見出し画像

#8 シネ・ヌーヴォ

大阪のミニシアター

 今回もまたミニシアターらしいミニシアターで、シネ・ヌーヴォです。前回の第七藝術劇場とシアターセブンの紹介の際、「ここがなくなったら、日本の新たな映画作家の作品は、大阪では一体どこで上映されるのか、日の目を見ることがなくなるのではないか」などと書いたあと、「ん?大阪にはシネ・ヌーヴォもあるぞ?」と思ってしまったので、慌ててシネ・ヌーヴォも取り上げることにしました。

シネ・ヌーヴォ
http://cinenouveau.com/

 シネ・ヌーヴォも、やはり大手チェーンのシネコンでは全く見ることのない作品ばかり上映してくれるミニシアターです。第七藝術劇場やシアターセブンと比べると、ドキュメンタリー映画の上映や昔の日本映画の特集上映が多いかなという印象です。

シネ・ヌーヴォの場所

 シネ・ヌーヴォは九条にあります。京都の九条じゃなくて大阪の九条。大阪メトロ中央線や阪神なんば線の九条駅が最寄駅で、地理的にざっくりいうと、梅田と難波の間で西寄り、といったところ。行き方は…これまた、どう説明しよう?と思って公式サイトを見に行ったら、わかりやすい地図が出ていました。特にモバイルサイトの地図のほうに、わかりやすい案内文がついているので、おすすめです。モバイルサイトは、PCサイトのトップページの「NEWS」画面をスクロールしたらリンクが出てきますが、コロナ関係のお知らせのせいで下のほうに隠れてしまっているので、ここにリンク先を書いておきます。

シネ・ヌーヴォ モバイルサイト
http://cinenouveau.com/m/mobile.html

 なんだか説明を公式サイトに丸投げしてばかりな気もするので、少し補足。大阪メトロ中央線の九条駅から地図に沿って歩いていくと、途中で商店街を離れて住宅街に入っていって、ほんとにこんなところに映画館があるの?と不安になります。でも、地図のとおり歩いていれば間違っていないので大丈夫です。映画館の入口は、独特のアートな雰囲気にデコレーションされています。初めて行くときは、見たい映画の上映開始時刻に対して少し余裕を持って出かけ、ネットで劇場入口の写真などを見ておいたら、無事たどり着けると思います。

シネ・ヌーヴォX

 シネ・ヌーヴォの上の階に、シネ・ヌーヴォXがあります。あれって一応2階になるんですかね? とにかくシネ・ヌーヴォの上の階です。このスクリーン、昔はなかったのですが、2006年にできたようです。というのも、私はシネ・ヌーヴォに長らく行っておらず、少し前の20周年の改装後に久しぶりに訪れました。そのとき初めてシネ・ヌーヴォXができていたことを知り、「なんだここは!?」と驚きました。シネ・ヌーヴォX は24席だけのホームシアターのような劇場で、フロアの天井もあまり高くなく、手作り感満載で。床面に傾斜もないため、座席のほうで傾斜をつけています。最前列の座席は座椅子のようになっており、最後列は椅子の足を溶接で継ぎ足して、バーカウンターの椅子のように背を高くした感じ。なんだか無理やりスクリーンを増やしたようなつくりですが、シネ・ヌーヴォXがあるおかげで2スクリーン体制になっていて、たくさんの上映作品を提供してもらえている、と大変ありがたく感じています。

会員制度・シネクラブ

 シネ・ヌーヴォには、シネクラブという会員制度があります。年会費は3,000円で、入会日より1年間有効です。入会時の特典で、半年間有効の招待券が1枚もらえます。また、会員になると当日入場料金が割引になり、映画1本1,000円で見られます。この割引が、同伴者1名にも有効なのが嬉しいところです。会員にはポイントカードが発行され、有料入場で1ポイントたまります。毎週火曜日はWポイントデーで、10ポイントで招待券がもらえます。また、2ヶ月に一度スケジュールを送ってもらえるほか、映画本やビデオ、CDの割引もあります。更新時にはポイントが移行され、1ポイントプラスされます。

 さらに他劇場でも映画が割引になります。詳細は以下のとおりです。

・コミュニティシネマ割引
(第七藝術劇場、京都南会館、ユーロスペース他)
 → 1,200円
・シアターセブン、京都シネマ、神戸映画資料館、出町座
 → 一般料金から300円引き
・プラネット・プラス1
 → 一般料金から400円引き
・シネ・ピピア
 → 1,000円

 公式サイトを見ていて知ったのですが、入会は郵便振替でもできるようです。郵便振替用紙に住所・氏名・電話番号と「入会金」と明記し、「00920-5-46944 シネ・ヌーヴォ」の口座に3,000円を振り込むと、入金が確認でき次第、会員証を送ってくれるそうです。これって、緊急事態宣言下で映画館に行けなくても、シネ・ヌーヴォを応援できるってことですかね…? 「入会金」と書くかわりに「応援金」とか「寄付金」とか書いて、「振り込め詐欺」ならぬ「振り込み応援」。シネ・ヌーヴォが本気で閉館の危機に瀕したときには、ちょっと考えてみてもいいのかもしれないと勝手に思いました。

料金

 シネ・ヌーヴォとシネ・ヌーヴォXの料金は、今は公式サイトに何も出ていないようですが、以前見に行ったときは作品ごとに様々に設定されていました。新作は他の劇場の一般料金と同様に1,800円くらいだったはずです。過去の作品の特集上映では、1,500円とか1,300円とか、少し割安に設定されていました。また、毎月1日のファーストデイや水曜のレディースデイなども、他の劇場と同様に設定されていたと思います。その他、学生割引、シニア割引や夫婦50割引などもあったと思うのですが、このあたりは映画館の営業再開時にチェックしてみてください。

チケット販売と入場システム

 チケットは、以前は昔ながらの窓口での現金販売のみでしたが、公式サイトを見ていると2019年3月2日からインターネットでも販売しているようです。ということは…これを知らなかった私は、1年以上シネ・ヌーヴォに行っていないということでしょうか。すみません。反省。

オンライン予約(2020年4月19日現在停止中)
https://cinenouveau.sboticket.net/

 公式サイトによると、インターネット販売では、鑑賞日1週間前の朝10時から日時指定の整理番号付きチケットが購入可能です。インターネットでチケット購入できるのは、各上映回の開始時間の3時間前までです。なお、シネ・ヌーヴォでは70番以降の整理番号は補助席の案内になっています。

 劇場窓口でも、鑑賞日1週間前の劇場オープン時からチケットが販売されるので、同じシステムを使って劇場スタッフがチケットを取ってくれるのでしょうか。窓口での決済方法は現金のみで、劇場オープン時から21:00までの販売となっています。また、割引券、前売券、招待券などを使いたい場合も、劇場窓口での対応となります。

 入場は、上映10分前から整理番号順での案内となり、座席は自由席です。この辺は、インターネット販売が導入されても変わっていないようですね。

市民が支える映画館

 シネ・ヌーヴォ公式サイトの「20周年プロジェクト」のページでも紹介されていますが、この映画館は、1口10万円で広く出資を呼びかけて1997年にオープンした、いわば市民映画館。さらに、そこから20周年となる2017年を前に、2016年にはクラウドファンディングを募り、791万円もの出資を集めて改装工事が行われました。

 私は2000年頃にはシネ・ヌーヴォによく行っていたものの、そこから長らく足が遠ざかっていたため、このクラウドファンディングのことを知ったのは20周年のリニューアルオープン後でした。以前はよく通っていた映画館なのに、こんな動きがあったことすら知らなかったことに気づいたときは、長いこと疎遠になっていてごめんなさい、という気分でした。でも同時に、好きだった映画館を支援する人がこんなにもたくさんいることに、心を打たれました。昔も今も、シネ・ヌーヴォはみんなにとって大切な映画館で、映画を愛する人たちの力で続いてきた映画館なんだな、と思います。

 緊急事態宣言下で映画館が休館に追い込まれた今、これまでは気づかなくてごめんなさい、と思うからこそ、今度こそ私にも何かできることはないだろうか、という気持ちでいっぱいです。こんなふうにつらつらと書くだけでも、誰かの目に留まって、営業を再開したときに足を運ぶ人が増えたらいいなと思うばかりです。

※会員制度やサービスは、2020年4月現在の情報です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?