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読了後の呟き〜この本のここが好き〜その6

 こんにちは、ご機嫌いかがですか?夏の盛りは過ぎたように思いますが、まだ台風などで油断できません。お気をつけてお過ごしください。

 毎度ながらネタバレを含むこともある感想文です、ご注意ください!

 本日はやや遅れましたがホラーでいってみたいと思います。

 実は表紙がおどろおどろしくてちょっと買うのにためらった作品です。最後まで読むと色々と登場人物にだまされていたのが明らかになり、思わず膝を叩いてしまった作品です。

表紙、怖過ぎない?

 まず、表紙で苦手だなと思った人がいそうな気がする。それもったいないから読んで!って作品です。雨が降る中、廃墟らしき建物の中で斧を持った人物。手前には首のないお地蔵様。お地蔵様の足元には鮮やかな黄色い花。

 暗い色彩にぽっと添えられた黄色い花がまた不気味です。苦手な人は苦手だけど、この手の画風が好きな人にはたまらん表紙だと思います。

そもそもどんな話? 

 一家五人が惨殺された事件を題材に書かれた作品、乙霧村の惨劇。その著者が顧問を務める大学の文学部サークルが乙霧村を訪れる。そんな導入で始まる作品です。

 田舎道を揺られながら六人の男女が向かった先で起きた出来事とは?それはネタバレ防止で詳しくは書きません。田舎で起こった殺人事件で多くの人が亡くなった、というのはミステリーやホラーにはありがちな展開です。手垢がつき、目新しさが無い様に思われるかもしれません。が、最後に展開がガラッと変わるのでそれを楽しんで欲しいと思った。

 作品としては一人称視点の読みやすい小説です、文字もちょうど良い大きさでそれほど行間も詰まってなくていいページ構成だなと思いました。注目するところ、そこ?だっていいページ構成だと思ったんだもん。

ネットが当たり前の今だからこそ読みたい作品

 今では緊急時に電話がパンクしてつながらないからSNSアカウントで安否確認をする、というのが定着してきました。それだけ身近で、コミュニケーションツールとして慣れ親しまれている証拠でしょう。

 逆に、身近だからこそのトラブルもありますがそこは道具。使い方次第です。この作品はSNSや動画投稿に関する、ネットへの姿勢を考えさせられる作品だと思いました。

 登場人物たちがやってしまったことに対してネットで情報が出回り、色々と厳しい意見が匿名で書き込まれるシーンがあります。最近ではよく見る光景でありますが、考えていかねばならない課題であると再確認させられました。

文章に散らばる違和感が一気に納得に変わる体験

 主人公の視点から書かれているからこそ、書ける作品というのはあります。主人公自身が犯人だった、というのは特に分かりやすい例でしょう。この作品もそういうタイプです。

 大学生にしてはちょっと違和感があるような。主催の学生と付き合いのない主人公が参加したにしては、どうも周りの学生からのあたりが強くないかなとか。なぜこういう表現なのかなとか。引っかかる表現を見つけるとワクワクしたものです。

 細かいトゲのように刺さった気になるポイントは後編の謎解きパートで明かされます。それを楽しんで欲しいので語るのはここまで。あとはご自分で確かめてください。

最後に

 著者の伊藤瞬様、出版社様、この本に携わってくださった皆様へ。お疲れさまでした、良い作品でした。素晴らしい作品をありがとうございました。

 最後に、ここまでお読みくださった皆様へ。読んでくださりありがとうございました。何かと気遣いばかりの世の中ですが、健やかで心穏やかに過ごせますように祈っております。


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