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吉田 翠*詩文*
2021年1月31日 09:59
少し緩んだ寒の朝今日の空気に溶けてゆこうとする水滴の透明な匂い送りだす詩(うた)よ陽射しは手を取ってくれるだろうか掌に乗る小さな小さな詩(うた)よ行くべき場所を見つけるだろうか寒の日々に凍る事を拒んだはずの若い土心細く荷を背負いながら生み落とされた意味を知っているだろうか「いってきます」繰り返されたひと言と目に焼き付く鞄を背に玄関を飛び出す子の姿返し続けた言
2021年1月9日 16:08
マイクロバスに揺られて運転手の鼻歌はガイドの代わり小難しい政治絡みの云々も対立する民族がいた歴史も窓の外に広がる過不足のない一瞬が全て承知の上で道をあけろと偉そうに笑うそうだこのバスが向かう先はあんなにも憧れた伝説の土地絵に描いたような男も女もいつぞやの時間に住む老人も悪巧みに飽きた子供も好き勝手にお伽話を持ち込んでは指を指す地平線何が見えたか思い通りだったのか