見出し画像

『ロマック算』を実用的な指標にしてみたい(2022年版)

おはようございます。へろおかです。


近年、

日本で活躍しきれなかった外国人が、韓国に移籍して活躍する。

韓国で大活躍したものの、日本ではあまり活躍できない。

といった例が多くなってきたと感じます。


そこで今回は、

「NPBとKBOの両方に在籍した野手」

の打撃成績を比べて、

「NPBとKBOの打撃成績の相関性」

について調べていきます。

①ロマック算について

ジェイミー・ロマック (元横浜DeNA)

日本では全く活躍できずにクビになったものの、翌年に韓国へ移籍しそれなりに活躍した選手。
今回のテーマの主役です。

彼の残した指標(?)に

ロマック算

と呼ばれるものがあります。

ロマックのNPBとKBOでの成績の推移をそのまま当てはめたもので、具体的には以下の通りです。


ロマックの成績 (NPB → KBO)

打率      +.129  (.113 → .242)
本塁打  + 31本  
(  0本 → 31本)
OPS     +.524
(.374 → .898)


当初はネタの域を出ない ロマック算 でしたが、翌年に意外な形で注目を集めることになりました。




ウィリン・ロサリオ
(元阪神)

韓国のハンファで 3割 30本 100打点 の大活躍(しかも2年連続)をみせた ロサリオ は、2018年に阪神へ移籍。

この時、KBOからNPBに移籍 ということもあり、ロサリオの成績を ロマック算で予想 する人が現れました。


ロサリオの成績予想 (KBO → NPB)

打率      -.129    
(.339 → .210)
本塁打  - 31本    
(37本 →  6本)
OPS     -.524  
(1.075 → .551)



そして、実際にロサリオが残した成績と比較してみると、


ロマック算と実際の成績の比較

                                   予想  →  実際
打率       誤差 .032  
(.210 → .242)
本塁打   誤差    2本  
( 6本 →   8本)
OPS      誤算 .107  
(.551 → .658)



と、意外なことに

ロマック算の成績予想に当たらずとも遠からず


という謎の相関性を導いてしまったのです。


とどのつまり ロマック算 とは、

日本から韓国に移籍したら、これくらい成績が上がるのでは?

裏を返せば、

韓国から日本に移籍したら、これくらい成績が下がるのでは?

という主旨の指標(?)です。

②ロマックの詳細な成績

ただ流石にこのままでは欠陥指標すぎるので、ロマックの成績をもう少し掘り下げてみましょう。

ロマック (横浜 → SK※現SSG)

ロマック選手の写真

NPB (2016年)
.113 (71-8)   0本 (無限)
出塁率.247   長打率.127
OPS.374   三振30 (.353)

KBO
(2017年)
.242 (359-87)   31本 (11.58)
出塁率.344   長打率.554
OPS.898   三振116 (.279)


では、NPBとKBOでどれほどの差があったかをまとめます。
肝心のまとめ方ですが、

・そもそも出場試合を含め母数が異なる
・NPBの成績に落とし込む方がわかりやすい

と思ったので、


・実数値
KBOの成績を基準とした単純な増減

・%換算
KBOの成績を100%とした成績率


の2つを用いることにしました。

ということで、


ロマック 差異

(実数値)
打率 -.129   本塁打率 +無限
出塁率 -.097   長打率 -.427
OPS -.524   三振率 +.074

(%換算)

打率 46.7%   本塁打 0%
出塁率 71.8%   長打率 22.9%
OPS 41.6%   三振率 126.5%


以上が、ロマックの成績から見る ロマック算 ということになりました。

③ロマック以外の打撃成績

では続いて、ロマック以外のサンプルを増やして、その平均を取ることで

実用的なロマック算

を作っていきます。

(非常に長くなったわりに読み飛ばしても問題ないので、お急ぎの方は④にお飛びください。)


今回は、2010年 及び 2013年以降にNPBに所属していた選手を対象 にしました。

ただし、以下の4選手は 対象外 とします。

故障によるシーズン途中退団
バルディリス (阪神〜オリックス〜横浜 → サムスン)
アルモンテ (中日 → KT)

一度別リーグを経由している
ロマック (NPB → 3A → KBO)
ボーア (NPB → 3A → KBO)

③-1 NPB→KBO

まずは、ロマック同様
NPBからKBOに移籍した選手
から見ていきましょう。

ロッティーノ (オリックス → ネクセン※現キウム)

ロッティーノ選手の写真

NPB (2013年)
.206 (97-20)   4本 (24.25)
出塁率.297   長打率.381
OPS.679   三振18 (.153)

KBO (2014年)
.306 (216-66)   2本 (108.00)
出塁率.389   長打率.417
OPS.806   三振22 (.089)


ロッティーノ 差異

(実数値)
打率 -.100   本塁打率 -83.75
出塁率 -.092   長打率 -.031
OPS -.127   三振率 +.064

(%換算)
打率 67.3%   本塁打 445.4%
出塁率 76.3%   長打率 91.4%
OPS 84.2%   三振率 171.9%

ピレラ (広島 → サムスン)

ピレラ選手の写真

NPB (2020年)
.266 (316-84)   11本 (28.73)
出塁率.312   長打率.411
OPS.723   三振53 (.157)

KBO (2021年)
.286 (553-158)   29本 (19.07)
出塁率.359   長打率.495
OPS.854   三振89 (.143)


ピレラ 差異

(実数値)
打率 -.020   本塁打率 +9.66
出塁率 -.047   長打率 -.084
OPS -.131   三振率 +.014

(%換算)
打率 93.0%   本塁打 66.4%
出塁率 86.9%   長打率 83.0%
OPS 84.7%   三振率 109.8%

クロン (広島 → SSG)

クロン選手の写真

NPB (2021年)
.231 (130-30)   6本 (21.67)
出塁率.270   長打率.431
OPS.701   三振47 (.343)

KBO (2022年) ※5月31日時点
.252 (202-51)   11本 (18.36)
出塁率.284   長打率.475
OPS.760   三振55 (.261)


クロン 差異

(実数値)

打率 -.021   本塁打率 +3.31
出塁率 -.014   長打率 -.044
OPS -.059   三振率 +.082

(%換算)
打率 91.7%   本塁打 84.7%
出塁率 95.0%   長打率 90.7%
OPS 92.2%   三振率 131.4%


③-2 KBO→NPB

続いて、
KBOで活躍してNPBに移籍した選手
の成績を見ていきます。

ナバーロ (サムスン → 千葉ロッテ)

ナバーロ選手の写真

KBO (2015年)
.287 (534-153)   48本 (11.13)
出塁率.393   長打率.596
OPS.988   三振72 (.112)

NPB (2016年)
.217 (286-62)   10本 (28.60)
出塁率.329   長打率.350
OPS.679   三振64 (.188)


ナバーロ 差異

(実数値)
打率 -.070   本塁打率 +17.47
出塁率 -.064   長打率 -.246
OPS -.309   三振率 +.076

(%換算)
打率 75.6%   本塁打 38.9%
出塁率 83.7%   長打率 58.7%
OPS 68.7%   三振率 167.9%

ロサリオ (ハンファ → 阪神)

ロサリオ選手の写真

KBO (2017年)
.339 (445-151)   37本 (12.03)
出塁率.414   長打率.661
OPS 1.075   三振61 (.120)

NPB
(2018年)
.242 (281-68)   8本 (35.13)
出塁率.285   長打率.373
OPS.658   三振71 (.235)


ロサリオ 差異

(実数値)
打率 -.097   本塁打率 +23.10
出塁率 -.129   長打率 -.288
OPS -.417   三振率 +.115

(%換算)
打率 71.4%   本塁打 34.2%
出塁率 68.8%   長打率 56.4%
OPS 61.2%   三振率 195.8%

サンズ (キウム → 阪神)

サンズ選手の写真

KBO (2019年)
.305 (525-160)   28本 (18.75)
出塁率.396   長打率.543
OPS.939   三振101 (.165)

NPB (2020年)
.257 (377-97)   19本 (19.84)
出塁率.363   長打率.451
OPS.814   三振106 (.239)


サンズ 差異

(実数値)

打率 -.048   本塁打率 +1.09
出塁率 -.033   長打率 -.092
OPS -.125   三振率 +.074

(%換算)
打率 84.3%   本塁打 94.5%
出塁率 91.7%   長打率 83.1%
OPS 86.7%   三振率 144.8%

ロハス (KT → 阪神)

ロハス選手の写真

KBO (2020年)
.349 (550-192)   47本 (11.70)
出塁率.417   長打率.680
OPS 1.097   三振132 (.210)

NPB (2021年)
.217 (189-41)   8本 (23.63)
出塁率.282   長打率.381
OPS.663   三振58 (.282)


ロハス 差異

(実数値)

打率 -.132   本塁打率 +11.93
出塁率 -.135   長打率 -.299
OPS -.434   三振率 +.072

(%換算)
打率 62.2%   本塁打 49.5%
出塁率 67.6%   長打率 56.0%
OPS 60.4%   三振率 134.3%

③-3 2人の韓国人

最後に、
統一球時代の直前に日本へやってきた韓国人
のデータも載せておきます。

金泰均 (ハンファ → 千葉ロッテ)

キム・テギュン選手の写真

KBO (2009年)
.330 (336-111)   19本 (17.68)
出塁率.416   長打率.545
OPS.961   三振71 (.183)

NPB (2010年)
.268 (527-141)   21本 (25.10)
出塁率.357   長打率.429
OPS.786   三振140 (.228)


金泰均 差異

(実数値)
打率 -.062   本塁打率 +7.42
出塁率 -.059   長打率 -.116
OPS -.175   三振率 +.045

(%換算)
打率 81.2%   本塁打 70.4%
出塁率 85.8%   長打率 78.7%
OPS 81.8%   三振率 124.6%

浩 (ハンファ → ソフトバンク)

イ・ボムホ選手の写真

KBO (2009年)
.284 (436-124)   25本 (17.44)
出塁率.369   長打率.505
OPS.873   三振70 (.140)

NPB (2010年)
.226 (124-28)   4本 (31.00)
出塁率.294   長打率.355
OPS.649   三振33 (.237)


浩 差異

(実数値)
打率 -.058   本塁打率 +13.56
出塁率 -.075   長打率 -.150
OPS -.224   三振率 +.097

(%換算)
打率 79.6%   本塁打 56.3%
出塁率 79.7%   長打率 70.3%
OPS 74.3%   三振率 169.3%


④実用的な『ロマック算』の完成へ

以上、9選手の成績が出揃いました。

それでは各項目ごとに 実数値%換算 をまとめて、中央値平均値 を出してみましょう。

今回はそれぞれの数値を 成績の良い順 で並べました。
そのため、横並びの 実数値 と %換算 は、必ずしも同一選手のものとは限りません。

打率
個人成績
-.020     93.0%
-.021      91.7%
-.048     84.3%
-.058     81.2%
-.062     79.6%
-.070     75.6%
-.097     71.4%
-.100     67.3%
-.132     62.2%

中央値
-.062     79.6%

平均値
-.067     78.5%

本塁打率
個人成績
-83.75   445.4%
+1.09      94.5%
+3.31      84.7%
+7.42      70.4%
+9.66     66.4%
+11.93     56.3%
+13.56     49.5%
+17.47     38.9%
+23.10     34.2%

中央値
+10.80     61.4%

平均値
+10.94     61.9%

出塁率
個人成績
-.014     95.0%
-.033     91.7%
-.047     86.9%
-.059     85.8%
-.064     83.7%
-.075     79.7%
-.092     76.3%
-.129     68.8%
-.135     67.6%

中央値
-.064     83.7%

平均値
-.072     81.7%

長打率
個人成績
-.031      91.4%
-.044     90.7%
-.084     83.1%
-.092     83.0%
-.116      78.7%
-.150      70.3%
-.246     58.7%
-.288     56.4%
-.299     56.0%

中央値
-.116      78.7%

平均値
-.150     74.3%

OPS
個人成績
-.059     92.2%
-.125      86.7%
-.127      84.7%
-.131      84.2%
-.175      81.8%
-.224     74.3%
-.309     68.7%
-.417      61.2%
-.434     60.4%

中央値
-.175     81.8%

平均値
-.222     77.1%

三振率
個人成績
+.014      109.8%
+.045     124.6%
+.064     131.4%
+.072     134.3%
+.074     144.8%
+.076     167.9%
+.082     169.3%
+.097     171.9%
+.115      195.8%

中央値
+.074     144.8%

平均値
+.071     150.0%

以上のようになりました。

さらに各項目の 中央値平均値 を並べたのがこちら。

打撃成績 (実数値)

中央値
打率           -.062
本塁打率   +10.80
出塁率       -.064
長打率       -.116
OPS          -.175
三振率       +.074

平均値
打率           -.067
本塁打率   +10.94
出塁率       -.072
長打率       -.150
OPS          -.222
三振率       +.071

打撃成績 (%換算)

中央値
打率          79.6%
本塁打      61.4%
出塁率      83.7%
長打率      78.7%
OPS         81.8%
三振       144.8%

平均値
打率          78.5%
本塁打      61.9%
出塁率      81.7%
長打率      74.3%
OPS         77.1%
三振       150.0%

という結果となりました。

【完成】実用的なロマック算

最後に、全ての結果を総合した
実用的なロマック算 (KBO → NPB)
がこちらです。


実数値
打率           -.065
本塁打率   +10.90
出塁率       -.070
長打率       -.140
OPS          -.210
三振率       +.072

%換算
打率         79.0%
本塁打     61.5%
出塁率     82.0%
長打率     76.0%
OPS        79.0%
三振       150.0%

⑤おわりに

いかがだったでしょうか。

あくまでもひとつの目安ですが、
ある程度は実用的な指標が完成したのではないか
と個人的には考えています。

今後、新たに日韓間で移籍する選手が出てきたら、随時データを更新していく予定です。


最後に。
私事ですが、データ収集から記事の作成まで、今回は初めての挑戦だらけでした。
至らぬ点も多くあったかと思います。

ささいな感想から具体的な改善点まで、是非いろんなご意見をお寄せいただけると幸いです。


ここまでご覧いただき、ありがとうございました。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?