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return birth art museum die

大きなスクリーンに、鮮やかな色とりどりの絵の具を散らしたような映像が映っていた。その絵の具は、ゆらゆらと動き、スクリーン上のいろんな場所に移ったり消えたりしていた。

兄と二人で、そのスクリーンを見ていた。タイトルも、ゆらゆらと変形しては変わっていき、museumとなったり、artという文字になったりしていたような気がする。

二人で、その幻想的な映像をみているうちに、物語が始まった。

映し出されたのは、福山雅治氏とリリーフランキー氏だった。二人は、グレーっぽいスーツを身にまとい、薄暗い階段を昇っていく。すると漆黒のドアが見えてきた。開くとすぐに黒い石で出来た階段が足元に現れた。階段の壁には、大きな赤いアンモナイトのような模様が埋め込まれていた。

福山氏が足を階段にかけると、石の階段はグラグラと揺れた。焦って足を引っ込めると、リリー氏が「大丈夫,ダイジョウブだから」と言ってもう一度足をかけるように促した。

恐る恐る足をかけると、階段は、グラグラとゆれるものの、なんとか上がることが出来た。すると、目の間にエレベーターが現れた。視聴者は、福山氏と一緒にエレベーターへと搭乗する。中に入ると、壁やボタンは、クラシックな木製で出来ていて、床には真紅のカーペットが敷かれていて、アンティークな雰囲気で、洒落ていた。ふと見ると、エレベーターは、リリー氏を残してドアを閉めようとした。福山氏は、慌ててドアに目をやると、右上に「return」という金色の文字がかかれているボタンを見つけたので咄嗟に押すと、ドアは再び開いて戻った。

「ああ、福山君…」とリリーが言うので、ほっとしてリリー氏に声をかけようとするが…福山氏は、独りで行きたくなったので、ドアを閉めた。が。やはり不安なので、もう一度returnボタンを押した。

returnボタンを押すたびに、「ああ、福山君…」とリリーが言うので、どうやら時が一瞬戻っているようだった。

そんなことを何度も繰り返すうちに可笑しくなってきて、雅治が腹を抱えて笑っていたら、何度目かのドアの開閉時に、リリーが言った。

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