見出し画像

クイズのつかいかた

子ども向けの講座は、子どもが興味を持続して参加できるように、ということを意識して作ります。

わーっと身体を動かす、とか、何かを制作するというようなプログラムの時は、事前の環境づくりをより大切にしていて、始まってしまえば子どもの「やりたい」に委ねます。ただ、講座型というか授業型というか、そういう場合は、興味が持続できているかどうかを、ずっと意識しています。

「面白そうだと思ったけれど、ちょっと思っていたのと違った」とか「そもそも親が勝手に申し込んだから、あんまり興味がない」とか色々な場合があります。学校の授業の一環ということもあります。
初めてのことと出会う時って、最初から興味を持つとは限らないと思っています。興味はなかったけれど、しぶしぶその場に行ってみたら、思ったよりも面白くて、内容にも興味が湧いてきた、という風になればいいなぁ、と思うのです。

だから、身体がそこにいるだけの「参加」ではなく、ココロごと「参加」してもらうために、楽しそうと思える仕掛けは必要なんですよね。

そういう時に助けてもらっているのが、「クイズ」です。鉄板です。

でも、「クイズ」って、ただ質問を設定すればいい、って訳ではないんです。私は、大まかに、次の4つくらいの目的を意識して、プログラムの中にクイズを組み込んでいます。

1つ目は、〈参加するためのクイズ〉です。これが一番大事だと思っています。プログラムの冒頭、子どもたちが誰でも安心して答えられて、自信を持って「はーい」って手を挙げられることが目的。誰でも分かる、簡単な問題を出します。できたら、あまりに簡単すぎて、選択肢が出た途端に笑いが起こるくらいがいいです。「どれがネコでしょう?」って聞いて、ブタとゴリラとネコの写真が出てくるくらいの。
これで、プログラムの最初に「こちらの応答に反応して」「自分から」「声を出し」「身体を動かす」ことができます。こちらに意識を向けてもらう第1歩です。

2つ目は、〈大切なメッセージを伝えるためのクイズ〉です。その日のプログラムに参加してもらったならば、ぜひ、これを持ち帰ってもらいたい、と思う大切なメッセージが、子どものココロに残るようにするために、あえてクイズにします。これも難易度は重要ではありません。大事なのは、子どもが自分で考える、という時間を取ること。
だから、このクイズは、いわゆるクイズのセオリーをわざと外すこともあります。選択肢の全部が答えとか。答えは1人1人違うよ、とか。
話の途中で、単に「ここは大事なメッセージなので聞いてね」と言うのではなくて、あえて印象に残るように変化をつける、という目的のために活用するクイズです。

私が特にお世話になっているのは、この2つ。
その他は。

3つ目。〈話のテンポをよくするためのクイズ〉です。大人の話がちょっと長く続く時や、知らないことが多くて説明部分が多くなる時に、合間合間にクイズを入れると、テンポが良くなります。
大人は、子どもに向けて話をしたり、何かを教えたり、変わったもの(写真とか、化石とか、昔の道具とか)を見せて説明したりすると、気分がよくなってどんどんしゃべるんですけど、あんまり話が長くなると、退屈になるお子さんもいるんですよね。そうなる前に、テンポよくクイズを入れていきます。双方向性を保つためのお助けアイテムといったところですかね。

4つ目は、〈クイズとして面白いクイズ〉です。1~3つ目は、プログラムの進行のためのクイズでしたが、これは、クイズのためのクイズ。
なかなか、機会がないのですが、「これは知識としてものすごく面白い」とか「知っていたら自慢できそう」とか「クイズとしてよくできてる!」みたいなネタがあった時に、「これクイズとして純粋に楽しそうだな」と思うことがあります。もちろん、そのまま出します。話の途中に突然テーブルマジックを披露したら面白いのと同じように、話の途中に突然おもしろクイズが登場する、という感じです。

こんな感じで、一言で「クイズ」と言っても、実は、目的に応じて、出すタイミングや、設問方法、選択肢の決め方など考えているんです。
これは「クイズ」の良し悪しとしての視点ではなくて、プログラムの構成要素の1つとしてクイズを活用する時の方法です。

子ども向けの講座のプログラムを作る時には、こんな風に、飽きさせないことを考えているんですよ、というお話でした。こんな工夫の結果、それまで興味がなかったようなことに触れ、少しでも関心を向けるきっかけになったら、うれしいですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?