嘲弄されても
久しぶりに、
「あーおもしろかった!」
と、本を閉じました。
『世にも奇妙な君物語』朝井リョウ著
諧謔の精神というか、でも限りない憐憫の情でもって今の世を非常にうまく切り取るよなー、朝井リョウ。
自分の中では、「現代の太宰治」認定。
この本には、身につまされる部分が多いのです。それは泣きたいほどに。
実は最初の章というか短編を読んでちょっと辟易して、数週間放置してました。
うわー、なんかいやだなぁ、みたいな後味の悪さがあって。
でも、2作目を読んでいくうちに、
「あー、そういうことか」
と、作者がこの本でやりたいことにスッと納得がいって、グーっと引き込まれていきました。
奇妙な物語なんだけども、「事実は小説より奇なり」だから、実際にいるいる!あるある!のオンパレード。
ものごとの読み取り方が本当にうまいなぁ。唸る。
イタイ。こわい。でもありそう。
そこが絶妙。
そして…、最終章は、ほとんどシナリオ講座といってよいような内容で、自分が書いた「テレビドラマ」をこき下ろすような解説するような脇役論を展開。
もう、これを読んだら、テレビドラマを見るたびに「脇役の法則」を思い出しちゃいますよね。
どうしよう。ちゃんと筋が追えなくなっちゃいます。