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建物さんぽ#8 鹿島海軍航空隊跡(前編)

趣味:建物探訪&散歩、「古い建物を見ながらコーヒーを飲みたい」が口癖の私が各地の建物を巡った記録をまとめていきます。

今回は、茨城県の鹿島海軍航空隊跡です。

湖畔のほとりに

霞ヶ浦のすぐそばにある、鹿島海軍航空隊跡。

手前が発電所跡、奥がボイラー室跡

1938年に水上訓練施設として発足。終戦後、病院などの役目を経て、2023年の夏から一般公開されるようになった。

広い敷地に、航空隊の本庁舎跡、発電所跡、ボイラー室跡などが残されている。

今回同行した建物好きの友達と話したら、みんなそれぞれいろいろな角度から気になっていたようで。(なお、私はアジカンの「宿縁」MVに出ていた建物がどこか気になりすぎて調べていたら行き着いた)

「ラーゲリより愛を込めて」「映像研には手を出すな!」など映画やドラマさまざまな作品のロケ地にも使われているようなので、みなさん知らず知らず見ている場所かもしれない。

時間に身を委ねる佇まい

受付を済ませて敷地に入ると、まず迎えてくれるのが本庁舎跡。かつて司令部があった場所だそうだ。

縦長の窓や玄関の様子から当時はモダンだったろうと思われるが、今では壁は蔦に覆われ、屋根部分にも草が生えていて。
存在感がある一方で、どこかもの寂しい。

本庁舎の中は、ほこりっぽく、ひんやりとした空気で満たされていた。

「必要以上に手を入れずに保存する」という意向のもと、劣化した壁や割れた窓ガラスなどもそのままになっている。

植物に侵食されている配電盤らしきもの
剥がれ落ちつつある塗装がよい

この建物が過ごしてきた、時間の重みを体感できる。

建物の記憶の重なり

館内には、航空隊跡の歴史のほか、鹿島海軍の特攻隊の方の体験記のパネルもあった。

私は建物への興味という軽い動機で訪れたのだけれども、しっかりした展示に引き込まれ、時間をかけてじっくり読み込んでしまった。

展示を読み終えて、胸に迫ってきたのは建物に満ちている静けさだった。

かつて、ここに人がいたときはどんな風だったのか。

過ごした人たちの思いやざわめき、建物が持つ記憶の重なりに耳を澄ましてみる。

体験したことのない人間の想像や考えなど浅はかなものかもしれない。

それでも、ここで過ごした誰かのことを考えることで見えてくる戦争の形があるのではないか、そんなことを考えた。

続きます!

前回はこちら。


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