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顕微鏡と私

こんにちは。顕微鏡アート「microplanets」を手がけているAko Sugiiです。(初めましての方は、是非、自己紹介のnoteも読んでいただけると嬉しいです)

ひょんなことから、顕微鏡アートという割とニッチな活動を始めたわけですが、そんな私がかつて、顕微鏡に苦手意識を持っていたという話をしたいと思います。

最初に顕微鏡を触ったのは、小学生の頃でしょうか。授業で少し使った記憶があります。

少し顕微鏡の話から逸れるのですが、特に子どもの頃の私は、物覚えが悪いというか、周りの皆がすんなりできていることができなかったりする不器用な子どもでした。特に実技系が苦手で、図工での絵の具の使い方とか、体育の球技とか、大縄跳びとか、ミシンの使い方とか、あとはロボット制作の授業を受けた時も、自分だけ取り残されてるなんてことはよくありました。

それは顕微鏡も同様でした。まずピントの合わせ方がよくわからない。皆が観察できていて、「見えた!」と喜んでいる中、私はまだ観察できない、どうしようと焦ったりしていました。そんな調子だったので、顕微鏡には苦手意識、拒否反応さえあったのでした。

高校になって生物に興味を持ってからは、顕微鏡への拒否反応こそ消えましたが、それでもピントを合わせるのが下手で、顕微鏡との相性が悪いのだろうか、と思っていました。

そんな私は、大学に入ってからやっと、顕微鏡のピントを合わせるコツを習得したのでした。きっかけはある実習。どうせピントもろくに合わせられないまま終わるのかもと思っていたところ、教授が顕微鏡のピントを合わせるコツを説明してくださったのです。そのコツとは簡単。まずは顕微鏡の対物レンズを限りなく観察物に近づけます。ギリギリまで近づけたら、接眼レンズを覗きながら、対物レンズを少しずつ観察物から遠ざけていくと、どこかで必ずピントが合うということでした。その通りにやってみると、今まであんなに苦戦していた私がすんなりとピントを合わせることができました。それ以来、私は顕微鏡を使うのが楽しくなりました。ピントが合った瞬間にミクロな世界に出会えるという感動。それを前よりも苦労せずに経験できるようになったのですから。このコツを教わっていなければ、今の活動は決して始めようともしなかったと思うので、当時の教授にはとても感謝しています。(このコツですが、後から調べてみると、顕微鏡の使い方の解説で言及されていることも結構多いようで、もしかしたら小中高でも先生が口頭で説明していて、私がしっかり聞いていなかった説も考えられます。そうだったら…単なる自業自得ですね…)

ピントが合うまでは、どんな世界が広がっているのか予想もつきません。それが顕微鏡の面白いところで、だからこそ私はmicroplanetsの活動を長く続けているのです。

慣れてくると、自己流の顕微鏡の使い方をするようになりました。まず、基本的にスライドガラスやカバーガラスはあまり使いません。小さなものを観察するときにはスライドガラスに載せますが、それでもカバーガラスを上から被せることはほとんどありません。(教科書的には良くない使い方かもしれません。良い子は真似しないでください…)

さらに、通常は光を下から当てることが多いと思うのですが、私の場合は顕微鏡の横にライトを設置して、横から光を当てています。

カバーガラスをなるべく使わず、光を横から当てるのは、私が様々なものを観察対象としているためです。私は、顕微鏡のステージに載るものであれば、食べ物でも日用品でも、何でも観察します。分厚いものも観察します。薄い観察物なら光を下から当てて観察できますが、分厚いと光を通さないので、下からの光が役に立ちません。そこで、横から光を当てるようにしています。

分厚いものはもちろんスライドガラスに乗せる必要性もなく、直にステージに置きます。花びらなどは本来、スライドガラスに載せて、花びらの上にカバーガラスを被せるのが正しい使い方ですが、私はあえてカバーガラスを使いません。カバーガラスを被せると、花びらの細胞ははっきり見えるのですが、どうしても潰れたような印象を受けてしまうのです。カバーガラスをかけないと、花びらの湾曲によってピントが視野の一部しか合わず、はっきり見えるところと、ぼけているところと出てくるのですが、逆にそのコントラストが作品の味を出したりもします。何より、カバーガラスをかけない方が、観察物のありのままの姿をとらえられるように思うので、私はこういう邪道かもしれない方法をとっています。

こんな使い方をしているので、顕微鏡の使い方講座なんて到底できないですね。

でも、これが私の作品作りには欠かせない顕微鏡の使い方で、私なりの顕微鏡との付き合い方なのです。

これからも無茶な使い方するかもしれないけれど、末永くよろしくねと、この場を借りて相棒の顕微鏡氏に言って、締めたいと思います。いつもありがとう。

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