瑠璃唐草某日日記
某日。
ひとりで近場の温泉へ行く。
昨年秋から忙しくて、「これがひと段落したら温泉かスパに行く」「これが終わったら温泉かスパに行く」と呪文のように唱え続けて、結局4月になってしまった。
休日の朝一番。花見シーズンのせいか温泉に来る人も少なくて、ほぼほぼ貸切状態。
朝の光が湯に反射しながらきらめいて、眺めていると体が温まってゆるんで。凝り固まっていたなにかがほろほろとお湯に溶けていくよう。
人生には温泉が必要だと実感する。
某日。
誕生日。
40代が近くなって、今更自分が歳をとることに感慨もなにもなくなってきているのだけど、高校時代の友達や大学時代の先輩から久しぶりにメッセージをもらってありがたいなぁと思う。
自分や誕生日誰かの誕生日が、ぱあっとお祝いする派手な日というよりは、誰かとゆる〜くつながる日、元気かなと思う日になっていて、これはこれで愛おしい。
某日。
夜、塾のお迎えの帰りに、子どもたちとドラッグストアに立ち寄る。
日用品の買い物ついでに、塾や習い事を頑張っている子どもたちにごほうびに何でも好きなお菓子買ってあげるよと言うと、嬉々として好きなグミをそれぞれ持ってきた。
レジへ向かい、スマホを出してやれポイントアプリだ、財布を出して支払いだとバタバタしながら会計。
ポイントアプリの変更にわたわたする私にも丁寧に対応してくれたのは、若い女性の店員さん。
効率が悪かったなと申し訳さを感じながら、レジ横のサッカー台へ向かう。子どもたちを見ると手にはそれぞれのグミが。
驚いて、あれ?それ支払った?と聞くと、子どもたちは「お姉さんがシール貼って渡してくれた!」と満面の笑み。
支払いに集中していて気が付かなかったが、店員さんがそれだけテープを貼って子どもたちそれぞれに渡してくれていたのだった。
会計を忘れていなくてよかったと胸を撫で下ろしたら。
「やさしいひとだったね!!!!!うれしいね!!!!」
下の子が大きな声でそう言う。レジのお姉さんに聞こえるぐらいの大音量で。
その大声に少しの恥ずかしさを感じつつ「そうだね、やさしいね、うれしいね」と返す。
人から受けた優しさをそんなふうに素直に喜んで、まっすぐ表現できる君よ、そのまま大きくなってくれたら。
瑠璃唐草。
すっかり春の風物詩となったネモフィラ。和名ではこう書くのだそう。
今年は近所の、昔からやっているのだろう年季を感じる花屋さんでネモフィラを買って庭に植えた。
花屋さんのおじさんが感じのいい方で、にこにこしながら「これを植えたらもうひたちなかには行かんでもよくなるねぇ」と言って、ふたりでふふふと笑った。
昨年の日記はこちら。
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