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【群馬県上野村】「協力隊の1年を終えて」

3月16日(土)の活動報告会をもって1年間の任期を終えた30期10名の隊員たち。
任期を終えたばかりの彼らが、緑のふるさと協力隊としての1年間を振り返って、今思うことを紹介していきます。
今回は、群馬県上野村で活動をした松浦遼太さんです。



 自分は人と関わるのが苦手だとずっと思ってきた。
 場面に応じた言動がとれなくて人を嫌な気分にさせ、それに気づいて辛くなるので、なるべく一人でいる方がいいと思っていた。
 今でも個別に見れば苦手なことはたくさんある。でも1年間多くの人と関わる中で、うまくできなくてもできないなりに人と関わっていく方がいいと考えるようになった。また田舎だからといってみんなが人付き合いが上手いわけではないとだんだん分かってきて、自分が極端に人付き合いが下手だという認識は改めていいとも思った。

 人と関わることが怖くてやりたいことをあきらめるという今までの状態からはかなり解放された。活動先の事業体での関わり、イペント・行事・共同作業での関わり、個人的にお宅を訪問するなど、人との様々な関わり方をした。明らかに鍛えられて慣れたと思う。

 協力隊に参加する前はとても不安で、面接を受けた後もやっぱり辞退しようかと迷った。来年1年も全く違う環境で新しいことをやる予定なのだが、今回は協力隊に応募した時と比べると不安は明らかに少ない。不安だった協力隊を1年間やり遂げることができ、やって良かったと思えている事実が、新しいことに挑戦するハードルを下げてくれていると感じる。

 舞踊や神楽の練習で、右も左も分からない状態から、一応舞台に上がれる状態まで覚えることができた経験も、今後新しいことを始めた時、できない時期を乗り越える力になりそうだと感じている。実際、神楽の本番が終ったあとから笛の練習をし始めたとき、神楽や舞踊ができるようになった経験があったから、あきらめずに練習を続けられてある程度吹けるようになったというところがある。笛はとても気に入ったので、今後も練習して、参加した集落のお祭りの曲は全曲吹けるようになりたいし、別の地域のお祭りの笛も聞いてみたいと思う。

 真夏の暑い時期に農作業をする機会が多かったが、なんとか乗り切ることができた。今まで屋外の仕事はほとんどしたことが無く、もっと地獄のように辛くてとても自分にはできないだろうと想像していたのだがなんとかなった。また狩猟の見学で山を歩いた時、普段から狩猟に参加している同世代の人が、自分よりはるかに疲れているのをみて、もしかして自分は意外と体力があるのかもしれないと思うようになった。これらのことから今後の仕事の選択肢として外で体を使う仕事もありかもしれないと考えるようになった。

 保育所の活動で子供が喜んでくれるのがうれしかったので、今後の人生で子供のために何かやる機会を作ってもいいかもしれないと思うようになった。自分がこんなことを思うようになるとは思わなかった。

 青年団等で若い人と関わる機会が多かったが、思ったよりなじめて楽しかった。若者に対する苦手意識が減ったのは間違いない。みんなで準備をしたりするのが結構楽しかった。地域の共同作業でも感じたが、人と共同で何かやるのが意外と好きなのだと気づいた。

 この1年で地域の人からいろんなものをもらった。

 自分で作った野菜・釣った魚・狩猟でとった肉などの食材。干芋・干し柿・うどんなどの加工食品。商品をくれた木工家の方もいた。その中でだんだん自分でも作ったものを人にあげられるようになりたいと思うようになった。もらうほうはもちろんうれしいがあげる方も結構楽しいのではないかと思ったのだ。自分が作ったものを人にあげることを想像するとちょっと楽しい気分になる。

 村の人たちにはよくしてもらったが、特に初対面から親切にしてもらったことが印象に残っている。
 畑や道で初めて会って挨拶をしたらその場で家に来ていいと言ってもらったことが何度もあったし、草野球の練習に参加したら初日から練習後の食事に誘ってもらった。旅館に挨拶に行ったら夕飯を食べに来ていいと言ってくれ、宿泊客と同じものを無料で食べさせてもらったこともあった。

 上野村に限らず、田舎の一番の魅力は人だと感じる。

 村の人と都会の人が交流する機会があれば、移住するまではいかなくても何度も訪れてくれる人は増やせるのではないかと思う。自分にはできなかったが、若葉のふるさと協力隊ぐらいの内容と期間で村に来てもらう機会を作れればかなりの効果があると思う。

 また、この1年大変なことが多かった。楽しいと思う余裕はなかなか無く、不安と緊張を感じている時間が長かった。しかし得るものも多く、やってよかったと思う。もともと楽なほどいい、楽な道ほど正しいと考えていた節があるが、大変なことでもやってみると見返りが大きいことがあるという事実を実感できたの本当に良かった。 


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