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平安絵巻に忍ばせたものは

これだけの愛憎劇が目の前にあれば、思う事を伏せ字のように忍ばせて長い物語にしたためたとしても不思議では無いのだろう。

源氏物語である。
カルチャースクールで古典を教えていらっしゃる長谷川美智子さんが、現在面白い講義のnoteをアップされている。


このタイトルである。惹かれない訳が無い。

源氏物語の作者紫式部は、一条帝の皇后藤原彰子に仕えた人だ。
この時、宮中は一帝ニ后と言う前代未聞の状態にあった。「女御より上位の第一夫人が二人いる」と言えば軽いかも知れないが、もっと古く飛鳥あたりであれば、立后とは「王位を継承する可能性を持ち政務にあたる」立場になると言う事だった。それはかっての世とは言え、単なる「妻」で済む話では無いだろう。

栄華を極めた藤原氏。不比等の子により四家に分かれたものの平安時代には北家のひとり勝ちになり、なったらなったで北家内での権力闘争が起きたのは必然。

中宮定子と皇后彰子。
このふたりの女性が、実家を背負って翻弄される日々のその側にあり、源氏物語を通して雅やかな平安の、長い物語に作者が忍ばせたものは、生身の人間が織りなす世の儚さと、そして……

一度は髪を下ろしながら、再び宮中に戻り子を成した後没した定子と、定子の子を育てあげ自身の子との間で揺れ動いた彰子。

源氏物語を書いたのは、このふたりの女性と、野望渦巻く男達の姿を目の当たりにしてきた、才溢れる女性の目なのだ。

長谷川さんが書かれている連載は、嫌味のエッセンスが効いた軽快で面白い講義。
まるで「そうだったのか源氏物語!」と、膝を叩くように読ませていただいている。

古典はやはり面白い。時代背景を辿りながら読めば、尚面白い。


#コラム #源氏物語 #長谷川美智子さん

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