【LGBTQ】千里の道も遠くはないさ
私は親にカミングアウトをしていなかった。パートナーのことは「仲のいい友達」と紹介していた。両親はそれに対して何の疑問も抱かず、それはそれは親身に接していたように思っていた。いつかは紹介するとしても、それはまだ先のことだと考えていた。
先日、パートナーと「家族になりたい」という記事を書いた。その記事はツイッターやインスタで告知をし、それで満足していた。そして、思い出したのだ。私の母は、私のアカウントをフォローしているということを。
後日、母から電話がきた。「記事読んだよ! まあ、そうだろうなって思ってた!」と言われ、私のカミングアウトは想像以上にあっさりと、そして最善の形で終わった。
今回は、ついに「セクシャルマイノリティの母」となった我が愛しの母君に、そしておそらく同じような疑問を抱いているであろう人々のために。パートナーシップ制度と同性婚の違いについてまとめてみようと思う。
1. 日本の結婚制度
2. パートナーシップ制度
1. 日本の結婚制度
私は結婚していないので、詳しいことはわからない。なので、「結婚したら 何がかわるか」というキーワードで検索してみた。詳しくまとめる必要はないと思うので、簡単に箇条書きにする。
1.姓
夫婦別姓が認められていないので、どちらかが変えなければいけない
2.税金
配偶者控除、扶養控除、贈与税、国民年金の保険料が無料
3. 妊娠、出産
子供が生まれたと同時に二人の子供として認められ、扶養する義務が生まれる
4.緊急時
入院や手術の同意書にサインができる、相続権が与えられる
5. 離婚
離婚届の提出が必要
以上のように、法律で認められた結婚を行うとこのようなことが変わる。他にも細かいことはたくさんあるだろうが、大きくはこれくらいだろう。
ちなみに、今日では事実婚も増えてきた。これもまた比較すべきだろうが、それはま別の記事にまとめることにする。
2. パートナーシップ制度
そもそもパートナーシップ制度とは何か。2015年に渋谷区で初めて実施された時は、セクシャルマイノリティ界隈は大きくにぎわった。それから8年経ち、今ではパートナーシップ制度を取り入れた自治体は増えてきている。
2023年3月現在、制定予定も含めると269もの自治体が取り入れていることがわかった。その中には、今私とパートナーが暮らしている自治体も、パートナーの故郷も含まれている。
このパートナーシップ制度で、一体何ができるようになるのか。そして、結婚とどう違うのか。比較しながらまとめていく。
1. 共通してできること
・公営住宅などで同居できる
・病院での面会ができる
・住宅ローンが適用される
・保険金の受取が可能になる
・家族手当などが適応される
・家族向けサービスが受けられる
こうしてみると、パートナーシップ制度によって同性カップルが公の場で認められてきたことがわかる。特にローンや保険金など、お金に関わることが保証されるのは、非常に大きなことだと感じた。
しかし、自治体によって受けられる制度が異なってくるので、よく調べないといけない。
2. パートナーシップ制度にだけできること
・同性でもパートナーであると、第三者が認めてくれる
本当に、ただこれくらいだろうと思う。しかしこれがどれほど大切で、大きくて、希望であるか。
ただ二人だけで「家族だよね」と言うだけなら、いくらでもできる。しかし、周りから見ればただの友達で、そう言うしかなかった二人が「君たちはパートナーだよ」と証明してくれる。
まあ、本音を言うと「私たちの関係にどうして第三者が認めるだの認めんだの口出しをするのだ」と思わなくもないが。
しかし、それは結婚も同じこと。そこは甘んじて受け入れようと思う。
3.結婚にだけできること
そんなパートナーシップ制度でも、出来ないことある。基本的には国が対象者を「配偶者」としているものは、パートナーシップ制度の対象外になる。
具体的には
・所得税の配偶者控除
・健康保険の被扶養者になること
・子供の共同親権
・遺産の法定相続
そして、なによりも大きな違いは
・全国どこででも申請できる
・お金がかからない
・全国どこでも同じ制度を受けられる
この3点ではないかと考える。
様々な書類や手続きを行えば、結婚と同じように遺産を相続したりはできる。だが、そのためには費用がかかる。
前述したが、パートナーシップ制度は地域によって受け取れる制度が異なる場合がある。そもそも、パートナーシップ制度を導入していない地域では何一つ受け取ることもできず、我々は「パートナー」してさえ認めてもらえないのだ。
そうなってくると、住む場所は必然的に限られてくる。男女であれば全国どこでも、好きな場所に住んで、どこでも同じように制度を受けられるのに。
以上、私なりにまとめたパートナーシップ制度と結婚の違いである。日本では同性婚を認めてないため、パートナーシップ制度を同性婚と同じものだと考える人もいるそうだ。しかし実際はこれほどまでに違う。そして、その違いはじわじわと当事者たちを苦しめているのかもしれない。
渋谷区のパートナーシップ制度の導入は、まぎれもなく大きな一歩だった。その歩みは止まることなく、全国へと広がっている。諦めず、歩き続ければ世界はきっと変わるはずだと信じて。
私はまた、小さな一歩を踏み出すのだ。
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