森野しいたけ

2023年3月末に18年勤めた高校教員を退職。2023年4月から無職引きこもりとなる。…

森野しいたけ

2023年3月末に18年勤めた高校教員を退職。2023年4月から無職引きこもりとなる。2023年12月から中学校の臨時職員として3月末まで勤務。4月からふたたび無職引きこもり。

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  • しいたけ日記ふたたび

    2024年3月21日〜

  • 無職引きこもり日記から

    無職引きこもりの日々。 一部だけを再投稿しました。

  • しいたけ日記

    森野しいたけの日記。 〈登場人物〉私、ピカッチ、同居人M、ナナちゃん、フクチン、マリンちゃん、その他の人々。

  • 140字小説応募作品

    140字小説を作っています。

最近の記事

Amazonの置き配 4月9日 しいたけ日記 

 今朝、ベッドの中でスマホのメールを開いて驚く。玄関に昨日届くはずだったAmazonの荷物が「置き配完了」していたのだ。  昨晩から雨がひどかった。絶え間なく降り続く雨はときどきゴーッという激しい音に変わり、夜中、降り続けていた。    私は注文していた本が届く日だというので、メールを開いては「配達中」の文字を確かめ、トラックの音が聞こえるたびに、玄関を確認しに行っていた。午後8時になっても荷物は届かなかった。その代わり、Amazonから「ご注文商品の配送について」というメ

    • エレファントマン 4月8日 しいたけ日記

       昨日、映画「エレファントマン」観た。デビッド・リンチ監督。頭が大きくて、体中に瘤ができる人。実際にある症候群だそう。映画の感想はいろいろあるが、面白いなと思ったのは、エレファントマン自身が自分の姿を鏡で見て、叫び声をあげたことだ。普段、自分の姿を自分で見ることは少ない。鏡やガラスウインドウなどに映ったのを見るときぐらいだ。だから、自分で思う自分の像というものが頭の中にできていて、たまに鏡を見て「えっ」と驚く。こんな顔かたちをしていたっけと。  4歳くらいのとき、自分の顔を

      • 臭気 4月7日 しいたけ日記

         日記を再開したものの、なかなか書く気分になれずにうだうだしていた。でも、なるべく毎日書こうと思う。つまらないことでもなんでも。  朝起きてきたら、廊下あたり一面が臭かった。私より前に起き出したカゾク(法律上夫)が朝のお通じを終えて、トイレのドアを開けっぱなしにしたらしかった。開けっぱなしにすることで臭気を拡散させようというつもりらしい。そんな必要ないのに。朝イチ嫌な匂いを嗅いで、それから鼻の奥にその匂いがこびりついて取れない。いい香りならいいが、人を消耗させうんざりさせる

        • 炊き込みご飯の思い出

           それは最後の食事会だった。祖母はそのとき進行の早い喉頭がんにおかされていた。末期だった。一週間後に大学病院に入院することが決まり、入院したら戻ってこられる見込みはなかった。祖母は私たちの家と同じ市にある母の実家で、伯父家族と暮らしており、1ヶ月に一度遊びに来るのが習慣になっていた。  祖母はいつも黄緑色の三輪自転車をゆっくりと漕いで私たちの家にやって来た。太った体に黒っぽい服を着て、腕には手提げかばんを引っ掛けていた。私たち三人兄弟が祖母の前に並ぶと、祖母は決まって手提げ

        Amazonの置き配 4月9日 しいたけ日記 

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        記事

          しいたけ日記 3月23日 友だちのこと

           私の友だちは超気まぐれ屋さんで、自分勝手な人だ。毎日10通くらいメールしてきていたのに、ある日プツッと途切れる。1日くらいならまだいい。3日、4日となると不安になってくる。「何か私が変なことを言って怒ってるのかな」とか、「もう絶交しようとしているのではないか」とか。半年前にも、映画の話をしていたところ急に怒り出して、それから2ヶ月半はメールしても返信が皆無だった。もういい加減、諦めたほうがよいと思った矢先、急に連絡が来て、その第一声が「もうご飯食べた?」という誠に何気ない一

          しいたけ日記 3月23日 友だちのこと

          しいたけ日記 ふたたび 3月21日

           ふたたび日記を始めようと思う。くだらないこと、不安なこと、誰かに話したいけれど話せないことなどをこのノートに書き留めていきたいと思う。  雑多なものになると思いますが、よければお読みください。  明日で中学校勤務が最終日となる。今日は、最後の授業だった。生徒たちは一年の授業のまとめとして、各自がレポート作成に取り組んでいた。私は机間巡視をしたり、生徒が見せに来た原稿に目を通して文法ミスなどを指摘したりしていた。  教室の窓からは、雪をかぶった山並みが間近に見えていた。

          しいたけ日記 ふたたび 3月21日

          しいたけ日記 鏡の中の女 11月28日

           昨夜は『鏡の中の女』観た。イングマール・ベルイマン監督。地味な始まりで、退屈気味に観ていったら途中から主人公の女性役が迫真の演技を見せだして目が離せなくなる。あの女優の狂いっぷりには見覚えがあって、それは1、2ヶ月前の自分にそっくりなのだった。ちょっとした出来事がきっかけで、自分の内面の問題が噴出して、それは抑えようと思っても抑えることができない何者かなのだ。  今週金曜日から仕事が始まるから心の準備をしているみたいで毎晩学校の夢を見る。昨日は夢の中で、前に勤めていた学校

          しいたけ日記 鏡の中の女 11月28日

          しいたけ日記 ダンサーインザダーク 11月27日

           昨日、『ダンサーインザダーク』観た。死刑に反対している友だちから、「最後のシーンは辛いけど我慢して観て」と言われたので、最後までちゃんと観た。純朴で子ども思いのセルマが吊るされて終わった。観終わってからも、だらだら何かを考えている。セルマ役のビョークがとてもよかった。途中でセルマの妄想として挟まれるミュージカルもとてもよかった。ラースフォントリアー監督の映画は、枠に収まらないではみ出していく。解釈などさせない暴力的なはみ出し方。観たあと残るのはそのためなのだと思う。  ピ

          しいたけ日記 ダンサーインザダーク 11月27日

          しいたけ日記 ドアが無い 11月25日

          トイレのドアの調子が悪い。引き戸なのだけれど、何かが引っかかってドアの戸車が回転しない。昨日の夜、開け閉めしにくいドアに腹を立てたピカッチが、乱暴にドアを動かすドンドンという音が響いていた。あれで余計に壊れた気がする。  同居人がドアを外して居間に持ってきて工具を突っ込んでいる。そのうち、おしっこしたくなってトイレに行ったら、ドアが無い。目の前でトイレのドアを修理しているのだから無いのはわかっているはずなのに、実際にトイレに行って、やっとドアが無いと気づくからおかしい。仕方

          しいたけ日記 ドアが無い 11月25日

          しいたけ日記 ダーゲル街の人々 11月24日

          昨夜はドキュメンタリー『ダーゲル街の人々』観た。アニエス・ヴァルダ監督。1975年フランス14区のダーゲル商店街の人々を映している。人々のたたずまいに職業が滲み出している。体中粉で真っ白になりながらパンを捏ねているパン屋の主人のシャツにはかぎ裂きの穴。夫の作ったパンを売る女将さんの口には金歯が光っている。注文された肉を手際よくさばいて紙に包む肉屋さんの得意げな手つき。カチャカチャ音を立てて肉切り包丁がぶつかり合う。手品師の指の間からにじりだされるしわくちゃのお札。古い香水店『

          しいたけ日記 ダーゲル街の人々 11月24日

          しいたけ日記 おばあさんのこと 11月21日

           昨日から、後頭神経痛というのになって、頭がズキズキ痛む。そのせいで変な回路でもつながったのか、あるおばあさんのことをしきりに思い出している。  まだ勤めていた頃、土曜日の朝八時は、近くの大型スーパーの開店時間で、その時間帯は客が少なく、買い物がしやすいから、私は一週間分の食料買い出しに毎週通っていた。  そこでよく見かけるおばあさんがいた。毛玉のたくさんついた黒いセーターを着て、汚れたぶかぶかの革靴をはいている。後頭部は今起きたばかりだという風なひどい寝癖がついているが

          しいたけ日記 おばあさんのこと 11月21日

          しいたけ日記 パンツのどうでもいい話 11月20日

           今日も朝から冷たい雨。旅行で疲れて寝坊したピカッチを会社まで車で送る。ふたりとも無言。フロントガラスに雨滴が列を成して次々と流れていく。間歇モードのワイパーが唸りながら滴を拭うと、涙を拭いた後みたいに、歪んだ鼠色の景色が現れた。  夢。道路から奥まったところに広いグラウンドがある。グラウンドまでは一本の砂の道がついていて、私はそこを歩いていく。グラウンドに着いていざ走ろうと思った途端、何か恐ろしい気配を感じる。グラウンドは杉木立に囲まれて、聖域であるかのように静まり返って

          しいたけ日記 パンツのどうでもいい話 11月20日

          しいたけ日記 ピカッチが帰ってきた日 11月19日

           まだ暗い朝6時半ピカッチ帰宅。玄関のドアがカチャッと開く音とともに「帰ってきましたよー」と猫たちに話しかける甲高い声。それから。ふふふ、ふふふ、ははは、はははとやけに楽しそうに笑う声がする。上機嫌だ。私は寒いし眠いので出て行かないで、ベッドにじーっとしている。ふふふ、ふふふと笑いながら、片付けでもしているのか部屋の扉を開け閉めする音が階下から聞こえてくる。ネズミーランド楽しかったんだなと思う。  夕方、ソファーに座り、隣に寝ている茶白猫ナナちゃんの背中を撫でて、幸せを感じ

          しいたけ日記 ピカッチが帰ってきた日 11月19日

          しいたけ日記 ピカッチがいない日 11月17日

           ピカッチがいないと、空気の振動がないからやけに静かだ。昨晩もしーんとしていた。落ち着きのない破壊的波動がない。ざわめきのない夜。不思議だ。ピカッチを妊娠中のある夜、光の玉がぶつかって来た。重たい光の束が全身を突き抜けて、イメージ映像みたいなものが流れた。あれはピカッチだったのだなと思う。あの波動が。エネルギーの塊。  夢。妹の右手の五本の指が全部短くなっている。浮腫んでぶよぶよになった短い指。「その手どうしたの?」と言ったら、妹は何でもないふうで「これ?霊が入ってるんだよ

          しいたけ日記 ピカッチがいない日 11月17日

          しいたけ日記 ネズミーランド 11月16日

           ピカッチが今夜、東京ネズミーランドに出発する。そんな朝、勝手口を開けたら茶白猫ナナちゃんからねずみの贈り物が置いてあった。上に葉っぱのリボンまで乗せてあって驚く。すごいねナナちゃん!  夕方土手ランする。今日は風がなくて、すすきもねむの木もみんな一時停止したようにしんとしている。木の上にとまっている烏が、大きな声でアアーアアーアアーアアーと鳴いたら、川の向こう岸にいて、こちら側からは豆粒みたいに見える烏が同じようにアアーアアーアアーアアーと鳴いた。呼びかけ合っているらしい

          しいたけ日記 ネズミーランド 11月16日

          しいたけ日記 11月13日 夢見るヒーター

           今日も朝から寒くてついに暖房を入れる。部屋が温かいだけで、なにかほっとする。猫たちものびのびしている。北陸に生まれ育ったのに、寒いのが苦手で、できればもっと日当たりが良い地域に移り住みたいと思う。  天気が悪いのでピカッチを会社まで送る。後部座席からピカッチが「今日山白いね」と言う。車の窓から山の方角を見ると、手前の低い山々に雪がかぶっている。「ほんとだ。雪降ったんだね」と言う。また冬が来たなと思う。嫌な長い冬が来た。  天気が悪いので室内で洗濯物を干す。エアコンの風に

          しいたけ日記 11月13日 夢見るヒーター