みんなで何かを創るすばらしさを伝える映画『メイキング・オブ・モータウン』

http://makingofmotown.com/

自粛が求められていた時期、フォートップスやテンプテーションズを聴くと、ぱっと気持ちが上向きになった。

言い方は悪いが、腐ってもモータウン。

たまに、モータウンなんて売らんがなの音楽だと良い顔をしない人もいる。確かにヒットを狙ってシステマチックに生み出された音楽であるかもしれない。でも何万人、何十万人の人のこころをつかみ聴き継がれる音楽は、ただものじゃない。

これまでインタビューに応じてこなかった創設者のベリー・ゴーディが初めて主役としてモータウンを語る映画でもある。
ワンマン社長一代記になったらイヤだなと案じていたのだが、スモーキー・ロビンソンが相手役となり、ミュージシャン目線を加えて自慢話を中和してくれた。

なによりこのおじちゃん2人の醸す空気がハッピーだ。
いろいろあったにせよ、モータウンが最盛期を迎えた60~70年代初頭は本当に最高の時間だったことが伝わってくる。

「みんなで音楽を創るっていいなぁ」

私はこの映画に出てくる人たちがうらやましかった。

マニアックな“ネタ”を求める人には物足りないかもしれない。でも、それでいいんだと思う。ゴーディやスモーキー・ロビンソンも、次世代の人に良き時代を伝えたかったのだろう。

オバマ元大統領のスピーチを差し込むなどして、今の時代につなげているところにも、この映画が決して昔はよかったストーリーでないことを示唆している。

偶然とはいえBlack Lives Matterが叫ばれる2020年にこの映画に出会ったことで、モータウンの意味合いも少し異なって見えたことは、一人のブラック・ミュージック・ファンとして幸運だった。

というわけで、ソウルファンのみならず、一人でも多くの音楽ファンに楽しんでいただきたい映画です。そして、ご覧になる際は、エンドロールまで席を立ちませんよう!

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最後に宣伝。
リトル・リチャードが表紙のブルース&ソウル・レコーズNo.155に、この映画の紹介を書いています。機会があればぜひお読みください!
(監修の林剛さんに褒めていただいて、うれしかった!)

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