『呼吸をふわっと整える』 セルフ・ライナーノーツ その3
それでも気になる<呼>と<吸>のあいだ
決定的な身体の変化の瞬間は目に見えませんが、呼吸が変わり、深くなっていくのは誰でも目の当たりにできます。基本的には先ず呼吸の<吸>が大きくなり、続いて<呼>がだんだん長く深くなって、<呼>と<吸>のあいだがゆったりとする。
そうなるとすでに身体は変わっています。身体に触れて揺らしてみると、柔らかく軽くなっているのが分かります。
息が合えばいいのです。“ 息が合う ” と、身体は能動的に自ら最適なバランスを生んでいきます。つまり整体とは、受け手と術者のあいだで “ 息が合う ” ように、互いの “ 間合い ” を調整するということにつきるわけです。
整体は一見、術者が受け手に一方的に〝 施術 "しているように見えます。ですが、受け手の身体は受け身ではない。自ら動き、変化するという以上に能動的です。術者が働きかけるのと同様に、あるいはそれ以上に受け手側も働きかけている。つまり整体は、一方的施術ではなく互いの応答・相互作用そして共鳴の場でもあるのです。互いに呼吸を合わせ、また呼吸を外す。動きがないようでいて武術のごとき攻防があっ て、さらに互いに" 息が合い "共鳴して技がきまる。これらの〝 本当の深部の応酬 " はほとんど意識的にではなく無意識下で起こっています。意識できるのは、その入り 口まででしかないといえます。 『呼吸をふわっと整える』 第3章より
<呼>と<吸>のあいだで何が起きているのか?
分からなくても、実用上は困りません。身体が勝手に動いてくれるわけですから。その勢いに水を差すようなことさえしなければ、身体が自ら判断し、バランスをとってくれるのです。
だけどやはり気になるのです。<呼>と<吸>のあいだが…
つづく
『呼吸をふわっと整える』は2019年10月16日 河出書房新社から刊行予定です。現在、Amazon で予約受付中。
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