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死語なのか

時々フチが赤かったりもする。
そうだ、四角いハム。プレスハムやチョツプドハムというやつだ。

つなぎが入った、ソーセージっぽい味がする昭和のハムの、味がどーのこーのより形に利点があるのだ。
サンドイッチに。
丸だと、二等分以外に切り分けた時不公平になる。わたし、五人兄弟の十人家族だったので、敏感。

ただ、サンドイッチの具材は、多ければいいってもんでもない。
サンドイッチサンドイッチと書いてきたが、わたしが気にしてるのは、実はトーストだ。ハムトーストの話。

喫茶店のハムトーストが好きなのだ。

但し、拘りがある。
今時のお洒落なパンじゃなくて、普通の六枚切りでいい。但し柔らかいパン。
レタス不可。
斜めにスライスした厚さ三ミリ以下のキュウリを六〜八枚。
あ、その前にパンにはカラシバターをぬる。マヨではダメ。
そこにキュウリを敷いてから、ハムを一枚だけ乗せて、更にパン。その後オーブントースターで焼くのだ。
焼き上がりに、パンの表面に更にバターが塗ってあると尚いい。
いたってシンプル。
余計な食材は要らない。
だからこそ、パンの端にまでちゃんと存在する四角いハムがいいのだ。
無愛想で配慮のあるハムトーストだ。

「野菜不足〜」とか「小麦粉摂りすぎ〜」とか

たかだか一個のハムトーストに健康のウンチクは要らない。
栄養を「摂る」んじゃない。
ハムトーストを「食べ」たいだけだ。

お洒落なカフェじゃなくて
味噌汁付きのライスカレーとか
ガムシロ抜きでと言わなきゃ最初から甘いアイスコーヒーとか
ほころびのある濃い色合いの花柄の布を張った椅子とか
が、ある喫茶店で。


栄養を「摂る」じゃなくて、ご飯を「食べる」と言う言い方すら死語になりそうな風潮。そんな世の中は、窮屈だ。


#つれづれ #エッセイ

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