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私はこれから、どこで、どう暮らすのか。を考えるようになった宿 #HOTELIST

◆前置き
宿泊体験が、思考を発酵させていく。
思考を醸成する宿特集は、宿泊記ではなくエッセイ記事です。

過去4年間で訪れた200軒近い宿での体験を通じて、まるで原材料を発酵させて旨みや深みを増す酒や味噌のように、宿泊体験が私自身の糧になり、静かに積もった思考や違和感、気づき、問いなどを認めています。

この感覚に名前を付けようとすると、価値観の変化・アップデートなんて大層な武装的な言葉になってしまうのですが、実際のところは、もっと素朴で、日常のそばにあるものなんじゃないかと思うんですよね。なんていうか、変化の「芽」のようなもので、少しずつ育っていって、気づいたら変わってるような。

そんな「芽」を、思考を醸成する宿特集として、これから認めていく予定です。

あなたはこれからどこで、どう暮らすのか。と問われた気がした

樹齢300年以上の歴史ある古桜の名所や「星のふる里」と呼ばれる長野県小川村、のはずれにあるお宿イチイチ。

絵に描いたようなスローライフを体現されているイチイチのオーナー夫婦は元々川崎に住んでいたのだそう。

イチイチは、おふたりが日本アルプスに惹かれてつくった新居にお邪魔させていただく宿泊スタイルです。これが、なんとも、生生しくって。

私がホテル巡りをする中で、その土地の暮らしに根付いた宿に泊まることも多いのですが、それらは「街のよそ者だからこそ」楽しんでいるエンターテインメント的な感覚がなんとなくあったんですよね。

けれど、イチイチはお二人の暮らしにお邪魔しているせいか、東京で働き、東京・横浜でしか暮らしたことのない私にも「もしかしたら、私にも東京以外の選択肢があるのかもしれない」と思わせるパワーを感じられたんです。

ちなみに、宿泊時になにか特別なことをするのかというと、そういうわけでもなくって。

イチカさんがキッチンに並ぶ色とりどりの香辛料を使ってつくってくれた薬膳の食事。コウさんが普段つくられてる工房での器づくり体験。イチイチの広々とした平屋の中にあるキッチンと工房は、おふたりの思考が張り巡らされた軌跡があり、まるで宇宙のようでした。

それ以外の時間は雄大な景色をぼんやり眺めたり、お二人とお話させてもらったり。私が泊まりに行った夏の日の夜は、蛍を見に行ったり。

お二人が住んでいる家で食事をして、モノづくりをして、お話して少しの時間を一緒に過ごした。たったそれだけのことなのですが、それが私にとっては特別な体験でした。

これは別に、今すぐ移住をしよう。という話ではないのですが「これから私は、どこで過ごすのか。どんな時間を過ごすのか。」といったことを、イチイチでの宿泊を期に、ぼんやり考え始めるようになった気がするんです。

宿に泊まることで、時々こうやって、自分の生き方を考えさせられることがあるから、宿泊体験っておもしろいんですよね。

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