読書メモ『海辺のカフカ』
20年ぶりに村上春樹の長編を手に取ってみました。会社で仲良くなった人が好きだからという理由で。たまにはこういうきっかけで読書するのもいいかなと。
呼んでいて最初に思ったのが「思った以上に古いテーマ(『戦後』)だな」といこと。古いからいい悪いというわけではなく。最近読んでた小説ではこういった要素がないので思わず反応してしまったということです。
テーマの個人的な理解は、以下のような感じです。
・大テーマ:運命と主体(構造と実存)
・中テーマ:戦争(無意識的な暴力への加担)と責任
・小テーマ:少年の成長(?)
成長と書いておいてなんなんですけど、この小説で諸々の解決の方向性は『受容』『諦念』なんだと思うんですね。
運命や全体主義や構造などという大きなものに対して、個人はあまり抗えなくて、ほぼほぼその流れの中で動いていくしかない。これに対しては受け入れ、思い通りにできないことは諦めていくしかない。
でもそのときそのとき個人は苦しんだり、喜んだり、一生懸命何かに取り組んでいたりしているいて、それは何者によっても否定されない。むしろそのことを自己肯定していくことでより充実した生になっていく。そんな感じに読みました。
あとこの小説を満喫するためのポイントは、断片的な記述にとどまっている詳細なストーリーのつじつまをどう理解するかと、かなり派手なマジックリアリズムを楽しめるかどうか、オサレ村上春樹要素に「オサレ♡」と思えるかどうか、という感じですかね。
個人的にちょっとマジックリアリズム部分が突拍子無く感じてついていけなくなることがありました。オサレ村上春樹要素については、20年経って一周回って楽しめるようになっていました。
他の作品も読んでみようかな。
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