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私である時間を過ごすHOTEL CAFUNE|産後ケアホテル #HOTELIST

ホテルの役割は、旅先で寝泊まりするためだけではなくなっています。今回私が宿泊した産後ケアホテルとは、その名の通り、出産後の母親の心身をケアして、回復へ導くためのホテルです。

今年2月末に第一子を出産し、生後15日のタイミングで川崎にある産後ケアホテル「HOTEL CAFUNE」に2泊3日で宿泊してきました。一生に一度だろうこの機会に、産後ケアホテルに宿泊して本当によかったと思える時間を過ごすことができました!

このnoteが、産後ケアホテルを知りたい人へのヒントや、HOTEL CAFUNEに泊まろうか悩んでいる人の後押しになりますように。

そもそも産後ケアホテルとは?

産後ケアホテルは、ホテルに宿泊しながら助産師さんが授乳・沐浴指導など育児のサポートをしてくれるサービスのこと。子育てのプロによるサポートで、母親は妊娠直後の心と身体の休息をとり、その後の家族との生活を整えることができます。

韓国では文化の一部として根付いており、経産婦の75%が2〜3週間ほどケアを受けるのが一般的だそう。台湾や中国でも2010年代から産後ケアが急速に普及しはじめています。
世界の産後ケア事情:中国/台湾 実体験レポ
妊産婦は1〜2年休むのが当前な中国の価値観

HOTEL CAFUNE 公式サイトより

日本でもここ数年で産後ケア施設は、徐々に増えてきており、HOTEL CAFUNEのようなホテルとして独立したサービスや、産院が運営している産後ケアとして入院できる施設などがあります。

ただ、産後ケアホテルは母子の命を預かるサービスの特性上、だいたいどこも1泊あたり5万円以上。かつ中長期滞在する前提ゆえに、一般的なホテルに比べるとかなり高額です。

東京のいくつかの区では、出産・育児支援制度として産後ケア施設の利用補助で1泊1万円以下で宿泊できるように整備されるなど、官民で産後ケアの普及が進められているので、もし気になる方がいたらお住まいの行政のサイトもチェックしてみるといいかもしれません。

1.通常のホテルの一画が「産後ケアホテル」に

HOTEL CAFUNEは、多摩川沿いにある川崎キングスカイフロント東急REIホテルの8室を、産後ケアホテルとして運営しているホテルインホテル型の施設です。

東急系列だとビジネスホテルの印象が強いですが、川崎キングスカイフロント東急REIホテルは、東急の中でもライフスタイルホテルの位置付けにあって、とてもおしゃれです。

1階のラウンジはブルックリンにある倉庫をリノベーションしたような雰囲気。

「THE 産後ケア…!」なリゾート感はなく、どちらかというと、なんだか海外旅行に来たような気分になれます。実際、私が訪れたときはラウンジもレストランも海外からのゲストが多かったです。

ホテルに着いたら、東急ホテルのスタッフさんに「カフネでの宿泊です」と伝えれば、ラウンジまでカフネのスタッフさんが迎えに来てくれました。

2.必要なものは全てあるから手ぶらでOK

基本的な設備は、概ね川崎キングスカイフロント東急REIホテルに準じていますが、部屋には新生児のお世話に必要なものは全てそろっています。

私が宿泊したのは、リバービューのプレミアムルーム。部屋は天井が高くて、面積以上に開放感を感じる空間でした。

部屋には授乳クッションをはじめ、哺乳瓶、粉ミルク、哺乳瓶の殺菌機など産後に必要な育児グッズがそろっているため、荷物は最小限で済みました。新生児を抱いてホテルまで行くのは、車で行くと言えど、なかなか緊張したので、荷物を極力少なくできたのは、とてもありがたかったです。

ちなみに、殺菌機は使用した哺乳瓶をスタッフの方が毎回洗ってくれるので、結局一度も使う必要がありませんでした。

また、便利グッズとして知ってはいるけど、子によって合う合わないがあるようなアイテム類(キューブタイプの粉ミルクや、消音タイプの電動搾乳器、電動バウンサー等)もあり、滞在中に借りて試せたのもよかったです。

実際、私の子は乳頭混乱だったのか直母ができなかったのですが、それを助産師さんに相談したところ、少し特殊な哺乳瓶の乳首を教えてもらいました。実際に使ってみて反応がよさげだったので、その場でAmazonでポチりました。

(ありがたいことにホテルで助産師さんたちに飲ませ方の指導してもらったおかげか、退院してすぐ直母が時々できるようになりました!)

産院を退院して、そのままチェックインするのであれば、HOTEL CAFUNEで過ごすなかで、助産師さんに相談しながら、その子に合った必要なものをネットで買い揃えるのもよさそうです。


3.滞在中は24時間いつでも預かってもらえる

産後ケアホテルの最大のサービスは、赤ちゃんのプロに24時間、好きなタイミングで子供を預けられること。私は2泊3日の滞在中は、常時預かってもらい、授乳時だけ連れてきてもらうスタイルで過ごすことにしました。

初日は、まず助産師さんによるカウンセリングで滞在中のスケジュールを決めます。そのあとしばらくすると部屋に夕飯が届き、夜は助産師さんに授乳指導や寝かしつけの指導をしてもらいました。

最近、寝ぐずが始まって寝てくれなくなったと思っていたのに、助産師さんの抱っこだとしっかり寝落ちしてくれ、まだまだ私の育児レベルが足りないことを実感!

意外と赤ちゃんの背中ポンポンは強くても大丈夫。なんならスクワットをするとよく眠るんだそう!赤ちゃんに触れるのが人生で初めてのレベルだから、助産師さんのあやし方を見ることで、そんな基本的なことも学ぶことができました。

翌日以降は、預かってもらってできた一人時間で、出産が早まってリスケさせてもらった仕事のミーティングと、そのための資料づくりを。

残りの時間で、ホテルが用意しているワークショップやよもぎ蒸しや、お昼寝をたっぷりして、2週間ぶりに自分を労るための時間を過ごすことができました。

ただ、正直に言うと、私自身は預けることにはじめは抵抗があり……。

というのも、出産後の生活は、寝ても覚めても赤ちゃん中心の生活。赤ちゃんが泣けばホルモンの影響なのか「なんとかしないと…‼‼」と、心がざわざわする状態で。

出産したあと片時も離れることなく世話をしていた我が子を預けるときには、子がギャン泣きしてしまったのもあり「助産師さんに預けたいんだけど、ちゃんと私が見てあげたい……」と複雑な感情でした。

初めの数時間はそわそわしていたのですが、次の日にはだいぶ落ち着いてきて、日中にワークショップやミーティングなどの予定があったのもあり、なんとか赤ちゃんに全神経を向けている緊張感を手放すことができました。

ドナドナされる我が子

ありがたいことに、私のような人への配慮なのか、哺乳量の記録用紙(滞在期間中、何時に何mL飲んだか等の記録表)には「ぐっすり寝てました」「ごきげんでした♪」等のちょっとしたメモが書かれていたり、

連れて来てくれたときには「10分前に起きて、おなかすいた~って泣き始めたところですよ」と、離れてる間の赤ちゃんの様子を教えてくれて、長時間のお預けも安心することができました。

4.スタッフさんとやりとりはLINE!

HOTEL CAFUNEでは、スタッフさんとの連絡は、LINEで完結するんです。

これ、すごい画期的で! 24時間いつでも預けられても、夜遅い時間や忙しそうな雰囲気だとどうしても声をかけづらさがありますが、電話より連絡ハードルの低いLINEでお願いができたのは、すごくよかったです。

また、深夜に連絡する際も、寝ぼけながら声を出さなくて済んだり、授乳中だと動けないけど、手元にスマホさえあればいつでも助けを呼べたりして細かい部分ですがストレスがありませんでした。

特に私は電話でなにか依頼したりされたりするのが、至極苦手な人間なのでありがたかったです。

5.栄養バランスのとれた食事が5食付き

食事は5食(3食+おやつ+夜食)が基本、部屋まで運ばれてきます。朝食だけは川崎キングスカイフロント東急REIホテルのビュッフェ利用します。

この時期は、なにはともあれ母体の回復のために食事は重要なのですが、慣れない新生児のお世話をするだけで、正直、日々手一杯。だからこそ栄養バランスのとれた食事が出てくるのは、本当にありがたい。

しかも、1週間の長期滞在でもメニューが被らないようにスケジュールされているんだそう!個人的には日々、精神を擦り減らしながら赤ちゃんの世話をしているなかでの、食事の時間は、生活の中での数少ない英気を養う時間なので、結構重要だと思うので、こういう配慮はとてもうれしい。

6.心身ともに自分の感覚を取り戻すオプション

HOTEL CAFUNEには、新生児の小物づくりのワークショップやセルフケアメニュー、ニューボーンフォトのオプションがあります。

私は足型をシールで作るワークショップに参加したのですが、細かい作業に没頭できるワークショップは、生まれてからずーっと我が子に向けていた全神経を、フラットな精神状態に戻るための儀式のようで、もくもく集中して作業するのが気持ちよかったです。

美容ケアでは有料の整体やマッサージのほかに、よもぎ蒸しや足浴、マッサージ機のレンタルなどは無料で受けられました。

私はよもぎ蒸しをしたのですが、まるで簡易おひとりサウナのようで、全身温まることができて、汗がドバドバ!産後1ヶ月は浴槽に入れない&サウナは妊娠期間中お預けだったので、ほんとうに気持ちよかったです。

公式サイトより

また、生後14日目までの新生児を撮影するニューボーンフォトプランもオプションでありました。

たしかに、その時期の新生児を連れて写真館で撮ってもらうのは現実的ではないし、家で撮影の場合は片づけをしたりする必要があるので、なかなか大変なので、産後ケア施設でニューボーンフォトを撮れるのは産後の母体としても赤ちゃん側への負担の少なさを考えるとすごく合理的でよさそうです。

得られたのは、私が私であるための時間

HOTEL CAFUNEに宿泊して思ったのは、たった2週間ぶりの1人の時間がこんなに染みるだなんて!そして産後の生活で、私の狭まった感覚をストレッチするようにじんわりと広げてくれました。

産院の退院後の生活は、3時間おきの授乳。エンドレスのおむつ替え。いつ泣き出すかわからないまま過ごす休憩時間。泣き出したら「なんで!?なんとかしなくちゃ……!!」と焦ってしまう日々。

公式サイトにもあるように、まさに「自身のアイデンティティが揺らぐライフイベント」そのもので。最強に可愛いわが子との時間はハイパー幸せなのに、我が子を生かすことばかり考えていて、体力も気力も果ててる状態になっていました。

家族が増えるという素晴らしい瞬間は、(略) 体調やライフスタイルのみならず、パートナーとの関係性や、自身のアイデンティティが揺らぐライフイベントでもあります。

だからこそ、専門家のサポートを受けながら、変化をうまく受け止めながら新しい生活を始めていく、産後ケアリゾート『HOTEL CAFUNE』が生まれました。

HOTELCAFUNE 公式サイトより

そんなときに、安心できる状況で子と離れ、自分の時間を過ごせたおかげで、新生児のお世話に囚われていた意識を引き離し、自分を大切にするための感覚を少し取り戻すことできた気がします。

当日の宿泊レポートはInstagramのハイライトにまとめてます。

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