【政党紹介2023】自民党ってどんな政党?
突然ですが、皆さんは日本の国政政党をいくつ知っていますか?
名前を言える政党のうち、いくつの政党について説明できるでしょうか?
本記事では、衆議院参議院共に最大議席を持ち、長年与党であり続けている自民党がどのような政党か、基本的な部分を抑えて解説していきます。
基本情報
自民党の基本情報を以下の表に整理してみます。[1]
自民党は現政権与党であるとともに、日本で一番長い期間政権を担ってきた政党でもあります。特徴としては、進歩的な保守(※1)政党であり、日本らしさを大切にし、新しい憲法を作ろうとしているという点があります。
※1 保守とは:政治における「保守」という言葉は、「従来からの伝統・習慣・制度・考え方を維持し、社会的もしくは政治的な改革・革命・革新に反対する思想のこと」を指します。[2] 日本の「保守」には改憲派(現在の日本国憲法を改正すべきだという立場)が多く、集団的自衛権の行使を支持する傾向にあったり、伝統的な家族のかたちを重んじる傾向にあるので選択的夫婦別姓には反対の立場を取る人が多かったりします。[1]
政党の変遷
自民党はいったいどのような歴史を辿ってきたのでしょうか。年表形式でざっくりと見ていきましょう。
1955年の結党以降、様々な政党との連立をしながら、2度の下野を除いて長い間政権を取り続けてきたことがわかります。
※2 戦後の政党の連立や合併の詳細な流れは、連立政権に関するこちらの記事 も合わせてご確認ください。
政党の主な主義主張
では、長年与党として政治を担ってきた自民党は実際、どのような考えを持っている政党なのでしょうか。
立党時(1955年11月5日発表)の理念
自民党はもともと、「反共産・社会主義、反独裁・統制的統治」と「日本らしい日本の確立」の2つを目的とし、「政治は国民のもの」との原点に立ち立党された [3] 政党です。
立党時に掲げた綱領として、以下のように方針を示しています。
また、自民党の性格として、以下のように宣言しています。
立党55年時(2010年1月24日発表)の理念
それでは、今の自民党の考え方はどうなっているのでしょうか。
一言で言い表すと、進歩的な保守政党であり、日本らしさを大切にし、新しい憲法を作ろうとしている政党であるということができそうです。
自民党は、2010年に現状認識として以下のように発表しています。
特徴的な政策
具体的に選挙において様々な争点に対しどのような公約を掲げているかはこちらのサイトから確認することができます。
ここでは、自民党の令和5年政策パンフレット を見てみましょう。以下のような特徴的な政策があることに気づきます。
憲法改正の早期の実現
自民党は2012年に憲法改正草案を発表しています。
また、2018年には憲法改正の項目として以下の4つを挙げています。[4]「自衛隊」の明記と「自衛の措置」の言及
国会や内閣の緊急事態への対応を強化
災害などの緊急事態時に、内閣の機能を一時的に強化できる仕組みに変更
参議院の合区解消、各都道府県から必ず1人以上選出へ
一票の格差是正のために行われる合区(主に人口が少ない地域の選挙区を合併すること)を解消する
※合区に関しては、こちらの記事 も合わせてご参照ください
教育環境の充実(私学助成の規定の表現の変更など)
マイナンバーカードの円滑な交付を目指す
「誰一人取り残さないデジタル社会の実現」に向けて掲げている様々な政策の一つとして、マイナンバーカードの円滑な交付のための体制整備や申請促進の取り組みを進めようとしています。毅然とした外交・安全保障で国民と国益を守る
外交政策の中でも特に、防衛力の抜本強化を掲げていることや、領土・領海・領空問題において情報収集をするとともに戦略的に対外発言を行うという姿勢が特徴的です。
他の政党との関係性
自民党は他の党とどのような関係にあるのでしょうか。
まず、現在連立政権を組んでいる公明党とは協力関係にあります。
また、政権の運営上の立場から、野党(公明党以外の政党)とは諸問題に対する考え方が異なる場合が多いと言えます。
強い支持はどんな層から?
自民党が第一党であり続けることの裏側には、自民党を支持する人の存在が欠かせません。一体どのような層から強い支持を受けているのでしょうか。
まず、自民党は地方に強い基盤を持っています。令和4年の総務省調べ[5]によれば、全国の都道府県議会議員のうち自民党に所属するのは全体の約半数を占めるようです。地方との連携のしやすさと国政の運営のしやすさは直結するであろうことを考えると、地方に基盤を持っていることは強さの秘訣かもしれません。
また、各業界に友好団体が存在する[6] ことも大きな特徴でしょう。実際自民党の党員票の3割は組織票(友好団体からの票)であるといわれており、医療、商工、農業、建設、郵便等の業界に広がっています。特に近年は医師会や経済界からの献金が多いというデータもあります。[7] 団体にとっては自分の業界に有利になるように予算や法律の働きかけをしやすくする狙いがあり、自民党とwin-winの関係を築いているようです。
また、少し違う視点になりますが、最近の傾向としては年代別に見ると若者の多くが自民党を支持しているというデータもあります。[8] 支持の理由として目立つのは「現状に不満がないから」などの意見ですが、今後の若者の世論によって支持率がどう変わるのか注目です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
自民党は皆さんが一番耳にしたことがある政党だと思いますが、この記事でその中身についてもより詳しくご理解いただけたら幸いです。
参考文献・リンク
[1] 横内正昭 (2023) もう迷わない!どの政党に投票すればいいか決められる本 ワニブックス (NPO法人Mielka監修)
[2]Wilkipedia 「保守」 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BF%9D%E5%AE%88
[3] 自民党 宣言・綱領 https://www.jimin.jp/aboutus/declaration/
[4] 自民党「4つの「変えたい」こと 自民党の提案」 https://www.jimin.jp/kenpou/proposal/
[5] 総務省 地方公共団体の議会の議員及び長の所属党派別人員調等(令和4年12月31日現在) https://www.soumu.go.jp/main_content/000871249.pdf
[6] 日本経済新聞 「図解・自民党
党員と派閥とおカネ」https://www.nikkei.com/telling/DGXZTS00000290X10C21A9000000/
[7] 会社四季報ONLINE 「自民党への献金が多い」業界・宗教団体など最新14団体 https://shikiho.toyokeizai.net/news/0/665314
[8] NHK 政治マガジン 2021年11月24日 「なぜ若者は自民党に投票するのか?」 https://www.nhk.or.jp/politics/articles/feature/72512.html
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