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「運と縁」にみちびかれるようにして、たどりついた2020年

2020年が、あと6時間ほどで終わろうとしている。

今年は大きなターニングポイントが訪れた1年だった。これまでの人生においてほとんどの時間を過ごした関東圏を離れ、名古屋へ。民間企業から公的機関へ。年の始めには全く想像していなかった転機を迎えた。

そんな2020年を、わたしは「”計画的偶発性理論”的キャリアの着地点」だと捉えている。

計画的偶発性理論=Planned Happenstance Theory

クランボルツ博士らによって提唱されたこの理論は、キャリアコンサルタントを取得するための学びを通じて知ったもの。Wikipediaでは以下のように説明されている。

個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される。その偶然を計画的に設計し、自分のキャリアを良いものにしていこうという考え方。

数あるキャリア理論の中で、自分自身のキャリアを説明するのに一番しっくりくるのがこの計画的偶発性理論だと思っている。

これまでも、あまり明確なキャリアプランをもたずにきた。目標に至るまでの計画を立てたとしても、コツコツ地道な努力ができるタイプではない。ふんわりとしたビジョンだけは持ちつつ、目の前に訪れたチャンスに随時対応してきたのだと思う。

それでも満足のいく職業人生が送れているなと感じるのは、「運と縁」に恵まれたからに他ならない。具体的なことは後述するが、「予想しない偶発的なこと」の連続が積み重なって、今回の転職に至っている。そういう意味で、わたしのキャリアは計画的偶発性理論そのものだな、と。

「なんかちがうな」を繰り返して

今年はこれまでのキャリアや、節目節目での意思決定を振り返る機会も多かった。その中で改めて感じるのは、いつもいつも「なんかちがうな」を繰り返してきたこと。

建築を学びたいと思って大学の学部を選んだけれど、実際に学んでみたら「なんかちがった」。建築は、わたしが扱うには大きすぎると感じた。その後、大学3年時に入った研究室も、レベルが高すぎてついていけなかった。

「若いうちから管理職を任せてもらえる会社で成長したい」と思って、ユニクロに入社した。年齢に関わらず完全実力主義でチャンスが得られる、という社風は働いていて気持ちよかったけれど、仕事の内容そのものを考えたときに「店長がやりたい」と心から思えなかった。「まずは店長を目指せ」という目標にコミットできなくて、成果も出ず、苦しい時期が続いた。

最初の転職で人材紹介のキャリアアドバイザーになったときも、「なんかちがった」。個人のキャリアを支援したいと思っていたし、良い支援ができたときもあったけど、面談でお会いしたほとんどの方にはお力になれなかった。人材紹介のビジネスモデル上、やむを得ないことではあったけど、自分がやりたいと思う対人支援とは違っていた。

それでも、「運と縁」にだけは恵まれてきた

「なんかちがうな」は、しんどい。ただそんなときにこそ、ありがたいことにチャンスが転がり込んできた。

「もうこれ以上店長を目指すために働けないな」と思ったときに、社内人材育成の部署で人員が必要になり、声をかけていただいた。たまたまその部署には過去の上司がいて、向いているだろうと推してくださった。

社会人の転職支援をする中で、社会に出る前のキャリア教育に携わりたいと思った。大学でキャリアに関する講義ができないかなあと思っていたら、大学時代の同期が大学と講師をマッチングする仕事をしていて、思いのほか早く講師業に就けた。

前職の人材紹介会社も、ベンチャーだったからこそ人事制度がガチガチに固まっておらず、大学の仕事をするために週4勤務にしてもらった。自身の転職活動で他の人材紹介会社もいろいろ受けていたけど、他の会社に入社していたらここまで柔軟な働き方はできなかったと思う。生活の基盤を失わずして、新しい仕事にチャレンジできたのは本当にありがたかった。

そして、今年の転職。最初に求人情報を見たのはTwitterだった。自分のやりたいことと一致していて、条件的にもその仕事一本で生計が成り立ちそう…という意味では、とても珍しい求人案件。名古屋への転居はネックだったけど、コロナ禍に背中を押された。近くにいる人とも会えないのならば、どこに行っても変わらないなと。

「その幸運は偶然ではないんです!」

これは、前述のクランボルツ博士が著した本のタイトルである。

本書は、自分の将来キャリアや人生の選択に悩みながら道を切り拓いていったごく普通の人たちのケースを、心理学者であるキャリアカウンセラーが読み解きながら、変化の激しい時代における仕事やキャリアの新しい考え方を示しています。

…とあるように、45人の「普通の人たち」のキャリアストーリーを中心に書かれているため、とても読みやすい。なんならわたしのキャリアも46人目のケースとして載せられるんじゃないかと思う。

「その幸運は偶然ではない」とはどういうことか。クランボルツ博士は「"計画された偶発性"が起こりやすい行動特性」を示していて、これが計画的偶発性理論の核をなしている。

1.好奇心[Curiosity]
2.持続性[Persistence]
3.柔軟性[Flexibility]
4.楽観性[Optimism]
5.冒険心[Risk Taking]

ただ漫然と日々を過ごしているだけでは、幸運は訪れない。上記5つの要素をもって行動し続けることこそ、幸運を呼び寄せるのだということだ。

これまでのキャリアにおいて、本当に多くの方がチャンスを与えてくださったことには感謝が尽きない。一方で、「なんかちがうな」と思ったときにこそ「じゃあどうしたらいいのか」を問い続け、さまざまな機会に好奇心を向けたり、実際に挑戦してみたりした自分自身の行動も、「運と縁」につながっていたのかなと思う。自分でいうのもなんだけど。

2020年は、新型コロナの影響で世の中が一変した。自分自身も、予想だにしていなかったキャリアチェンジをした。
2021年も正直どうなるか分からないけど、分からないなりに「好奇心・持続性・柔軟性・楽観性・冒険心」を忘れずに、目の前で起こることへの意味を見い出しながら過ごしていきたい。

今年もありがとうございました。みなさま、良いお年をお迎えください!

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毎月楽しみにしている、「ライフワーク倶楽部」のみなさんによる「探検読書」。11月のテーマは「2020年今年の1冊」だったので、「その幸運は偶然ではないんです!」を紹介しました。1月も楽しみです!


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