100日後のわたしと彼
その日は身体がとてもだるかった。夕方からの外出も億劫で、ギリギリまで横になっていた。そのせいで、色々と考えはじめてしまう。
きっと今から行く瑠璃庵はいつも通り居心地がよく、料理も夢のように美味しいのだろう。そして彼はきちんと女性として扱ってくれて、私はあたたかく満足し、楽しい気分で帰宅することだろう。
でもそれに何の意味があるのだろうと思い始めた。それから私達は色っぽい何かがあるわけでもなく、それを醍醐味と思う節のあるめんどくさい感情の色々もなく、誰がどの角度から眺めても私たちのその関係はクリーンなのだ。
それを繰り返して何になるのだろう。ゼロにゼロを重ねてもゼロなのだ。それを虚しいと思い始めたのか、自分でも分からなくなる。
女性とは不思議なもので、やっかいで絡まっている何かが好きなときがある。何故かそこに色気を感じてそちらに吸い寄せられてしまう。それを愛してしまう節があるのだ。怒ったり泣いたり、周りに迷惑を掛け、幸福を感じることはないはずなのに、何故かそちら側へ行ってしまう。俗に云う、メンヘラ。
「彼女が出来たからもう遊べない」とLINEがきた。
クリスマス少し前のことだった。
へえ!と思った。
人との出逢いに、ゼロなんてないんだよなあと思った。
少し寂しいなあと思ったからだ。
彼と出掛けた色々、風景、美味しいものが私のアルバムにパサリと収まった。
メリークリスマス!
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