記事一覧
【詩】信仰狂(しんこうぐるい)
信仰狂
加飾された凄烈な光も
底知れない重厚な闇も
人々の弱みに付け込み
心身の眼を眩ませる
数多の卑しい精神が
中身のない権威を育み
ひたすら平伏すことで
脆い後ろ盾を欲する
植え付けられた恐怖を
畏敬の念に昇華させ
真理を殺す羊達を視て
黒き大蛇がせせら笑う
権威から成る黒き塔は
羊共の生気を吸いながら
慈愛の死臭が漂う大地に
威風堂々と聳え立つ
【音楽】Mina Okabe『Every Second』
歌:Mina Okabe
曲:Every Second
良き週末を。
【R18•詩】濡れそぼつ月
濡れそぼつ月
妖光を発する錆びた刃で
左手の中指を斬り落とし
滴る血で欠けた月を染める
本能を擽る香りに誘われ
渇望に侵された亡者共が
紅い月の下で犇めき合う
腐った涎を撒き散らし
口づけを交わすが如く
共食いに花を咲かせる
嗤いと呻きと嘆きの声が
大義のために重なり合い
姦邪の集合体が再誕する
隔離されていた世界が歪み
光明のない空間が軋み
暗闇から生と死が押し寄せ
【音楽】Bullet For My Valentine『Waking The Demon』
歌:Bullet For My Valentine
曲:Waking The Demon
【詩】まなざしのむこう
まなざしのむこう
冴えた灰色の鳥は
秀でた翼を呪い
錠のない部屋から
窓の向こうを眺める
射し込む日差しに
執拗に問われるも
翼を広げる理由は
どこにも存在しない
焦げる季節に瑞々しくも
大陸の風が荒ぶにつれ
力尽き地を這う葉でさえ
凩に乗り空に愛される
漠然たる絶望に浸り
曖昧な希望を抱き
深手を負わないため
直向きに爪を研ぐ
表も裏もない硬貨を
空白な床に落