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五十男のご乱心
深夜、初めて聴くような唸り声を上げながら
夫が部屋に入って来た。
「夢を見た!お前が・・・・っ!」
「私がどうした?」
「お前が・・・・逢引き部屋を隠れて持っていた・・っ!
そこで・・・男と・・・・っ!」
「夢よ、夢。もう一度寝てらっしゃい」
「俺は・・・お前がそうなら
死んでやる・・・・」
人の寿命は延びすぎた。
と言う事を、人の【進化の遅さ】が物語っている。
人の脳には、ゴミ箱の様な・・・
嫌な事、見たくなかったもの、認めたくないもの、ショック、トラウマなどをポンポン放り込めるスペースがある。
一度ここに臭いものを放り込んで蓋をしてしまえば、
「無かったこと」や「乗り越えたフリ」でその後の人生を歩めてしまう。
けれどそのゴミ箱にも容量があり、
個人差はあるが、だいたい50年で一杯になってしまうのだ。
そうなれば、今までの様に都合よくポンポンとイヤな事を放り込む事も
蓋を閉める事も出来ない。
それどころか今まで放り込んで来たものがどんどん溢れ返り、
腐臭を放ち始める。
親への反抗心を閉じ込めて反抗期すら無かったような人間たちが
50を過ぎてから「私はずっと親の言いなりだった!!私の人生を親に台無しにされた!私はずっと親の奴隷だった!!」と恨みを爆発させる事もよくあること。
夫への不満を閉じ込めた女たちが
「もう我慢の限界です!」と熟年離婚に踏み切るのもよくわかる。
私の場合は、この脳のゴミ箱は30年ももたなかった。
乗り越えたつもりの親からの虐待も、壮絶ないじめに遭った経験も、
30手前で溢れかえって収拾がつかなくなった。
「30になる前に死にたい」と本気で思った。
そう。多分、私たちの寿命は延び過ぎたのだ。
【人間五十年】ならば、脳のゴミ箱が溢れかえる事もない。
悲しいことに脳のゴミ箱の容量は
寿命が延びるスピードで増えてくれはしなかったのね。
再び寝入った夫の顔を見守りながら
「貴方も来年50ですね。
他人が言う様に、貴方はずっとクールでスマートな男でした。
これまで、どれほど私の奔放さに傷付きながら
“大きな男”のポーズを取る為に色々をゴミ箱に詰め込んで来たのでしょう」
と、泣けた。
ね、貴方?
もう、クールでなくて良いのです。
もう、寛容でなくて良いのです。
もう、カッコ悪くて、良いのです。
これから貴方がまき散らすだろう古い感情のゴミ、記憶の断片を
私が共に片付けましょう。
貴方が大きな男のフリを保ってくれたから
私は貴方を置き去りに心の旅にも出られたし
貴方の心を置き去りにひとり勝手に、独り善がりな修行にも励めました。
今までありがとう。お疲れ様です。
大きな白髪の赤ちゃんも、きっと可愛いことでしょう。
初めて見せてくれた激しい嫉妬が
愛しい我が子の夜泣きの様で幸せでしたよ😌
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「加湿器ガンガン稼働させたいけれどオルゴール達が心配っ!」
と言った私の為に、夫が設置してくれた防湿庫😊✨
細~~~い長~~~いモデル体型であっても、
そろそろ50歳でも、
やっぱ男は力持ち💕
ありがとう。
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