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全体感を見ることを知った社会人5年目

明日、2年越しのプロジェクトが一段落する。

これから先、これほど大きなプロジェクトに参画する機会はないんじゃないだろうか、と思っている。

このプロジェクトを通して私が変わることができたこと、これからもっと精進していかないといけないことを、未来の私が読んだとき「ああこんなことあったな」と思える日がいずれ訪れるようにするために書いておこうと思う。

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私の会社は商業施設を運用管理している会社だ。

1番メインの本丸の施設が、一昨年の冬から大きなリニューアル工事がはいり、長らくビルの半分がお休みしている状態で、残り半分は営業していた。

その工事が一段落し、明日ようやく新しいお店がオープンする。


基本的に、私の会社は「魅力的なお店を構成し、日々施設を守り、安全にそして快適に運用する」ことが業務だ。

館(やかた)として、なにごとも問題が起きないように警備をするし、毎日の掃除をする。実は、お客さんの見えないところで、エレベーターやエスカレーターなどの機器が故障しないように保守点検をしている。

お客様やお店のスタッフさんたちが問題なく、なるべく快適に過ごせるように努めるのが私たちの大切な仕事だ。


だから、今回のビルの半分を閉めてリニューアル工事というのは滅多にない、下手したら20年や30年に1度のプロジェクトであり、そうそう経験できるものではない。

そんなプロジェクトの1部を、1年と半年の期間、予算を立てて、デザインを決めて、施工することをほぼまるっと任せてもらう経験をした。

笑っちゃうのは、建築の予算というのは軽くん千万となってしまうことだ。

そんな金額を「このリニューアル工事のこのプロジェクトは、君たちに任せる。これだけの予算を預けるからうまくやって。」と笑いながら上司に言われて震えたのを今でも覚えている。

今思い出しても、そう言って貰えたことに泣きそうになる。

もちろん組織として、部下とに任せるという意味なのだが、先にも述べたがこんな貴重な業務を、入社4年目に後輩ができたばかりだった私に託してもらえたことに、恥ずかしいことに、その時初めて責任という感情が生まれた気がした。

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任せてもらい、絶対になんとかしてでも走り切るぞと意気込むまではよかったが、実際私にはスキルやノウハウが全く皆無だった。

それまで、毎日請求書の処理を淡々としているだけだった。

建築のプロフェッショナルなパートナーとなる業者さんとやり取りをして、自分たちが必要なものを見極めて作り上げるプロジェクトでは、

「未来を予測する力」「他者との意識のすり合わせ」「業務の切り分け」「工程数の把握」がないとプロジェクトを進めることはできなかった。

正直言って私の業務はそれらがなくても終えることのできるものだった。

(私がそれらの業務に真面目に向き合ってなかっただけなのかもしれないのは否めないが)


新しいものをつくりたいとき「=Xを実行する」ためには、YやZではなく、Xを選ぶまでの理由を、相見積、業者との打ち合わせを経て、社内承認をとる。

そのあとに各所への了承を得て、発注先へこちらの意図を十分に伝えて、その工事による影響を事前に予知し、事前に周囲の人たちに伝えておく。

文字に起こしてみるとそりゃもう至極当たり前なのだが、自分がその流れの真ん中にたってしまうと、突然に見えなくなってしまう。

〈俯瞰して、全体感を見る〉

とてつもなく難しかった。

というよりも、プロジェクトというある種の特別な環境に身をおいて、意識しなくてはと焦っていてようやく〈全体感を見る〉ということに気づいた。

多分、普通にしていたら、脳天気な私には気づけなかったと思う。

奇跡的に、これらのプロジェクトマネジメントに関するスキルは、日々の運用をするうえではそれほど必要のなかったのだ。


そんな社内承認をとる方法すら知らない、建築の専門家でないド素人で、プロジェクトに対してすべてが初めてなペーペーな社員だったにも関わらず、

まるっと任せて、口出しもせずに、特別なこと以外忠告することなく淡々と見守ってくれた部署の上司たちの寛大さを終わりを向かる今、その事実を改めて感じ、やっぱり震えるし、泣きそうになる。


この2年間に培った、気づくことのできた〈全体感を見る〉ことをもっと分解してみると「未来を予測する力」「意識のすり合わせ」「業務の切り分け」「工程数の把握」については

まだ私の中で産まれたばかりの認識で、使いこなせていないときもある。

というよりもそんなことのほうが多い気がする。

スキルをどう使うか分解して、自分の行動スケールに落とし込ますことが今後の課題であって、

今年はそのあたりを意識を持たずに気張らずに、自然な状態で行えるように少しずつ仕事に対しての意識を変えていきたい。

ちなみに、「意識のすり合わせ」は、パートナーへ発注する際に、私たちの認識や制作意図を伝えて、共有意識をお互いにもつことというのは、

人間関係への構築がそもそも必要だとも先日のだけど、すぐにうまくなるものではないんだよね。こつこつ積み重ねていこう。

と決意するグランドオープン前夜なのです。


\さかかなってこんな人/

プロジェクトの結果は、といえば、なんとかカタチにすることができました。なんとか設置して、運用が開始して、これから今までの業務であった運用管理のフェーズに移ります。

担当したプロジェクトでいう予算や計画という0→1、デザイン策定、施工管理という1→7が終わり、あとは運用という8→10を繰り返す中で、

今回私たちが決めた計画がどうだったのかわかってくるのではないかと思っています。

いつも読んで下さってありがとうございます! 投げ銭と売上は、ホテルステイの軍資金にさせていただいております。