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ライターになる道はいと険し8

人生思いもよらぬことがある。私にもそんな機会が訪れた。12月にクラウドワークスで合格をくれながら、ずっと音沙汰がなかったクライアント。もはや縁がないものと諦めていたが3月にいきなり連絡がきた。内容はNFTに関する記事10本。信じられない気持ちで案件を引き受けた。

早速記事を書こうと1番目のタイトルからネットで該当のものを探した。しかし目指すものは全く出てこない。出てきたのはアニメ関係のDiscordばかり。Discordは、テキスト・ボイス・ビデオを通してコミュニティや友達と集う居場所をつくれるアメリカ発のチャットサービス。

私に渡された案件はほとんどがDAOに関するものばかりだった。DAOとは分散型自律組織といって、特定の管理者が存在しないブロックチェーン上の組織のこと。どう見てもクライアントがアニメのDiscordの記事を望んでいるとは考えられない。日本のアニメのDiscordなんて絶対に間違っている! 
首を傾げながら私はとりあえず1番目は外し、2番目の記事に着手することに。

そこで私は鼻血が出そうな思いをした! そう、気づいたのだ。クライアントが求めている記事は、英語サイトを見ないと書けないことに。
「こんなんで記事作れるのか?」
英語サイトから記事を作るのは初めてだ。途方にくれた私はカナコ先生に相談する。

先生に相談すると、「とにかく翻訳文を読んでそこから記事を起こしましょう」と。別に私は英語が嫌いなわけではない。むしろ学生時代は得意だったし、仕事で英語を使っていたこともある。問題は、DAOに関する内容がとにかく哲学的なものが多いこと。アートや政治、フェミニズムに関することなど、難解な英語表現多い。いくらアートや英語が好きな私でも、概念を表すような英語を読むのはちときつい。哲学もどちらかというと好きなのだが、英語で概念を読むとなると怪しい……。

引き受けた仕事の重さを感じる私。
「大変な仕事を受けちゃったなあ。こんなんで記事を完成できるのか?」
頭の中に浮かんだのは仕事を放棄するいわゆる「飛ぶライター」だ。
思わずアホウドリになってしまう自分を想像した。
きっと彼らもこんな心境だったに違いない。
しかし、仕事を放棄するわけにはいかず、清水の舞台から飛び降りるつもりで、私はこの難解な課題に挑むことにした。

最初はとてつもなく時間がかかり、仕事を投げ出したい気分だったが、根性で乗り切った。なぜなら、その仕事は当時の私にとっては報酬もよく投げだせないと思ったからだ。
しかし、不思議なものである。最初は無理だと思っていた記事も、何件もやっている間に慣れてきた。むしろやっていて楽しいとさえ思えてきた。
元々アート好きな自分にとって、DAOの内容は楽しいものであった。シュールな絵があったり、未知のゲームのことを教えてくれたり。

記事の推敲を何度も重ね、とうとう私はすべての記事を納品できた。
そこにあったのは大きな達成感。
DAOの記事は、通常書いている記事よりはるかに難しかった。でも、難しいからこそ完成する喜びがある。そして気づいてしまった。簡単に書ける記事よりも、難しい記事のほうが喜びを感じられることに。

その後もNFT関連の記事を書き、並行して受かった他の案件に取り組み、平和な日々を過ごす私。しかし、そんな私を地獄に突き落とす出来事が待っていようとは思わなかった。「人生って本当に波がある」と感じるような出来事が私を待ち受けていたのである。


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