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ある意味 最新☆斬新 テレビ番組①

長年テレビ業界で仕事をしてきたので
イギリスでテレビを見ていると気になることが多くある。
その構成は正解なのか?なぜそうなった?と突っ込まずにはいられない。

すっかり毎日在宅勤務をしている我々夫婦は
ランチを作りながら&食べならがテレビを見ることが多い。
そして日本のテレビではあり得ないようなことがイギリスでは起こるのだ。

私たちは昼時、日本でいうところの「おもいっきりテレビ」と「徹子の部屋」と「きょうの料理」を足したような番組をよく見ている。
要は視聴者の電話相談があり、映画俳優やミュージシャンなどの有名人のトークコーナーがあり、料理コーナーもある。
なかでも私が「それは!新しい!」と驚いたのは料理コーナーだ。

コーナーが始まると、日本と同様、完成品がテレビに映し出される。
料理家さん「今日作るのは、パンプディングでーす」
司会者1「わぁ、おいしそうだね」
司会者2「早速食べてみましょう」
そう、まだ作っていないのに、作り方の説明もされていないのに
番組の司会者がその料理を食べ始めるのだ。

斬新である。
こんな構成、思いついたこともなかった。。
ディレクターとして、敗北である。
司会者は作られている料理の完成品を食べながら、作る様子を見ているのだ。

国は違えど、こういったテレビの料理番組には様式美がある。
作る。食べる。おいしいと言う。だ。
決まった構成のある番組はつまらないが、安心感がある。
ほっとして見ていられる。
昼になんとなく「きょうの料理」を見るとほっとするのは
それが人をドキドキさせることのないコンテンツだからだ。
とんでもない料理を作る平野レミさんですら、
料理はぶっとんでいるが、番組そのものの構成を壊したことはない。
それは
作る。食べる。おいしいと言う。だ。
言葉はわからなくても、他の国の料理番組はなんとなく見ていられる。
それは決まりきったルールがあるからだ。
ところが、そのルールすらもイギリスのテレビはぶち破ってきた。

料理家さん「今日作るのは、パンプディングでーす」
司会者1「わぁ、おいしそうだね」
司会者2「早速食べてみましょう」
司会者1「なんか、これべちゃっとしていておいしくない。僕は好きじゃないな・・・」

かわいそうなのは、こんなコメントをされた後に
料理家さんがせっせと料理を作らなければならないことである。

彼女はマズいパンプディングの作り方を説明する。
かわいそうに。。。
そして、私は必死に作り方を知ろうと思ってしまう。
「なんでそんなにおいしくなくなっちゃうのよ?」という疑問があるからだ

一般的にイギリスの料理のイメージは良くない。というかマズい。
私は幸いにも、そんなにもマズい料理に遭遇したことはなく、
「イギリス別に料理おいしいよ」という立ち位置だったのだが
それでも暮らしていると
「なぜこれを、こんな風にして、ダメにしちゃったのよ」
と思うことは多々あるのだ。

もっと残念なことに、
このパンプディングの作り方は至って普通で、別にとんでもないことは起きていなかった。
平野レミさんの料理の方がよほど斬新な作り方だった。

司会者2「おいしいと思うけど?」
司会者1「僕はこんなにもシロップがかかっているのは好きじゃない」
そう。好みの問題だったのだ。

元吉本新喜劇の座長である小籔千豊さんは肉が食べられないのに
(肉を食べない家庭で育ったため)
昼の情報番組で料理コーナーの試食をしていた。
その小藪さんですら、肉以外の部分を食べて
「おいしいです」と言う様式美を大切にしていたのに。。。

英語という言語は日本語と違って主語が必ず着く。

日本で料理を「マズい」と言うと、その料理そのものに「マズい」と言う札が貼られたような気分になる。
でも英語で「I don't like this.」というと
嫌いなのは「ぼく」であり、料理に「マズい」と言う札ははられない。

なんだか煙に巻かれたようなトリックでしばし呆然としたが
それにしても、作る前に「マズい」と言うのは失礼だと思うんだけど、、、、それが意見を言うという文化なんだろうか。

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