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#7 第七藝術劇場・シアターセブン

淀川の向こうのミニシアター

 ようやくミニシアターらしいミニシアターで、今回は第七藝術劇場とシアターセブンを取り上げます。一応ことわっておくと、第七藝術劇場の読み方は「だいななげいじゅつげきじょう」です。映画が第7番目の芸術といわれているからなんですよね?この名前。そんな話を昔に聞いたことがあります。6番目までの芸術がなんだったかは忘れましたが、文学とか音楽とか、なんかいろいろ6つあって(雑ですいません)、映画は7番目の総合芸術、みたいな話だったと思います。

第七藝術劇場 → http://www.nanagei.com/
シアターセブン → http://www.theater-seven.com/

 大阪を大きく分ける2本の川が、淀川と大和川。第七藝術劇場とシアターセブンは、淀川より北にあります。そして私は、大和川以南の南大阪在住です。これがどういうことか。大阪府民のみなさんでなければピンと来ないかもしれませんが、大阪南部の民が大和川も淀川も越えて北大阪地域へ行くというのは、けっこう骨の折れること。大阪市の中心部は淀川と大和川に挟まれた地域にあり、梅田も難波もこのエリアにあります。大阪南部から街に出る場合、行き先は必然的に南に位置する難波が中心になるし、もう少し足をのばしても、梅田まで行けば大抵の用事には事足ります。それなのに淀川を越えて北に行くなんて、よっぽどのこと。そんな大阪南部の民の私が、淀川を越えてでも行きたいと思う映画館が、第七藝術劇場とシアターセブンです。

 いや、あくまでも私の感覚での話ですけどね、大和川越えとか淀川越えとか…。

第七藝術劇場とシアターセブンの場所

 第七藝術劇場とシアターセブンは、十三(じゅうそう)にあります。梅田から阪急電車で2駅。京都線、宝塚線、神戸線のどれに乗っても十三駅には止まるのでご安心ください。十三駅の西口から、…えーと、どう説明すればいいんだろう?と思って公式サイトを見に行ったら、写真入りでものすごくわかりやすい道案内をしてくれていました。ということで、行き方は公式サイトの「アクセス」をご覧ください。映画館の入るビルの6階に第七藝術劇場、5階にシアターセブンがあります。

会員制度

 第七藝術劇場とシアターセブンには、共通の会員制度があります。年会費3,000円のレギュラー会員と年会費10,000円のサポート会員の2種類があり、特典が少し異なります。レギュラー会員では、入会・更新時の特典として、2館共通の招待券1枚か、隔月発行のスケジュール誌のどちらか1つがもらえます。招待券の有効期限は6ヶ月です。サポート会員のほうは、2館共通の招待券6枚と隔月発行のスケジュール誌がもらえます。こちらの招待券の有効期限は1年間。どちらの会員でも、新規入会時は入会翌日から、更新時は当日から招待券が利用できますが、舞台挨拶やイベントつきの上映回には利用できません。なお、シアターセブンで開催のイベント時に利用の場合、ドリンク券1枚と交換してもらえます。

 レギュラー会員・サポート会員ともに有料鑑賞ごとにポイントがたまり、スタンプをもらえます。10ポイントたまると、2館共通招待券がもらえます。この招待券の有効期間は6ヶ月です。なお、会員の有効期限は入会から1年後の月末までとなっており、有効期限の1ヶ月後までが更新可能です。更新期限を過ぎるとスタンプが引き継がれなくなり、新規入会扱いとなってしまうため、注意が必要です。

 また、提携映画館の会員証提示により一般料金から割引してもらえる制度もあります。1,700円以上の作品なら300円引き、1,500円~1,600円の作品なら200円引きとなります。提携劇場は、シネ・ヌーヴォ、京都シネマ、京都みなみ会館、シネ・ピピア、神戸アートビレッジセンター、神戸映画資料館です。

サービスデーやサービス料金

 第七藝術劇場とシアターセブンには次のようなサービスデーやサービス料金があり、それぞれ割引料金で鑑賞できます。

・映画の日      毎月1日/1,100円
・スチューデントデー 毎週月曜日/学生1,000円
・水曜サービスデー  毎週水曜日/1,100円
・ペア割引デー    毎週金曜日/2人で2,200円
・夫婦50割引     2人で2,200円
・障がい者割引    本人と付き添い2人まで1,000円

 また、シニア割引(60歳以上)、学生割引、子ども料金(3歳以上)などもあり、金額は映画によって異なります。

当日チケット販売と入場システム

 チケット販売は昔ながらの感じで、ネット予約はありません。各回入替制で、開館時間から当日の全上映作品のチケットが売り出されます。このチケットというのが、手書きで番号が書かれた入場整理券で、映画のタイトルは書かれていないため、私なんぞ、あとから振り返ると、これ何を見に行ったんだっけ?となります。ちなみに、レシートには映画のタイトルが印字されるので、私はいつも、何を見たのかわからなくならないよう、レシートを取っておきます。2本立てでも、まとめてチケットを買えば1枚のレシートに映画のタイトルが並んで出てくるので、あとで振り返るには便利だったりします(なんのこっちゃ)。

 そうそう、そういえば少し前に第七藝術劇場に行ったとき、電子マネーのPayPayに対応していました。映画館でPayPayが使えるなんて、他ではなかなかないと思いますよ。

 劇場外の廊下には、整理券20番まで、30番まで、みたいな区切りで、ライブ会場の入場待ちのような整列スペースの表示があります。開場後は整理券番号順に入場し、劇場内は自由席です。

ここだけの上映作品とか舞台挨拶とか

 第七藝術劇場もシアターセブンも、とにかくいろんな作品をたっくさん上映しています。といっても、スクリーンはひとつずつなんですけどね。それにもかかわらず、世の中こんなにいろんな映画があったのか!と思うほど、1,2週間のスパンで次々どんどん上映しています。SAVE the CINEMAでも、ミニシアターがなくなると多様な映画文化が失われてしまう、と言われていますが、本当にそのとおり。第七藝術劇場やシアターセブンで上映されている作品は、大手チェーンのシネコンでは全く見ることのないものばかりです。

 海外の映画祭や東京のミニシアターで話題になっている映画で、大阪では上映があるだろうか?と思って探してみたら、よかった第七藝術劇場だけは上映してくれる!なんてことも、よくあります。記憶に新しいところだと、山中瑶子監督の『あみこ』でしょうか。なんか、ベルリン国際映画祭に招待されて、東京でも話題になっている新進の監督の作品らしい!ということで、はるばる淀川を越えて見に行って、新たな才能を目撃して帰ってくる幸せ。やっぱりナナゲイ、南大阪からはるばる訪れる私を裏切らない。

 舞台挨拶や上映後のトークイベントも、頻繁に実施されています。私が少し前に行ったものだと、太田信吾監督の『解放区』の舞台挨拶つき上映があります。西成区での撮影の裏話がとても面白く、これまた、南大阪からはるばる…(以下略)。舞台挨拶終了後には劇場の外でサイン会をやってくれたりもして、映画の作り手と観客の距離が近いところも魅力です。

多様な映画文化の発信地

 いま活躍する映画監督もデビュー作はミニシアターだった、ミニシアターに育てられた、という話はよくあります。第七藝術劇場やシアターセブンがまさしくそういうミニシアターで、大阪における多様な映画文化の受け皿になっているように感じます。ここがなくなったら、日本の新たな映画作家の作品は、大阪では一体どこで上映されるのか、日の目を見ることがなくなるのではないか、などと本当に心配になります。この危機が過ぎ去って、映画館が再開されたら、また頑張って大和川も淀川も越えて見に行くので、それまでなんとか持ちこたえてほしい、と願っています。

※料金や会員制度は、2020年4月現在の情報です。

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