八月のある朝に——日記のような小説のような
何年ぶりかも知れない真夏の早朝の涼しさのなか、公園の前を通りかかると、真ん中にある円形のベンチに腰かけた二人の老人が、まわりに大量の鳩を集めて餌をやっていた。いつもなら眠りがようやく深まるはずのその時間に、ぼくは終電を逃した友人を駅に送っていくところだった。子どものボール遊びか、カップルのフリスビーか、ストイックにダンスを練習する若者か——日が昇って間もない公園にいるのは、そうしたいつもの人たちではないのだった。ベンチの背後には柳の木が一本ひょろりとたっていて、うっすらとし