〈親亡き後の問題〉を考える
〈親亡き後の問題〉とは親が高齢になり、「親が亡くなった後、身体障害、知的障害、精神障害のある我が子の生活は大丈夫なのか?」と不安を感じることです。
料理、洗濯、掃除など身の回りのことや買い物、病院の受診、役所の手続きなど子が1人では出来ないことを手伝っている親は多いです。
親が若ければがんばって子の生活を支えることは出来ます。しかし70代になってくると体力が衰えたり、病気が増えたりします。
周りの年齢が近い人達が亡くなっていったり、誰もが知っている有名人が亡くなったとニュースを目にする機会もあったりするのではないでしょうか。
親自身が自分の親が亡くなっていく年齢に近づいてくるとだんだんと自身の亡くなったあとのことをよぎります。
〈親亡き後問題〉
「果たして自分がいなくなった後、子どもは生きていけるのだろうか」と不安に思う家族は多いです。
2025年問題と団塊の世代と言われている人達が全員後期高齢者75歳以上になります。そのため、あらゆる問題が起こってきます。8050問題もそのうちの1つです。
高齢の親は自分自身のケアをしながら、子のケアをする、または配偶者のケアをするとなるとダブルケアの問題として捉えることも出来ます。
生活の心配
グループホームに入所する、福祉サービスや医療を受けながら1人暮らしをして自立して生活することを確立出来ている人は心配ないかもしれません。しかし全ての人がそうではありません。
様々な理由から、親と一緒に実家に暮らして親のサポートを受けながら生活している人も多いです。例えば、親以外の人を関わることが苦手であったり、障害や症状によってグループホーム入所を断られてしまったり、経済的に理由など様々です。
家というのはメンテナンスが大変です。例えば、水道管など壊れた時は修理をしなければなりません。毎年、固定資産税など税金を払わなければなりません。
そういった家を維持する管理は親が若く健康なうちは親がするため問題ありません。しかし家に住み続けるとなると今後は子が行っていかなくてはなりません。
誰がサポートをするのか問題になります。成年後見人制度という公的なサポートを受けるのか、兄弟がいれば兄弟が管理するのか、親戚が管理するのか。
グループホームなどの施設に入るのかと検討することも必要となる場合があります。グループホームは集団生活です。ご飯の時間など日々のスケジュールは管理され、トイレやお風呂など共有スペースがある共同生活になります。常にスタッフがいるため、寂しくないと感じる人もいれば、煩わしいと感じる人も出てくると思います。
親がいなくなった後どうやって生活していくのか、対話していくことも必要かもしれませんね。
お金の心配
お金のストレスはとても強烈です。ほとんどの親は悩んでいます。
身体障害、知的障害、精神障害に関して、一般就労や障害をオープンにして働く障害者雇用で働くにしても障害のない人に比べると給料は低いという現実があります。
障害者雇用だと体力的につらい時や精神的にしんどい時など、休憩を小まめに取ることが出来たり、仕事を休むことも出来たりします。仕事が行けない日が続くとそれだけ給料は減ります。
障害年金をもらうという方法もあります。しかし精神障害年金の場合、注意しなければならないことがあります。身体障害や知的障害の程度は数年単位で大きく変わることはありません。精神障害は気分の浮き沈み、症状の改善や悪化はジェットコースターのように変化する人もいます。
症状が悪化したり、現状維持であったりする場合は障害年金の等級は変わらないかもしれません。逆に症状が良くなった場合、障害年金の等級が下がりもらえる年金が減ったり、支給停止となり年金が0になってしまったりすることがあります。
症状が良くなることは喜ばしいことです。だからと言って、仕事をバリバリとこなし給料が大きく増やせるわけではありません。むしろ悪化を防ぐために慎重に働いていると給料は少なくなります。
しかし症状が安定して、就労していると生活の困難さが改善されたと判断され、等級が下がったり、支給停止になったり可能性があります。
主治医の診断書の書き方にも左右されるため、相談は必須です。
そして親は高齢になると現役並みに働いて給料を稼ぐことは難しいです。親自身も国民年金か厚生年金で生活費を賄うことになります。
食費や光熱費など生活に必要なお金だけではなく、医療費や介護費もかかってきます。
その中で子の生活費を援助していた場合、「自分がいなくなった後、経済的に問題なく暮らしていけるのか?」と不安を感じていきます。
実際、障害があると給料は低くなることが多いです。「自分がいなくなった後、食べていくことは難しいのではないだろうか、経済的に破綻してしまうのではないか?」と心配が強くなる親も多いです。
「親の自分が最後まで面倒を見なければ」という思い込みを手放す
「自分が世話を手放したら、経済的に破綻するのでは?」
「親の自分が最後まで面倒を見なければ」と思い続けることはとてもしんどいです。
「自分が世話をしなければならない」という意識を手放すこと
とても怖いことかもしれません。手放すのは意識だけなので大丈夫です。意識が少し変わるだけで見える世界が変わってきます。
今まで関わって来なかった人達、今まで知らなかった公的制度やサポートを受けることが出来るようになります。
意外に楽になれますよ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?