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テレビテロップから学ぶ紙媒体デザイン

どうもこんにちわ、ミッフィーです。

さて、みなさんは「テレビのテロップ」に注目することはありますか? どれもデザイナーさんが一生懸命デザインしているものですが、当たり前すぎて、その存在がデザイン的な文脈から注目されることは少ないのかもしれません。

ワタシは幼いころからテロップに興味を示してきました。「テロップをデザインする仕事に就くぞ!」と、テレビのCG会社を見学したり、自分で映像を編集してテロップを作ったりするなど、美術よりも放送業界に興味のある時間のほうが長かったくらいです。

その後、紙媒体のデザイナーになりたいと路線変更して、余白を活かしたレイアウトやタイポグラフィ周りを追究していったため、一旦は放送関連から遠ざかったものの、最近になってテロップを見る趣味が復活、またそれを日々のデザイン業務にフィードバックできることが分かってきました。

たとえば、以下のテロップからの発見があったんです。▼

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▲TBSニュースにおける通常のテロップですが(内容ではなく、デザインを見てくださいね……!)、ワタシはこのデザインを見たときに驚いて、「この手があったか!」って思いました。

タイポグラフィ界隈的には、AXISフォントが使われているのも萌えポイントですが、そこではなく……

テロップにほとんど「縁取り処理」がなされておらず、ほぼ「弱めのドロップシャドウで処理されている点」に注目です。テロップというのは基本、映像の上に乗せられるものなので、何らかの縁取りがないと文字を認識できません。それ故に「ゴチャゴチャした」印象を感じさせてしまうのも、仕方のないことではありました。

しかし、このTBSニュースでは、文字に縁取りを付けるというよりも、「周囲をうっすらと暗くすることで」視認性を確保する手段が採られました。暗い部分は上へ向かうにつれてどんどん明るくなっているわけなので、あまりその効果が施されていることも気がつきません。それだけで、全体がスマートな印象に見えてくるのです。(※上の画像は背景が白っぽいから効果が分かりやすいですが、他の映像だと本当にさりげなく見えます)

「これ、日々の(紙媒体の)仕事にも使えるんじゃ……?」

もちろん、この手法はTBSニュースによって初めて生み出されたわけではなく、「世の中を見渡せばよくある手法」のひとつです。しかし何気なく見ているテレビにも、こういった「ヒントになる事例」はたくさんあって、なおかつ「楽しいよ!」ということをお伝えしたいのですが……。

たとえば、以下をご覧ください。▼

花まつり

▲これは、この記事のために作った極端な作例ですが……
写真の上に白い文字を乗せたくても、これでは視認性を確保できません。読みづらい。かと言って、縁取りをつけてしまえば印象も変わりすぎてしまいます。なので、先ほどのテロップをヒントに、独自にこう解釈しました▼

花まつり2

▲どうでしょう? 1枚目から大きく印象が変わることなく、文字を読みやすくすることができたと思うのですが……。

つまり、これは
「不透明度の低いフチをつけて、それをすごいボカした」んです。▼

花まつり3

▲背景が白だと分かりやすいこのフチも、写真に変わるとほとんど分からなくなってしまう。だからこそ「使える」んです。縁に付けることで、位置を動かしても周りが自然に暗くなってくれるという利点もあります。

 * * *

テレビのテロップって、ほとんどが「縁文字」「装飾文字」なんです。印刷物でもチラシなどで縁文字が使われることは多いのですが、その比じゃないんです。現にテロップを制作する専用ソフトウェアの多くは、文字の装飾機能がとても充実していて、PhotoshopのレイヤースタイルやIllustratorのアピアランスもこれくらいになってほしいと思うばかり。(もっとも、ワタシは使ったことないから偉そうなこと言えないな)(使いたい!)
ですから文字に関するヒントがたくさん詰まっているのが「テロップ」だと思うのですよ。

最後に、実際にTBSのテロップ制作画面が乗っているnote記事にリンクさせていただきますね。ワタシのnoteでは今後もテロップにまつわる話題を更新予定です。




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