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今度のパワーワードは「絵柄の私物化」

つかいつも絵師さん界隈のトレンドから遅れてるマン。
なのでどういう文脈でこの単語が発されたのかビタイチわかってなかった。
ので一生懸命遡って調べて発祥の地までなんとか辿り着いた。
AI生成画絡みの話だった。
その時の感想がこれ。


で↑の「絵柄を私物化」理論が変じゃね?の呟きの補足ね。
・著作権の及ぶ範囲ではない

・私物ではない

・公共財である
はそれぞれ全部イコールではない
…って意味なんだけど。
だから「著作権の及ぶ範囲ではない=私物じゃない」は成り立たないよね、iPhoneの例の通り。
まあiPhoneは著作権の範疇じゃないけど。

そもそも絵柄の話なんだから、絵の話でしょ?
絵って例えば描き手の名前伏せて並べられたら、基本絵柄で誰の絵か判別できるわけ。
ってことは絵柄=ほぼ絵師の名前ともアイデンティティとも不可分てことでしょ?
絵柄で誰か見分けられる(基本的には)。
つまり人間で言えば人相風貌みたいなもん。
んじゃ間違いなく絵柄は私物よね。と思う。
属人性が高いという意味で。
少なくとも公共財ではない。
公共財の公園のベンチや生垣や一般道と同じ扱いにはならない。

もし人相風体を他人のそれが羨ましいからって整形して人相似せて同じ服着て丸パクしたら、パクリにもパクられにも不幸なことだと私は思うなあ。
周りから見ても紛らわしいし、「何のために他人そっくりの風体にしてるの?」と胡乱がられると思う。
ラレ本人から見たら自分に成り代わろうとしてるように思えて気味悪いし。

そもそも私物であることと、著作権の保護対象じゃないことはイコールじゃないよね。
私のiPhoneはAppleが作ったものだけど、私の私物だから。
私のiPhoneはわたしが対価を払って買ったから私の私物なんだし。

絵師の絵柄はではどうか。
例えば好きな漫画家やイラストレーターへの憧れや尊敬に加えて対価を払って自分の手で再現したくて繰り返し模写するというリスペクトの伴った行為などから絵柄は生まれる。
実際の対価も払っているが、リスペクトという対価があるから模倣に作者がとやかく言わないことが多い。
そしてどうしたって人間には個性があるから模写してもその後自分風味が強くなっていくものなのよ。

もし自分風味が強くならないとしたら意図的にキープしなければできないと思う。
Bさんがマイナー誌で頑張っているのを横目にBさんそっくり絵柄でメジャー誌デビューし次々連載して「Bさんの絵柄をもってBさんを出し抜いた」形になっていたように見えた漫画家Cのように。


この場合「出し抜こうとした」(ように私には見えた)ことが引っかかったわけで。

そもそも論として「法律に引っかからないグレーゾーンだからOK」と言われればその通りかもだけど。
それでも私はBさんを出し抜いた形になった漫画家Cに少なくとも尊敬の念も好意も持てない。
Cが絵柄丸パクしなければBさんは前の絵柄を捨てて妙なデフォルメを加えたりしなかったかもしれない。
そもそも連載を中断することもなく最後まで完遂できたかもしれない。
Bさんの順調だったキャリアをズタズタにしたのはリスペクトのないCの行為のせいかもしれない。
そう思うとやりきれない気持ちが湧いてくる、未だに。

その件を考えてみてもやはり絵柄とは絵師のアイデンティティと不可分であると感じるのだ。

そんなわけで、「(元々私物である)絵柄の私物化」という循環参照した謎のパワーワードに首を捻った本日の出来事だった。

目が痛いんじゃ…痛いんじゃ…でも描く

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