流れは塵と共にースピンオフ1
noteを始めてしばらくの頃。ですのでかなり前になりますが、短編『流れは塵と共に』という物語を投稿しました。古来よりの文化・芸能の担い手はその多くが賤民とされ、怖れを含む好奇な視線を向けられた被差別民でした。
白拍子の流れをくむ舞手ふたりが登場する物語です。
この物語のその後のようなものを『桔梗』『葵』というふたつの作品にしてみました。
流れは塵と共に
1『流れる』はコチラ2『断つ』はコチラ
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『桔梗』
好奇に満ちた視線などどうということではない
請われた夜に実を落としても
わたしのこころに触れることなど
どこの誰にもさせはしない
わたしは舞う
白い手の中に哀れを隠して
今宵も見事に
桜を吹雪かせてご覧にいれましょう
それでも
夜空に咲く桜は月明りがあってこそ
細く輝く月の光が
今宵は何処で何を照らしているのやら
想う人は山を越え見知らぬ空に輝くならば
せめては舞いの残り香をすくい取って届けたい
丈夫な櫂を持つ星の川を登る小舟が欲しい
さだめに抗ったこの身に舟を
蔑むその視線と引き換えに
川のほとりに佇む者は何処へなりと行けという
流れ流れて焦がれる命の
皮膚をすり減らすまで
『葵』へ続く
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