傷つけたくなくて深く傷つけた#9 受験生
高校3年生になってみんなグラスがバラバラになった。
なつくんとのぼるは一緒のクラスに、みーちゃんと私もばらばらになった。
めるちゃんも違うクラスだ。のぼると一緒じゃなくてよかった。。
まだそこまで切迫感はないけど、学校でも受験の話題が増えてきた。
やっぱりクラスが離れてから、会える時間が減った。
みーちゃんとは廊下で時々話したりするくらい。
めるちゃんはまさとくんと一緒に帰ってるのをよく見かけた。
のぼるとは毎朝一緒に行くけど、帰りは塾の予定とかもあってなかなか会えなかった。
なつくんとは、塾でよく会って一緒に帰る。
なつ「ゆうちゃん、最近のぼるとはどうなの?クラス違くて寂しいんじゃない?」
ゆう「うん、毎日朝は一緒に行ってるよ!のぼるも変わらず優しくしてくれるし。でもやっぱり、、本音はちょっと寂しいかな。」
なつ「だよねぇ、クラス違うとなぁ。でもいいこと教えてあげるね!のぼる2年のときより授業もずっと真面目に受けてるよ。あと、内緒だけど休み時間に偶然ゆうに会うと、その後もすっげー嬉しそうにしてる。」
そうなの?会ったとき手は振ってくれるけど普通なのに。なつくんからこんな話が聞けて嬉しかった。
なつ「のぼるはいいなぁ、こんなに想ってくれる彼女がいて。めるちゃんのときは目が死んだ魚みたいで、、あっ。」
ゆう「あ、いいよ!!私、知ってるから気にしないで。」
なつ「ごめん、ごめん!そっか、めるちゃんを好きだったこと、知ってたんだ。なおさらゆうちゃん、すげーわ。のぼるのいいところも、だめところも全部ひっくるめて好きなんだね。」
ゆう「すごくないよ!のぼるのこと諦めようとしたこともあるもん、でも無理だっただけ。」
なつ「ゆうちゃんみたいな子に好きになってもらえたら、俺も高校生活エンジョイできるのにな〜。一緒に勉強したりとかして。」
ゆう「どうしたの?なつくん急に。」
なつ「俺の青春、部活と勉強で終わっちゃうよーと思って。」
たしかに、なつくんは隠れファンがたくさんいるのに彼女とかつくらないな。もしかして新しく好きな子とかいるのかな。。
ゆう「なつくんはみんなから好かれてるからね。独り占めはできないよ〜。」
なつ「ははっ、そうかな?」
なんかなつくん、横顔少し大人っぽくなったな。伸びた茶色の髪が夜の風にさらさら揺れてた。
夏が近づいてきた。
次の日は、久しぶりにのぼると一緒に帰ることができた。
のぼるから手を繋いでくれる。少し暑くてお互い汗ばんでるからちょっと恥ずかしいけど、あまり会えない今はちょっとしたことが嬉しかった。
ゆう「今日は時間あるの?」
のぼる「うん、今日は塾ないし。ゆうと久しぶりにゆっくりしたい。」
いつもの公園でベンチに座った。
のぼる「はぁー疲れた。勉強ばっかでやべーわ。」
のぼるは茜色の空を見上げて久しぶりに呼吸したみたいに伸びをしてる。横顔がカッコよくてドキドキした。
のぼる「ゆうはどこ受験するのか決めたの?」
ゆう「うん、○○大かな。本の編集とかそういう仕事したいなって思ってて。のぼるは?」
のぼる「○▲大が第一。でもヤバい、マジで夏休み勉強しなきゃ。。なつがあー見えて理数系めっちゃできるから、だいぶ刺激になるわ。」
たしかに、なつくんは勉強もできる。近くにいたら焦っちゃうかも。
ゆう「のぼるは頑張ってるよ。私が大丈夫って言ってるんだから、大丈夫!一緒にできること頑張ろ!」
のぼる「うん、ゆうちゃーん、ありがとう。癒やされた。ちょっとこうしてていい?」
肩にもたれてきた。
のぼる、だいぶ疲れてるな。
のぼるとゆうは、電車も反対方向だし塾も違う。
夏休みも会える時間はほとんどないと思う。
でも、今はしょうがないよね。。。
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