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ゴスペラーズの話

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ゴスペラーズのライブレポや遠征の記録。
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声を追いかけて

声を追いかけて

今日は、12月で30周年を迎えるゴスペラーズのメンバー酒井雄二さんの誕生日だ。高崎音楽祭のビッグバンドコンサートも開催されるとあって、ふわっと幸せな空気に包まれている。最近は30周年を記念して、YouTubeで過去のG10〜25までのライブ映像が公開された。それを観て新しくファンになった方もいて、ライブのチケットを買いました!という報告をみてニコニコしている。30年目で新規のファンができて、初めて

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座席番号の引きが功徳なら、私は前世釈迦だし、来世は虱。

座席番号の引きが功徳なら、私は前世釈迦だし、来世は虱。

高崎音楽祭が今年も無事に終わった。ずっと張りつめていた気持ちと身体の緊張がスーッと潮が引くように抜けて、帰り道の新幹線で幸せな気持ちと、なんだか魂が抜けるような気持ちと。ビッグバンドの星屑のような音と観客の歌声に圧倒された二日間だった。

2023年10月14日と15日の二日にかけて開催された高崎音楽祭の千秋楽を飾る『ゴスペラーズビッグバンド(GBB)コンサート』は、今年で7回目だ。運よく今年も二

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星屑を受け取って

星屑を受け取って

待ちに待ったゴスペラーズ坂ツアー2023『HEAR&NOW』が始まった。私は2023年9月15日の埼玉・さいたま市文化センターと16日の千葉・東金文化会館公演に賛歌してきた。一言でいうと「賛歌」という言葉がぴったりのツアーだと思う。私は仏教徒なので、声明(しょうみょう)と表現するのが近いかもしれない。歌い喜びを分ちあい明日を思うという、イヤホンで聞くだけではできないライブが帰ってきた。

声だしO

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Jaye Kohyama 45th Anniversary Live in Tokyo

Jaye Kohyama 45th Anniversary Live in Tokyo

・それは嵐の中のパーティタイム

嵐が丘というエミリー・ブロンテの小説がある。ガラスの仮面で名作舞台として出てくる作品なのだが、そんな激しい愛の嵐を思わせるドラマチックな夜だった『Jaye Kohyama 45th Anniversary Live in Tokyo』。荒れ狂う天候、飛ぶ傘、銀座線から地上に出てきたときの「わぁ…これ歩くんか…」という独り言。嵐の中から現れる猛烈な愛という雰囲気に包

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歌声とシンフォニー

歌声とシンフォニー

今回は福岡公演日に酒井さんが体調を崩され、福岡と西宮公演が延期となった。改めてこの時のことを思い出すだけで胸が苦しい。黒沢さん優さんが罹患されて中止になった苗場公演を思い出す前に、本当にあまりにもショックで関係ない自分も体調を崩した。情けない話である。

酒井さんの魅力の一つでもある、澄んだ歌声。咳や喉の後遺症が多い感染症だと知っている分、文字通りありとあらゆる神仏に「どうか、かの人から美しい歌声

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カッコいいライブ

カッコいいライブ

今日は2022年9月17日。シルバーウイークの初日。7月27日に開催された、原宿RUIDO「REBIRTH」シリーズ、ゴスペラーズ『The Gospelleres Works2』リリース記念ライブのネット配信が終わったばかりの時にパソコンを開いている。

わずか50人の抽選ライブに幸運にも当選し、私は現地に駆け付けた一人だ。あの時は感染者が爆発的にまた増えていた。まだツアーの途中。結構な緊張感の中

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バカみたいに笑ってあげるんだ!

バカみたいに笑ってあげるんだ!

2021年に開催されたそろそろソロで。2020年の賛歌できない状況から好転して、どこからでもアクセスできるようになった安岡優さんのソロライブ。隙間なく埋められた客席に、開演30秒前に飛び込んだにも関わらず顔がほころんだ。

1曲目「3月の翼」はこれを持ってくるのかと、迫力のある声に感激した。2曲目から爽快なチューン「Welcome to the brand new world」が流れた時は、その疾

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僕を満たすパンの話。

僕を満たすパンの話。

いいことも、悪いことも日常には起こりうる。そんな当たり前のことを、深々と考える半月だった。とにかく仕事が大変で、大変で。もう本当に冬のリビエラに逃げたいと思っていた。プライベートでも本当に辛いことが続いて、基本的にはお酒を飲んでやり過ごしていた。
 
さて、閑話休題。パンである。それもローカルパンである。最近、東海地方に行く機会が多くて、三河安城とか刈谷とかあのあたりに行って、あんかけスパや米の入

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先生のラジオに寄せて/追記

先生のラジオに寄せて/追記

今これを書いているのは、3.11のお昼ごはんどき。ラジオからは人々を勇気づけるヒットチューンとともに、防災グッズについてや震災のことについて流れてきている。

この1年、J-WAVEで毎月1回北山さんが番組ナビゲーターを務めるプログラムが放送されている。『Hitachi Systems HEART TO HEART』。

2021年4月18日の日曜日からスタート、夜10時から約1時間。毎月1回、夜

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旅との出合い

旅との出合い

このテキストを書き始めたのは、信州まつもと空港から飛び立った飛行機の中。橋ツアーは旅との出合いなんだなと思いがらスマホでぽちぽちしている。

私の旅は、ツアーの場所と日程が発表された瞬間から始まっている。仕事の調整をして、アクセスを調べてチケットをとって。誰かが言ってた「コンサートは2時間かぎりの勘違い」への助走は、随分前からスタートしているのだ。私はたった2時間のために、歩いたり走ったり迷ったり

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客席から拍手を

客席から拍手を

「2021年の高崎音楽祭ゴスペラーズGBBが終わっちゃう…」。今まで、初回から5年とも賛歌してきたライブで、初めて終わってしまうことが寂しく、来年の約束があるのに、次のライブも決まっているのに、ラストの『OVER&OVER』が流れてきたときに、ポロポロと泣いてしまった。

そんな特別なライブだった。

細心の注意を払って入場100%の観客を想定し、高崎芸術劇場で開催された「ゴスペラーズビッグバンド

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涙が海になる

涙が海になる

最高じゃないですか?「誰かのシャツ」

いやまず、うー♪と言う、スタンダードなハーモニーで始まる滑り出し。

最高。

ゴスペラーズの味わい具合、めちゃわかってる。そう、いいの。そのシンプルな滑り出し。

ノーベルアカペラ賞。

この曲を聞いて最初に浮かんだのは、松田聖子の「赤いスイートピー」だった。あの、煙草の薫りがするシャツから、触れずとも近い距離を感じるところ。本当に美しい松本隆先生の詩の世

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君に会いに行くいいわけ

君に会いに行くいいわけ

wowwowで「あなたの街にハーモニーを」の放映が終わった。なんというか今の気持ちを素直に書くと、幸せなツアーだったなぁという、なんとも言えないほのとした幸福感に包まれている。いつもなら、クソデカ感情を持て余し、嗚咽号泣したりするものだが、ふわっとした、温かな綿菓子のような気持ちが胸の真ん中にぷかぷかと浮かんでいる。

ゴスペラーズの優しい歌声が、細胞に染みわたっているようだ。

この文章を書いて

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味噌味の人

味噌味の人

味噌味の人。

※タイトルは「みそあじのひと」と読みます

両親のワクチン接種も2回終わり、私も来月どこかで初回を打てそうだという夏の始まり。熱海の豪雨が心配な日は、薄暑い日でもあり。

来週でゴスのツアーが終わってしまうという寂しさがあるものの、実はどこかホッとしてる。無事になんとか開催されるなぁと、当日券の案内のお知らせを眺めていたりした。

今回のツアーは来る人も来ない選択をした人も、本当に

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