声が聞こえるようで、そのたびにどこからともなく涙がでます。

紫いろのひととこんにちは
しゅっとした黄色いひととこんにちは
こういう子たちも、朝露が付いてきらきらと
はっぱがちぎれていたってきれい
しろいシュッとした人とこんにちは
頭を垂れる稲穂かな(これは多分稲穂ではない)
あざみさんたちとこんにちは。
こういう瞬間が好き
小さい黄色い人とこんにちは。私はアメリカでは黄色人種扱いされるから、黄色には仲間意識あり。
これはラムズイヤー(羊の耳)という名前のはずで、北海道の植物園で見たけれどここには普通に生えている。乾燥から身を守る手段として毛が生えたんだろうな。
大きめのなにかとこんにちは。


このUCROSSレジデンシーでの生活は素晴らしいです。シェフが作ってくださる栄養たっぷりの料理、こころを込めて助けてくれるスタッフ、私を入れて10人の様々なジャンルのアーティストから受けるインスピレーション ... それらが、こんな素晴らしい自然の中にあります。

この滞在は「賞」なので、費用負担は一切ゼロ。1ヶ月にわたり、私が良い音楽を出来るようにスタッフが走り回って手伝ってくださるというのは衝撃的すぎる体験です。

かつ、自然のチカラが大きすぎて、まだ私は曲を「書く」気になれません。とにかくまだ、inputしたいようで、出そうとすると全身がoutputを拒絶してinputを続けさせてくれ!と訴えて来る感じがあるので、それに今は従ってみています。

この先自分に何が起こるのか…あと10日、楽しみです。
以下に写真をたくさん投稿しましたので、どうぞお楽しみください!

*米国にはこうした「アーティスト・レジデンシー」と呼ばれるものが無数にあって、このUCROSSはその中でも"prestigous"(名声のある・権威のある)ものと認識されているとこちらに着いてから知りました。たった10名のアーティストグループの中に入れてもらえることは、本当にありがたいことです。

ある日のディナー。色がきれい。
土日はシェフが休みで。フォトグラファーのBingくんがみんな(10人分!)に料理を作ってくれて皆大感激してお手伝い中。
Bingがデザートに作ってくれた桃のグリル!桃を!グリル!
この二人は作家!三浦綾子の初代の娘である私、作家の方ってそれだけで大尊敬だから、女性作家にあえて嬉しい。
ある日の夕食後急にゲームやろう!ということになってゲーム大会w
シェフからのランチ。この日は野菜たっぷりのラップ(包む形のサンドイッチ)だった。
外から見たログハウス
中の様子。いろんな機材が用意されていて行くだけでOK。
グランドピアノもあるでよ〜
前半2週間一緒だった10人のチームがめちゃくちゃ仲良くなり。すごく嬉しい。作家3人、写真家いとり、ダンサーひとり、ビジュアル系(目で見るもの、音楽とか体験型ではなく)アートの専門家が一人、劇場系芸術の専門家がひとり、音楽家は私を入れてふたり、最後のひとりは音楽系の執筆をしている人、とバラエティ豊か!
気候が良い日は外で仕事。
ランチボックス入れがかわいい。私のだけなぜか異様にカラフルw



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